小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

2007-09-01から1ヶ月間の記事一覧

170 長い旅 足摺岬への道

朝7時に自宅を出て、高知県土佐清水市に到着したのは午後3時のことだった。所要時間は8時間。けっこうな長旅で訪れた四国の外れの街は、真夏の暑さが残っていた。 羽田まではバスに乗り、飛行機で高知空港(高知竜馬空港とも呼ぶ)へ。次にJR高知駅までま…

170 長い旅 足摺岬への道

朝7時に自宅を出て、高知県土佐清水市に到着したのは午後3時のことだった。所要時間は8時間。けっこうな長旅で訪れた四国の外れの街は、真夏の暑さが残っていた。 羽田まではバスに乗り、飛行機で高知空港(高知竜馬空港とも呼ぶ)へ。 次にJR高知駅まで…

169 「ロッキード秘録」 政治とカネの原点

政治とカネは、いつの時代でも議論の的になる。今回の安倍政権のわずか1年での崩壊も背景にはこの問題があり、戦後の政治の世界も同様だった。そして、顕著な例は「ロッキード事件」だった。 高度経済成長時代のまっ只中で起きたこの事件では「いま太閤」と…

169 「ロッキード秘録」 政治とカネの原点

政治とカネは、いつの時代でも議論の的になる。今回の安倍政権のわずか1年での崩壊も背景にはこの問題があり、戦後の政治の世界も同様だった。そして、顕著な例は「ロッキード事件」だった。 高度経済成長時代のまっ只中で起きたこの事件では「いま太閤」と…

168 母の命日 旅の空の下で

母の命日は9月6日だ。優しくもあり、厳しい母だった。私は母が大好きで小学校の低学年まで一緒の布団で寝ていた。 しかし、朝、目が覚めるとそこに母はいなかった。早朝から仕事に行き、帰ってくると朝食の準備をしている。ほどんと話はしない。寡黙な人だっ…

168 母の命日 旅の空の下で

母の命日は9月6日だ。優しくもあり、厳しい母だった。私は母が大好きで小学校の低学年まで一緒の布団で寝ていた。しかし、朝、目が覚めるとそこに母はいなかった。早朝から仕事に行き、帰ってくると朝食の準備をしている。ほどんと話はしない。寡黙な人だっ…

167 カフカ・変身を読む 非日常的ながら現実を投影

周囲に読書好きがいて、ある日「カフカを読みませんか」と、手渡されたのが「変身」(白水Uブックス・池内紀訳)だった。いまさら変わった作品で知られるカフカでもあるまいと、数日放っておいた。 読書好きは、村上春樹の「海辺のカフカ」に触発されて、カ…

167 カフカ・変身を読む 非日常的ながら現実を投影

周囲に読書好きがいて、ある日「カフカを読みませんか」と、手渡されたのが「変身」(白水Uブックス・池内紀訳)だった。いまさら変わった作品で知られるカフカでもあるまいと、数日放っておいた。 読書好きは、村上春樹の「海辺のカフカ」に触発されて、カ…

166 1年でまた自民党総裁選 次の総選挙が試金石

ちょうど1年前、自民党の総裁選が行われていた。安倍、麻生、谷垣の3氏が立候補し、当初から安倍優勢が伝えられ、日本記者クラブで開かれた公開討論会でも、麻生、谷垣両氏は安倍氏を気遣う発言をしていて、勝負あったという印象が濃厚だった。 まさか、1…

166 1年でまた自民党総裁選 次の総選挙が試金石

ちょうど1年前、自民党の総裁選が行われていた。安倍、麻生、谷垣の3氏が立候補し、当初から安倍優勢が伝えられ、日本記者クラブで開かれた公開討論会でも、麻生、谷垣両氏は安倍氏を気遣う発言をしていて、勝負あったという印象が濃厚だった。 まさか、1…

165 小説から学ぶ人間の根源 アフリカの瞳 わたしを離さないで

全く分野が異なる2つの小説を読んだ。アフリカを舞台に、日本人医師がエイズと闘う小説「アフリカの瞳」(帚木 蓬生 著)と、臓器を提供するために生まれてきたクローン人間の青春を描いた「わたしを離さないで」(カズオ・イシグロ著・翻訳本)である。 2…

165 小説から学ぶ人間の根源 アフリカの瞳 わたしを離さないで

全く分野が異なる2つの小説を読んだ。アフリカを舞台に、日本人医師がエイズと闘う小説『アフリカの瞳』(帚木 蓬生 著)と、臓器を提供するために生まれてきたクローン人間の青春を描いた『わたしを離さないで』(カズオ・イシグロ著・翻訳本)である。 2…

164 海外で生活する日本人 人間の生き方を考える

ニュージーランドを旅して、何人かの日本人ガイドに世話になった。クライストチャーチ、クイーンズタウン、オークランドと、それぞれの都市に住み着いた人たちだ。この国に渡ったのは、それぞれ事情が違うが、いつの間にか日本への帰国を先延ばしにして「山…

164 海外で生活する日本人 人間の生き方を考える

ニュージーランドを旅して、何人かの日本人ガイドに世話になった。クライストチャーチ、クイーンズタウン、オークランドと、それぞれの都市に住み着いた人たちだ。この国に渡ったのは、それぞれ事情が違うが、いつの間にか日本への帰国を先延ばしにして「山…

163 首相の辞め方 早期退陣だけが実績

昔から「斜に構えた人だ」とよく言われた。物事を素直に見たり聞いたりすることが嫌いであることが顔に表れるからだろうか。それは、私が長い間携わった職業を支える「基本」にもなった。 世の中の動き、出来事にいつも頭から信用せず、疑ってかかるという習…

163 首相の辞め方 早期退陣だけが実績

昔から「斜に構えた人だ」とよく言われた。物事を素直に見たり聞いたりすることが嫌いであることが顔に表れるからだろうか。それは、私が長い間携わった職業を支える「基本」にもなった。 世の中の動き、出来事にいつも頭から信用せず、疑ってかかるという習…

162 世界遺産ミルフォード・サウンドで虹を見る NZの南島にて

「北海道の然別湖と似たようなものだな」と、半ばばかにしていた。それが間違いと気づくのに時間はかからなかった。世界遺産「ミルフォード・サウンド」(ニュージーランド)の船の旅は、強烈な印象を私に与えたのである。 映像や写真では味わうことができな…

162 世界遺産ミルフォード・サウンドで虹を見る NZの南島にて

「北海道の然別湖と似たようなものだな」と、半ばばかにしていた。それが間違いと気づくのに時間はかからなかった。世界遺産「ミルフォード・サウンド」(ニュージーランド)の船の旅は、強烈な印象を私に与えたのである。 映像や写真では味わうことができな…

161 南十字星を見る NZの北島にて

私の子どものころの日本は、夜はいまのように明るくはなかった。というよりも、街灯は少なく、冬空に輝く星は美しく見えた。(写真はロトルアの温泉に面した湖) しかし、大都市に住む現在はそうした星空を楽しんで見ることはなくなった。そして、夜空を見上…

161 南十字星を見る NZの北島にて

私の子どものころの日本は、夜はいまのように明るくはなかった。というよりも、街灯は少なく、冬空に輝く星は美しく見えた。(写真はロトルアの温泉に面した湖) しかし、大都市に住む現在はそうした星空を楽しんで見ることはなくなった。そして、夜空を見上…