小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

マスコミ

1323 マスコミの役割いずこへ 2冊のジャーナリズム論を読む

最近の日本のマスコミ界は、何となくおかしい。時の政府を監視するという一番大事な役割を投げ捨て、政権にすり寄っている新聞、テレビが目についてしまう。マスコミ界から「へそ曲がり」がいなくなってしまったのか。そんなことはないはずだ……。こんなこと…

1064 大リーグで成功した3人の1人 記録と記憶に残る松井が引退

日本球界から大リーグに移って、成功した選手はそう多くはない。日本人初の大リーガーである村上雅則もいるが、成功した3人を挙げれば野茂英雄、イチロー、松井秀喜だろうか。ヤンキースに残った黒田博樹や1年目うまく行ったダルビッシュ有も成功組に入る…

1003 3・11日本の新聞は敗北した NYタイムズ東京支局長の新聞批判

東日本大震災と東京電力福島第一原発事故に関して、おびただしいニュースが流されたにもかかわらず、特に原発事故の報道にはいらだちを感じた。事故をめぐって日本のマスコミ、その中心である新聞の報道は頼りなかった。原発のメルトダウンやSPEED(緊…

906 朝の散歩の風景 風評被害を助長した行政の怠慢

毎朝、犬の散歩をするのが日課になっている。震災後、変わった服装の人を見かけるようになった。年格好は64、5歳の男性が白い上下のトレーニングウエア(長袖、長ズボン)に白い靴、白い登山帽、サングラス、白いマスク姿で散歩をしているのだ。 真夏の暑…

904 被災地の新聞の一番長い日 河北新報記者が見た悪夢の光景

若い時代に仙台で勤務したことがある。その前には秋田にいた。生まれが福島であり、東北は文字通り私の故郷なのである。だから、東日本大震災で東北各地が痛めつけられ、原発事故で多くの福島の人たちがいまも避難生活を強いられていることが無念でならない…

899 野球に夢を見ることができるのか 映画「マネーボール」

プロ野球・巨人の球団人事をめぐって、清武英利球団代表兼GMと読売新聞グループ本社会長・主筆・渡辺恒雄氏の確執が話題になっている。人気球団の内紛だけに、注目が集まったのだろう。そんな騒ぎのときに、大リーグ・オークランド・アスレチックスの実在…

896 生死分けたドラマを訪ねて 「震災日誌in仙台」

仙台在住のジャーナリスト、松舘忠樹さんが書き続けていた東日本大震災の記録が「震災日誌in仙台」(仙台市/笹氣出版)という本になって出版された。半年に及ぶ、取材の記録である。この記録については、概要を10月30日に紹介した。 松舘さんは、この本…

890 プロ野球と民放  BSでしか見られないファイナル・ステージ

民放のTBSグループが、所有していたプロ野球球団、横浜ベイスターズを「モバゲータウン」というインターネット上のゲームサイトを運営するディー・エヌ・エーに譲渡することが決まったというニュースを見た。 同じ夜、プロ野球のセ・パ両リーグともファイ…

693 世論の呉越同舟 前代未聞の3新聞の社説

きょうの朝刊には民主党代表選が大きく報じられている。東京で発行されている主要6つの新聞は全紙社説(産経は主張)でも取り上げ、うち朝日、毎日、産経の3紙は「前代未聞」ともいえる論調を張っている。 昨日、代表選への立候補を表明した小沢一郎前幹事…

658 ライバル紙の失敗 相撲協会と記者たち

けさ(6日)の産経新聞の「産經抄」は面白かった。辛口のコラムで知られるが、こんな書き出しでライバル紙の失敗に触れていたからだ。 きのうの朝刊各紙は一面で、日本相撲協会の理事長代行に、元東京高検検事長の村山弘義さんが指名されたことを伝えていた…

654 器量の小さい人たち 力士たちよ世の中を知ろう

「小人閑居して不善をなす」という言葉がある。広辞苑によると「器量の小さい人はひまでいると、つい、よくないことをする」という意味だ。大獄親方と大関琴光喜が解雇処分になり、理事長はじめ多くの理事・力士が謹慎処分となった相撲界の「野球賭博」問題…

650 W杯余聞 礼文の旅途中で

南アフリカのW杯サッカーを見ていて、「勝てば官軍、負ければ賊軍」という言葉を思い出している。それは岡田監督率いる日本チームも例外ではない。辞書によると、道理はどうあれ戦いに勝った強い者が正義者となるというたとえであり、明治維新の結果を指し…

646 長老記者の輝き W杯開幕とともに

南アフリカで、アフリカ初のサッカーのワールドカップ(W杯)が始まった11日夜、東京のプレンスセンターである長老記者を書いた本の出版記念会が開かれた。 この長老記者は、実は日本が初めてW杯に挑戦したスイス大会予選(1954年)のゴールキーパー…

