小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

写真

1366 生き方の結晶・野菜と花 「アウラ」市毛實写真展

「アウラ」と題した写真展を見た。5月26日から31日まで東京・南青山で開かれている市毛實さんの花と野菜に絞った写真展だ。モノクロの光と影を駆使したさまざまな写真からは不思議な生命力が伝わり、会場には深淵な雰囲気が漂っていた。 「アウラ」とい…

1198 カメラは特別な目 霧の朝の一断面

3日は節分。歳時記には「立春の前日で、新暦2月3日ごろにあたる。もともと四季それぞれの分かれ目をいう語だが、現在は冬と春の境をいう」(角川学芸出版編)とあり、光の春がそこまで近づいている節目の一日なのだ。朝、自宅周辺は濃い霧に包まれた。外…

1182 たった一枚の写真でも すがすがしさとおぞましさ

たった一枚でも写真の力は大きい―。そんなことを考えながら、日本橋三越で開催中の2013年報道写真展(東京写真記者協会主催)のグランプリ作品「見せましょう!日本の底力を」を見た。一方、同じ写真でも北朝鮮が国営メディアを通じて公表したNO2・張…

1181 デジカメ過剰撮影時代のマイナス効果 旅の記録と記憶

カメラといえばデジタルカメラの時代で、フィルムカメラを使うのは写真のプロか、一部の愛好者しかいないといっていいだろう。そんな時代、だれもが枚数を気にせずシャッターを切る。旅先で数多くの写真を撮影してしまい、あとでどれをプリントしたらいいか…

1123 遠くから見つめる富士 凛とした姿描いた友人の絵

富士山の世界遺産(文化)登録が決まる直前、大阪から上京した友人から一枚の日本画をもらった。雪を抱いた富士山とその前には白い波の海が広がっている。各地から望む富士山の姿を描いた葛飾北斎の「富獄三十六景」や以前のブログで紹介した平松礼二の「2…

420 写真とは絵画とは スペインの小説「戦場の画家」

主に登場するのは3人という小説を読んだ。スペインの作家、アルトゥーロ・ペレス・レベルテの「戦場の画家」という作品だ。 私はこの作品を読んだあと、人間社会の不条理を主題にしたカミュの「異邦人」をなぜか思い起こした。 戦場の画家は、元戦争カメラ…

285 モノクロ・影絵の世界へのいざない 「般若心経」写真展を観る

一般的な日本人は、信仰心が薄いのではないか。ただし初詣や受験の際には、にわかに信仰心が出るのか寺や神社に詣でるし、旧い神社仏閣が好きな人も多い。しかし、どうみても私を含めて基本的にキリスト教やイスラム教が普及した諸国に比較すれば、ふだんの…