小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

小説

193 有頂天家族(森見登美彦著) 狸一家の抱腹絶倒の物語

登場するのは狸に天狗に人間たち。善玉狸と悪玉狸一家の攻防を軸に、作者は想像をたくましてして、ストーリーを展開していく。複雑化した現代にあって、狸や想像上の怪物・天狗が人間の世界に入り交じって生活しているとしたら、考えるだけでも愉快である。 …

101 ロング・グッドバイ 村上春樹の名翻訳

翻訳小説はあまり読まない。その理由は文体がいわゆる翻訳調のため、なじめないからだ。そうした先入観を打ち消してくれたのが、村上春樹が翻訳したこの小説だ。 レイモンド・チャンドラー作のハードボイルドで、1958年に清水俊二訳の「長いお別れ」として出…