622 「ここに記者あり!」 自由を愛するジャーナリスト魂

「ここに記者あり!」(岩波書店)は、共同通信社で生涯一記者を貫いた村岡博人の記者としての生き方を通じて、ジャーナリストの「実践論」を書いた本(筆者の片山正彦のあとがき)である。 同時に社会部記者の活動を通じた戦後史として読むことができる作品…

432 地に堕ちた雑誌ジャーナリズム ああ、週刊新潮よ

時効になった朝日新聞阪神支局襲撃事件(1987年5月)について、真犯人と称する男の告白手記を連載した週刊新潮の報道は完全な虚報だった。 これを説明した4月23日号の編集長の報告はお粗末で、雑誌ジャーナリズムの終焉を思わせた。これを読んで「あ…

430 「我、拗ね者として生涯を閉ず」 本田靖春の頑固人生

拗ね者と聞いて連想するのは、社会の暗部にたむろするやくざのような存在か。かつては新聞記者も無頼派を気取り、斜に構えて世の中を見る輩が多かったという。 「孤高の精神」「無冠の帝王」「一匹狼」などの表現は、そうした時代の新聞記者の代名詞でもあっ…

424 経済報道についての一考察 企業の内部留保33兆円

雇用の大幅削減を一斉に大手企業が進めている。旧聞になるが、これに絡んで日本を代表する大手企業16社の内部留保が過去最高の33兆円に達したという記事が昨年末出たことを記憶している。この記事をめぐって、賛否両論が相次いだことを記事を配信した共…

250 メディアの衰退 新聞もテレビも?

新聞の活字が大きくなった。高齢者を意識し、読みやすさを考えた拡大なのだという。しかし、このために提供される情報量が減ったことは間違いない。 読みやすさというが、私を含め50歳代くらい以降の年代はかなりの人が老眼鏡をかけて新聞を読むのだから、少…

187 官も民もひどい乱れ これが日本の現状

防衛省や厚生労働省のいい加減さが毎日話題になっている。いつの時代でも、悪い奴や責任を逃れようとする役人はいる。日本だけでなく、隣国、中国でも公務員の汚職はひどい実態にあるという。 いま、2つの省以外の役人たちは、どんな思いで報道や国会の動き…

174 ベトさんの死 悲劇の青春

下半身がつながった結合双生児として産まれた双子の兄弟のうち、兄のグエン・ベトさんが亡くなった。26歳の短い一生だった。 弟のグエン・ドクさんが結婚したとニュースに出たのは、たしか昨年ではなかったか。ベトナム戦争の被害者であるベトさんのご冥福…

173 ミャンマーと相撲界 時代に逆らう

何度も映画化された竹山道雄の小説「ビルマの竪琴」によって、ビルマ(現ミャンマー)という国名は、日本人の多くに強い印象を与えた。太平洋戦争で日本軍が占領した地域であり、小説のように、終戦後もそのままビルマに残った日本の軍人は少なくないといわ…

169 「ロッキード秘録」 政治とカネの原点

政治とカネは、いつの時代でも議論の的になる。今回の安倍政権のわずか1年での崩壊も背景にはこの問題があり、戦後の政治の世界も同様だった。そして、顕著な例は「ロッキード事件」だった。 高度経済成長時代のまっ只中で起きたこの事件では「いま太閤」と…

166 1年でまた自民党総裁選 次の総選挙が試金石

ちょうど1年前、自民党の総裁選が行われていた。安倍、麻生、谷垣の3氏が立候補し、当初から安倍優勢が伝えられ、日本記者クラブで開かれた公開討論会でも、麻生、谷垣両氏は安倍氏を気遣う発言をしていて、勝負あったという印象が濃厚だった。 まさか、1…

163 首相の辞め方 早期退陣だけが実績

昔から「斜に構えた人だ」とよく言われた。物事を素直に見たり聞いたりすることが嫌いであることが顔に表れるからだろうか。それは、私が長い間携わった職業を支える「基本」にもなった。 世の中の動き、出来事にいつも頭から信用せず、疑ってかかるという習…

160 2つの殺人事件に衝撃 8月の終わりに

8月、2つの事件に衝撃を受けた。名古屋のネットで知り合った男3人による女性殺人事件と警視庁の警官の拳銃を使った女性殺害事件だ。 犯罪はその時代を映すとよく言われる。2つの事件を見ていると、現代社会の病弊を色濃く反映しているように思えてならない…

69 表と裏 あの会社もか

ことしになって、不二家、北海道ガス、関西テレビと有名企業の不祥事が相次いでいる。これらの事象は食べ物、ライフライン、テレビに対する不信感を増幅させた。 北海道ガスの場合は、ガス漏れが人命につながることを軽視した結果だが、不二家と関西テレビの…