小径を行く 

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。(筆者=石井克則・遊歩)

2012-01-01から1年間の記事一覧

1066 2012年大みそかの夕暮れ 常識失われし時代に

夕方、妻が1階から叫んでいる。「西の空がきれいよ」と。あわてて、2階からカメラを持って、外へ飛び出した。きょうは、大みそか。この1年、いろいろなことがあった。愛犬のhanaは大病し、緊急手術を受けた。ふだんなら、私も連れて行ってと追いすが…

1065 hanaのつぶやき 子宮蓄膿症の緊急手術受けました

私はゴールデンレトリーバーの雌で、10歳5ヵ月になりました。このところ体の調子が悪い日が続き、歩くときには足を引きずり、食欲も極端になくなりました。私の変調を心配したお父さんとママ(私の家族はなぜかこんな呼び方をしています)が動物病院に連…

1064 大リーグで成功した3人の1人 記録と記憶に残る松井が引退

日本球界から大リーグに移って、成功した選手はそう多くはない。日本人初の大リーガーである村上雅則もいるが、成功した3人を挙げれば野茂英雄、イチロー、松井秀喜だろうか。ヤンキースに残った黒田博樹や1年目うまく行ったダルビッシュ有も成功組に入る…

1063 絵のモデルになりました2 歳末のhanaのつぶやき

お父さんが家族に一枚の絵を見せて「どう、hanaに似てるだろう」と、自慢していました。それが、この絵です。あれ!どこかで見た写真にそっくりだと思いませんか。そうです。この16日のブログに載せてある私をモデルにした絵だそうです。 きょう、お父…

1062 「遥かなりラオス」 頑張れノンちゃん!

2009年9月、ラオスを旅した際、お世話になった現地NGOの女性で「ノンちゃん」という愛称を持つ、庶民の味方がいた。そのノンちゃんが最近、体調を崩したと聞いた。肝臓の状態が芳しくなく、病気と闘う日々を送っている。彼女の回復を祈りながら、こ…

1061 「アン」シリーズとは異なる世界 モンゴメリの苦悩をちりばめた最後の作品

カナダのプリンス・エドワード島を舞台に、ひたむきに生きる少女を描いた「赤毛のアン」シリーズの作家、ルーシー・モード・モンゴメリ(1874・11・30~1942・4・24)は67歳で生涯を閉じた。病死といわれていたが、近年孫娘が自殺だったこ…

1060 最低の投票率と世界最高齢に思う 時代を象徴する数字

数字のことを書く。一つは16日に投開票された衆院選(小選挙区)の投票率が1996年の59・65%を下回る59・32%と戦後最低を記録したこと。もう一つは、世界最高齢といわれた115歳の米国の女性が亡くなり、京都府京丹後市在住で115歳の木…

1059 銃所持と核兵器保有は類似の論理 瀬戸際を歩く人類

米国が銃社会であることをクローズアップさせた悲劇が続いている。14日にはコネティカット州ニュータウンの小学校で銃乱射事件が起き、児童20人を含む26人が命を失った。犯罪に対する自己防衛、あるいは抑止力として3億人が銃を所持(07年調査の推…

1058 hanaの12月のつぶやき お父さんのぼやきと付き合う

きょうは、12月にしては久しぶりに暖かい一日でした。居間の窓際で昼寝をしていると、やわらかい日差しが私の体を包んでくれるようで、気持ちのいい時間を送ることができました。私の横のソファーでは、この冬2回目の風邪をひいたというお父さんがごろご…

1057 一枚の写真の偉大さ 中国・イリの大河の夕陽

「夕焼雲のうつけしければ人の恋しき」と詠ったのは、放浪の俳人種田山頭火である。友人の増田逸雄さんから、シルクロードの旅で写したという、珍しい写真が送られてきた。夕日が雲に遮られて、雲の中に「王」という文字が浮かび上がっている。いずこの時代…

1056 知恵と独創性と躍動感と 「TOKYOオリンピック物語」

『「宗谷」の昭和史』に続き、ノンフィクション作品を読んだ。昨年、東日本大震災発生直前に発売になった『TOKYOオリンピック物語』(野地秩嘉著、小学館)だ。震災直後に購入したのだが、当時は茫然自失状態にあり、手に取ることなく本棚の片隅に放置…

1055 大槻3代を生んだ一関 復興見守る世界遺産・平泉中尊寺

中尊寺にある芭蕉像 岩手県の平泉がユネスコの世界遺産(文化)になったのは、東日本大震災直後の2011年6月26日だった。日本の文化遺産では12番目の登録だ。もちろん、被災地東北では初の文化遺産登録である。その中心となるのが中尊寺であり、中でも…

1054 被災地を歩く 原発事故・福島の12月

東日本大震災の被災地は広範囲に及んでいる。しかも、原発事故に見舞われた福島の被災地では復興の道筋が容易に立たない。衆院選挙の公示日の4日から数日、被災地を歩いた。(ことしは9回目で昨年も同じく9回被災地を歩いているので、18回目だ) 5日の…

1053 熟柿の無残な光景 原発事故・福島からの便り

「熟柿」(じゅくし)という言葉がある。赤く熟し、いまにも枝から落ちそうな柿のことだ。そんな美しい写真が福島に住む教育者で知人の宍戸仙助さんからメールで届いた。しかし、メールを読むと、美しい風物詩が実は悲惨な光景であることが分かり、愕然とし…

1052 南極観測船・激動の40年 「『宗谷』の昭和史」

目次の次の頁に「川南豊作とスメタニューク、そして矢田喜美雄の各氏に捧ぐ」とあるのを見て、「宗谷とどんな関係があるのだろうか」と思った。「『宗谷』の昭和史―南極観測船になった海軍特務艦―」(大野芳著)は、丁寧な取材ぶりから昭和の激動の歴史を体…

