小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

1774 4月28日は何の日か 沖縄問題素通りの日米首脳会談

10連休2日目の4月28日は、サンフランシスコ平和条約(対日講和条約)が発効した日だ。第2次世界大戦後、米国を中心とする連合国に占領されていた日本が各国との間でサンフランシスコで平和条約を調印したのは1951年9月8日で、この条約は翌52…

1773 憎しみの連鎖 スリランカ大統領と鎌倉大仏

スリランカ(かつてのセイロン)最大の都市、コロンボで同時多発テロがあり、22日午後7時現在日本人を含む290人が死亡し、450人以上が負傷した。スリランカといえば、日本の戦後史に残る政治家がいた。鎌倉大仏殿高徳院境内に「人はただ愛によって…

1772 大聖堂火災で歴史遺産を考える 世界の人の目は

パリの世界遺産、ノートルダム大聖堂(寺院)で火災が発生、尖塔が崩壊するなど、大きなダメージを受けた。フランス各界や海外からこれまでに1000億円を超える寄付の申し出があり、フランスのマクロン大統領は、5年で再建を目指すと語った。大聖堂がパリ…

1771 生命力を感じる新緑と桜 子規とドナルド・キーンもまた

私が住む首都圏は現在、新緑、若葉の季節である。街路樹のクスノキの緑が萌え、生け垣のベニカナメの赤い新芽がまぶしいこのごろだ。新緑、若葉の2つは俳句では「夏」の季語になる。しかし立夏はまだ先(5月6日)で、今は春爛漫というのが適切な時期にな…

1770 新札デザイン・2千円・守礼の門は 司馬遼太郎の沖縄への思い

2024年度から紙幣(1万円、5千円、千円)のデザインが変更になると政府が発表した。唯一、2千円は変わらない。普段、私はお札のデザインを気にしていないが、かつて1万円については「聖徳太子」という別称があったことを記憶している。表紙の聖徳太…

1769 時代を映す鏡 水上勉の社会派推理小説再読

水上勉の社会派推理小説といわれる一連の作品を集中して再読した。作品名を順番に挙げると『霧と影』『巣の絵』『海の牙』『爪』『耳』『死の流域』『火の笛』『飢餓海峡』(いずれも朝日新聞社発行の「水上勉社会派傑作選」より)である。いずれも、戦後の…

1768 東京も千葉も福島も桜の季節 「人はいかに生きるべきか」

かつては「桜前線が北上」という言葉が一般的だった。だが昨今、この言葉はあまり使われなくなった。異常気象といわれた世界の気象がいまや恒常化してしまい、東京と福岡の桜の開花日が同じになっている。自然界も異常を普通にしてしまう「トランプ現象」と…

1767辞書を引きながら…… 無常を感じる新元号発表の日

新聞、テレビが大騒ぎをしていた新元号が「令和」と決まった。多くの人たちは西暦表記に慣れているので、元号が替わっても何の影響もないが、元号とは何なのだろう。「元号法」という法律もあるが、よく分からない。「令」も何となく違和感がある。 元号法は…