政治
夕焼けの下、風見鶏は何を思うのか うっかり屋の私は、一枚の絵を見て2人の女性が描かれていると思った。この絵は『緑の自画像』というタイトルが付いたマルク・シャガール(1887~1985)の作品だ。ということは、この絵の中心にいる人物は男性のシ…
暑さをものともしない百日草 「俺は何でもできる。俺の友達は俺と同じだ」。こう思っている人物は独裁者ではないか。21世紀の現代もそのような政治家は存在する。アメリカのトランプ大統領が、薬物使用疑惑で米野球殿堂入りを逃した大リーグのレジェンド投…
植え込みの中にひっそりと「オオミズアオ」が トランプアメリカ大統領とプーチンロシア大統領が、ウクライナの停戦をめぐってアラスカで会談した。その内容はこのブログを書いている段階では分かっていない。侵略を受けた当事国のウクライナを抜きにしての会…
北海道・美瑛の丘の風景 8月15日は『涙の日』なのかもしれない。80年前、日本は敗戦した。戦時中多くの涙が流れたが、特にこの日がピークだっただろう。『涙の日』といえば、モーツァルト作曲の「レクイエム ニ短調」第8曲「ラクリモサ」のことだが、…
キバナコスモス(手前)とハルシャギク スーパーに行くと、入り口付近の目立つ場所に「備蓄米」が山積み状態になっている。5キロで2000円前後。「倉庫に売るほどもらった米がある」と演説し、事実上の更迭となった江藤拓前農水相の後を継いだ小泉進次郎…
山口・萩の海岸にて 「核兵器と原子力発電は、一方が『戦争』に属し、他方が『平和』に属するという意味では、かぎりなく遠い。しかしどちらも核分裂の連鎖反応の結果であるという意味では、きわめて近い」。評論家の加藤周一は核と原発について、『夕陽妄語…
萩に似た小さな花のコマツナギ 広島・長崎で夥しい人たちが命を落とした。その一人の遺書を読み返した。東大在学中に学徒出陣、陸軍少尉として派遣された広島で被爆した鈴木実さん(当時20歳)の家族愛にあふれた遺書である。『きけ わだつみのこえ』(日…
東京湾から見た美しい夕日の風景 アメリカはどこに行くのだろうか。ジョージ・オーウェルの『一九八四年』の世界、あるいは独裁者率いる北朝鮮のような国か。2度目の大統領になったトランプ氏の日々の行動を見ていると、急速にアメリカが変わっていくことを…
熱帯アジア・アフリカ原産のグロリアサの花 総理大臣ひとりを責めたって無駄さ 彼は象徴にすらなれやしない きみの大阪弁は永遠だけど 総理大臣はすぐ代わる 谷川俊太郎の詩集『夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった』(青土社)の中の一節だ。この詩集…
涼し気な一輪の朝顔 猛暑が続く。涼を求め、冷たいものを口にする日々。できれば「涼しい顔」で人と接したい。だが、そうは行かず、汗を流して暑苦しい顔で「今日も暑いですね」とあいさつしてしまう。ほとんどの人が私と同様に、暑さに耐えているのだろう。…
「宙宇」という言葉がある。時間と空間という意味だ。ただ、最近はほとんど使われることが少ないためか、手元の広辞苑を含めたすべての辞書にこの言葉は載っていない。死語になりつつある、と言ったら「宮沢賢治だって使っているじゃないか」と怒る人もいる…
今朝のラジオ体操広場の上空の雲 第二次大戦中、ナチスににらまれながら、ぎりぎりまでドイツにとどまっていた作家のエーリッヒ・ケストナー(1899~1974)は、かなり辛辣な言葉を残している。その中の一つに「卑劣漢」に対する厳しい見方がある。子…
80年前の今日1945年7月16日(月曜日)午前5時29分(日本との時差は15時間で、日本時間同日午後8時29分)、アメリカはニューメキシコ州ソコロにあるアラモゴード空軍基地の一角、トリニティ実験基地で人類初の核実験(注)であるプルトニウ…
アンデルセンの人魚姫の像(デンマークにて) 今、日本の新聞、テレビにその名前が一番多く載るのは、石破首相は別にしてアメリカのトランプ大統領ではないだろうか。新聞の一、二面はもとより国際面からオピニオン面、さらに社会面まで頁をめくるとこの人の…
早朝の伏見稲荷 「京都の建物は昔ながらの形を保っているが、それを見て古い感じはしなかった。それより先に目に入るのは人とお土産店だ。京都は伝統的情緒を失っているのではないかと心配だ。京都より奈良の方が好きという人の気持ちが分かった」。これは、…
