小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

1395 これが安藤忠雄の真骨頂? 藤田嗣治壁画の秋田県立美術館

藤田嗣治(1886―1968)の壁画「秋田の行事」を見たのは、かなり昔のことだ。秋田市の千秋公園(旧久保田城跡)に面した旧県立美術館は、秋田の資産家、平野政吉のコレクションを中心に展示し、藤田の壁画が巨大に見えた。その壁画は、2013年9月にオープ…

1395 これが安藤忠雄の真骨頂? 藤田嗣治壁画の秋田県立美術館

藤田嗣治(1886―1968)の壁画「秋田の行事」を見たのは、かなり昔のことだ。秋田市の千秋公園(旧久保田城跡)に面した旧県立美術館は、秋田の資産家、平野政吉のコレクションを中心に展示し、藤田の壁画が巨大に見えた。 その壁画は、2013年9月にオー…

1394 ああ田沢湖よ 秋田を歩く

過日、晩夏の秋田を歩いた。角館も田沢湖も人影はまばらで、昨今話題の中国人観光客の姿も見かけなかった。秋田新幹線の田沢湖駅はふんだんに秋田杉を使った美しい建物だった。私がこれまで見た中では北海道の旭川駅とともに気に入った建物だ。だが、駅前は…

1394 ああ田沢湖よ 秋田を歩く

過日、晩夏の秋田を歩いた。角館も田沢湖も人影はまばらで、昨今話題の中国人観光客の姿も見かけなかった。秋田新幹線の田沢湖駅はふんだんに秋田杉を使った美しい建物だった。私がこれまで見た中では北海道の旭川駅とともに気に入った建物だ。 だが、駅前は…

1393 「現代を憂え、戦後をかみしめる」 ある句会にて

何度も書いているように、今年は戦後70年である。この間、日本は平和を享受してきた。だが昨今、政治の世界では国の防衛について、大きな進路変更を迫る動きがあることはご承知の通りである。そんな政治とは別にして、今年の戦没者慰霊式典で天皇は「さき…

1393 「現代を憂え、戦後をかみしめる」 ある句会にて

何度も書いているように、今年は戦後70年である。この間、日本は平和を享受してきた。だが昨今、政治の世界では国の防衛について、大きな進路変更を迫る動きがあることはご承知の通りである。そんな政治とは別にして、今年の戦没者慰霊式典で天皇は「さき…

1392 高校野球の「魔力」 私的決勝戦の印象

甲子園の夏の高校野球全国大会は、神奈川県代表の東海大相模が10-6で宮城県代表の仙台育英を倒して、45年ぶり2度目の優勝を飾った。仙台育英が一時6-6まで追い上げたが、9回表に東海大相模のエース、小笠原がホームランを打ち、さらにダメ押し点を上…

1392 高校野球の「魔力」 私的決勝戦の印象

甲子園の夏の高校野球全国大会は、神奈川県代表の東海大相模が10-6で宮城県代表の仙台育英を倒して、45年ぶり2度目の優勝を飾った。仙台育英が一時6-6まで追い上げたが、9回表に東海大相模のエース、小笠原がホームランを打ち、さらにダメ押し点を上…

1391 未来を予見させる聖母子画 ラファエロと無名画家

アルテ・マイスター絵画館(ドイツ・ドレスデン、古典巨匠絵画館)の『システィーナの聖母』(『サン・シストの聖母』とも呼ばれる)はラファエロ(ラファエッロとも)・サンティ(1483~1520)の最もよく知られた祭壇画である。第二次大戦後、ソ連に持ち去…

1391 未来を予見させる聖母子画 ラファエロと無名画家

アルテ・マイスター絵画館(ドイツ・ドレスデン、古典巨匠絵画館)の『システィーナの聖母』(『サン・シストの聖母』とも呼ばれる)はラファエロ(ラファエッロとも)・サンティ(1483~1520)の最もよく知られた祭壇画である。第二次大戦後、ソ連に持ち去…

1390 戦後史に残る町 ドイツ・ポツダムのこと

戦後70年の歴史を考えるとき、以前訪れたことがある一つの町のことが頭の中に浮かんでくる。ドイツのポツダムである。米国大統領(トルーマン)、英国首相(チャーチル)、中華民国主席(蒋介石)の名前で日本に対し無条件降伏を求める「ポツダム宣言」はこ…