1051 心に残る福美ちゃんの絵 小児がんの子どもたちの絵画展にて

11月もきょう30日で終わり、明日から師走に入る。日本人は楽しいことには気が早いのか、街ではもうクリスマスツリーを見かける。そのクリスマスツリーを自分の目で見ることを夢見ながら、病床で絵を描いた少女がいた。石川福美ちゃんだ。

1050 ベスト1の小説「ことり」 メルヘンながら現実社会を投影

ことしも残すところ1カ月余になった。種々雑多な本を読んだ中で、私にとってこれまでのベスト1は、小川洋子著「ことり」である。同じ作者の作品で映画にもなった「博士の愛した数式」も心に残る1冊だったが、それと並ぶ上質な小説だと思う。 朝日新聞の文…

1049 初冬の風景 美しい日本よ

日一日と寒さが厳しくなるにつれ空気が乾き、自然界は透明感を増している。カメラでそうした日本の美しい光景を写したいと思うが、なかなかうまくは行かない。 最近、沖縄県石垣島へと旅をした。東京との温度差は15度近い。春のような暖かさに体から疲れが…

1048 夕焼けの雲の下にいる福美ちゃんへ あるコメントへの返事

「出会った人たちの言葉(3)に対し、うれしいコメントがあった。後段の「どんな悩みも隠さないで」の石川福美ちゃんのお母さんからだった。福美ちゃんは小児がんで短い生涯を閉じた。そして、娘を亡くしたお母さんは喪失感の中、心の葛藤と闘い苦しい日々…

1047 城下町・関宿にて 終戦処理の鈴木貫太郎ゆかりの町

関宿という地名を知っている人は、歴史好きなのかもしれない。関宿は1590年(天正18年)に松平康元(徳川家康の異父弟)が2万石で城主になって以来、23代にわたって譜代大名が配置された城下町である。江戸時代は、由緒ある藩だった。それから時代を経て…

1046 何を考えてのバンザイか さて選挙はどうするか

昨日(11月16日)、衆議院が解散し12月16日に選挙が実施される。横路孝弘議長が解散の詔書を読み上げると議場にいた大半の議員は、立ち上がって「バンザーイ」と叫んでいた。いつごろから、解散の際に、この万歳が行われるようになったのかは定かで…

1045 霧の朝に咲いた皇帝ダリア そんな朝の暴走老人の話

このところ朝の冷え込みが増し、散歩コースの調整池周辺は霧が立ち込めることが少なくない。秋から冬へと季節が移っているのだ。立冬が過ぎたのだから、当然と言えば当然だ。 池の背後にある小さな雑木林も緑の葉が次第に赤へと変化し、鮮やかさを増している…

1044 被災地の製紙工場を見て思うこと 日本とトルコ友好の礎の人

石巻市南浜にある日本製紙石巻工場は、東日本大震災で大きな被害を受けた。被害額は750億円に達したというから気が遠くなるような損害だ。石巻を何度か訪れ、この工場の惨状を見る機会があった。その工場が被災した姿を残したまま操業を再開したことを聞…

1043 人間のつながり・悲しみ・不屈の闘志 映画・北のカナリアたち・黄色い星の子供たち・天地明察

最近、相次いで3本の映画を見た。邦画(「北のカナリアたち」「天地明察」)2本、洋画(「黄色い星の子供たち」)1本だ。 3年前、話題になった「告白」という湊かなえの小説は現代の「負」を強調した作品だった。その作者の短編集「往復書簡」の中の「2…

1042 被災地・女川で出会った若者 会社やめ被災地支援に没頭

東日本大震災の被災地では、勤めていた会社をやめ復興支援のために働いている人が少なくない。宮城県の女川で出会った小松洋介さん(30)もその一人だった。彼は現在、民間の任意団体・女川町復興連絡協議会 戦略室で、被災した事業者や、新しく事業を興す…

1041 被災地にて・石巻2 文人が見た日和山からの風景

東日本大震災で、一番被害が大きかったのは宮城県石巻市だ。震災後、幾度となくこの街を訪れながら、中心部を一望することができる日和山公園に行く機会に恵まれなかった。先週末、その機会がようやくやってきた。にほんブログ村==== 標高が56メートルとい…

1040 強いリーダーの実像に迫った「プーチンの思考」 ロシア問題担当記者の冷静な分析

他国のこととはいえ4年前の2008年、新しいロシア大統領にドミートリー・メドベージェフが当選した際、それまでの大統領だったウラジーミル・プーチンが首相になった時は驚いたものだ。2人乗りの自転車や2頭立ての馬車を指す「タンデム」をもじって、…

1039 セイタカアワダチソウ異聞 被災地で嫌われる黄色い花

この時期になると、全国至るところで「セイタカアワダチソウ」を見ることができる。散歩コースの調整池の周囲にもこの花が群生して咲いている。秋の風物詩になった感があるが、最近、新聞に出ていたこの花に関するニュースを見て、複雑な思いを抱いた人が多…

1038 大義に生きる歴史上の人物 冲方丁の『光圀伝』

本屋大賞を受賞した『天地明察』(囲碁棋士で天文暦学者の渋川春海)を書いた冲方丁(うぶかた・とう)が、再び同じ江戸時代に生きた徳川光圀を主人公にした『光圀伝』という歴史小説に挑んだ。 「大義」という言葉をテーマにした大著を読み終えて、助さん、…

1037 出会った人たちの言葉(6)完 趣味に生きるよりは

(2011年-2012年9月までの分、東日本大震災関係は1回目に掲載。肩書きは当時のまま)