月山・月山神社 本宮(板垣光昭氏撮影) 最近「ハッタリ」という言葉が頭に浮かぶことが多い。トランプ米大統領の言動がその原因だ。つい先日も日本との関税協議がうまく行かないせいか、日本に対し「30%か35%、あるいは我々が決めた税率を支払ってもらう…
トルコの夕景色 「現実は虚無である」とは、どういう意味だろうか。現実は価値あるものがなく、虚しい、と受け止めることができるだろう。萩原朔太郎は「日本への回帰」という随筆の冒頭で、こう書いた。さらに「今の日本には何物もない。一切の文化は喪失さ…
夕方、散歩中に二重の虹が出た 「帰去来」という室生犀星(1889―1962)の詩がある。哀しい内容だ。「帰去来」は、中国の東晋・宋時代の詩人、陶淵明(とうえんめい、365―427)の有名な詩「帰去来辞」(ききょらいのじ)が由来で、官吏をやめて田園生活に…
フィンランド・ヘルシンキの街並み(記事とは関係ありません) 今年は第二次世界大戦が終結して80年の節目になる。戦後、世界の人々はこれで平和が戻るかと思ったはずだ。だが、その願いはかなわないまま21世紀も四半世紀を過ぎつつある。80年前、ナチ…
もう花が咲いた近所のネムノキ 新聞の一面トップ。「イスラエルがイランの核施設を攻撃」という大見出しが躍っている。テレビは、イランがイスラエルに向けミサイル数百発を発射したというニュースを大々的に報じている。中東の軍事大国同士の武力による応酬…
梅雨に入りアジサイが美しい 米の価格が急騰し、しかもスーパーから一時米がほとんど消え、「令和の米騒動」といわれる問題が起き、政府の備蓄米に消費者が列を作っている。この実態は、今年の十大ニュースになるだろう。凶作でもないのにこうした問題が起き…
街中に清流が流れるチェコ・チェスキークルムロフ(エゴン・シーレが一時住んだ) イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区での容赦ない攻撃ぶりを見て、イスラエルの大部分を占めるユダヤ人に対するナチスドイツのホロコーストを思い浮かべる。アドルフ・ヒト…
白百合が咲いた 「言葉ってものは/傷つけもするし幸せにもする/単純な文法です」。大岡信の「折々のうた三六五日』(岩波文庫)の今日6月5日分に、ブラジルのヴィニシウス・T・リベイロという11歳の少年のこの言葉が紹介されている。確かにその通りであ…
雨上がりの爽やかな空 古い話だが、1950(昭和25)年に遡る。当時の吉田茂首相が東大の矢内原忠雄総長を「曲学阿世の徒」と非難したことがある。「曲学阿世」とは、真理を曲げた不正な学問のことで、中国の歴史書「史記」にある「学を曲げて以て世に阿…
花が咲かなかった桐の木 政治家を筆頭に、この世界にはおかしな人間が増えている。それと歩調を合わせるように、自然界も次第に変調を来している。昨今、世界の動き、日本社会を見ていると、そう思わざるを得ない。自然界の変調は気象の狂暴化現象だ。そのほ…
調整池の森に咲くガマズミの花 佐賀県唐津市で農業を営みながら農業をテーマにした小説やルポを書いていた山下惣一さん(1936—2022)の『村に吹く風』(新潮文庫)を読み直していたら、信じられない話が書かれていた。うそのような本当の話である。1989…
平泉・中尊寺境内 ロシアとウクライナの戦争になって3年余。停戦をめぐって駆け引きが続いている。古来、戦争は勝者にも敗者にも犠牲は大きい。「勝者は怨み(恨み)を招き、敗者は怨み苦しむ。そのいずれでもなく、こころ寂静(しずか)な者こそ、日々の暮ら…
今は静かな沖縄の海だが…… 歴史の改ざんをテーマにした作品といえば、ジョージ・オーウェルの『一九八四年』だろうか。「ビッグ・ブラザー」率いる全体主義国家に真理省記録局と言う部門があり、歴史の改ざん作業を進める。1949年に発表された近未来小説…
いつもの喫茶店に入った。顔見知りの先客がいた。毒舌氏と私がひそかに呼んでいる先輩のKさんで、コーヒーを飲みながら新聞を手にしている。Kさんは私に気が付くと手招きした。相席すると、いつもの長広舌を振るい始めた。私は注文したアメリカンを飲みなが…
「踏襲」という言葉がある。「前人のあとをそのまま受けつぐこと」(広辞苑)、「それまでのしきたりややり方を変えずに、そのまま受け継ぐこと」(明鏡国語辞典)——という意味だ。石破茂首相が当選1回の新人議員15人と懇談し、1人10万円の商品券を配…