1390 戦後史に残る町 ドイツ・ポツダムのこと

戦後70年の歴史を考えるとき、以前訪れたことがある一つの町のことが頭の中に浮かんでくる。ドイツのポツダムである。米国大統領(トルーマン)、英国首相(チャーチル)、中華民国主席(蒋介石)の名前で日本に対し無条件降伏を求める「ポツダム宣言」はこ…

1389 8・15は暗黒の十字路 70年談話に思う

「『8・15』とはまことに無慚なさまざまな体験と自責と怨念と愛憎とのブラック・クロス(暗黒の十字路)である。そして今なおそうであり続けている」。歴史家の色川大吉は『ある昭和史 自分史の試み』の中で、8・15について、このよう述べている。太平…

1389 8・15は暗黒の十字路 70年談話に思う

「『8・15』とはまことに無慚なさまざまな体験と自責と怨念と愛憎とのブラック・クロス(暗黒の十字路)である。そして今なおそうであり続けている」。歴史家の色川大吉は『ある昭和史 自分史の試み』の中で、8・15について、このよう述べている。 太…

1388 繰り返してはならない「日本の一番長い日」 8月15日を前に

70年前の今ごろ、日本は太平洋戦争末期の断末魔状態にあった。それでも、旧陸軍を中心とする軍部は「一億総玉砕」を唱え、本土決戦を主張した。極限状況下にあって、人間は狂気に陥る。映画『日本の一番長い日』を見て、それをあらためて感じた。 戦争を終…

1388 繰り返してはならない「日本の一番長い日」 8月15日を前に

70年前の今ごろ、日本は太平洋戦争末期の断末魔状態にあった。それでも、旧陸軍を中心とする軍部は「一億総玉砕」を唱え、本土決戦を主張した。極限状況下にあって、人間は狂気に陥る。映画『日本の一番長い日』を見て、それをあらためて感じた。 戦争を終…

1387 200万部売れた本 芥川賞は「又吉現象」

本は売れないという最近の出版界の常識を覆すように、第153回芥川賞を受賞した又吉直樹『火花』の発行部数が200万部を超えたという。今年の十大ニュースにノミネートされる現象といっていいだろう。駅の売店で、この作品が載っている文藝春秋9月号を…

1387 200万部売れた本 芥川賞は「又吉現象」

本は売れないという最近の出版界の常識を覆すように、第153回芥川賞を受賞した又吉直樹『火花』の発行部数が200万部を超えたという。今年の十大ニュースにノミネートされる現象といっていいだろう。駅の売店で、この作品が載っている文藝春秋9月号を…

1386 曲がり角の商業五輪 記録的猛暑の中で考える

猛暑が続いている。東京では7月31日からきょう5日まで6日連続して気温が35度を超える猛暑日となり、気象庁が統計を取り始めてからの記録を更新した。外を歩くと、暑さのあまり身体がふらつく。熱中症患者が続出していて、全国的に救急車がフル稼働状…

1386 曲がり角の商業五輪 記録的猛暑の中で考える

猛暑が続いている。東京では7月31日からきょう5日まで6日連続して気温が35度を超える猛暑日となり、気象庁が統計を取り始めてからの記録を更新した。外を歩くと、暑さのあまり身体がふらつく。熱中症患者が続出していて、全国的に救急車がフル稼働状…

1385 大災害から復興したオランダの古都  フェルメール・「デルフトの眺望」

8月になった。部屋の絵カレンダーをめくると、今月は日本でも人気が高いヨハネス・フェルメール(1632~75)の風景画『デルフトの眺望』だった。フェルメールが自分の生まれ故郷、オランダ南ホラント州デルフトの朝の町並みを描いた作品だ。1660〜16…

1385 大災害から復興したオランダの古都  フェルメール・「デルフトの眺望」

8月になった。部屋の絵カレンダーをめくると、今月は日本でも人気が高いヨハネス・フェルメール(1632~75)の風景画『デルフトの眺望』だった。フェルメールが自分の生まれ故郷、オランダ南ホラント州デルフトの朝の町並みを描いた作品だ。 1660〜16…