友人
数年前、中国に住む友人からメールが届いた。それは50代で亡くなった後輩の話を書いた不思議な内容だった。これまでかなりメールをやりとりしているが、忘れられないメールの一つだ。桜の季節になると思い出すのはなぜなのだろう。 以下はそのメール。 けさN…
つい最近まで、私の近くにカナダのL・M・モンゴメリの小説『赤毛のアン』をほうふつとさせる人がいた。本人はそのことには気づいていないかもしれない。あるいは、アンの生き方を指針にしていたのかもしれない。 モンゴメリがこの小説を発表したのは、ちょう…
進路を決めるに当たって、迷いがない人は少ない。私もその1人だ。何を職業として選択するか、いろいろと迷ったものだ。だが、少年時代に出会った人の一言が結局は私の人生を左右した。 中学1年生の時に社会と国語の教師として、大学を出たばかりの若い女性の…
知り合いの裁判官が1日付で関東地方の裁判所から、故郷である関西の裁判所に異動した。関西地方で弁護士をしていた彼は「弁護士任官制度」により、裁判官になった。 関西の弁護士連合会が市民参加の協議会をつくり、彼を推薦したのは、2002年2月のことだった…
このところ、別れや新しい出会いがある。3月、4月は、人生で何回も繰り返す「邂逅(かいこう・めぐりあい)の季節」なのだ。 流行作家だった亀井勝一郎は「人生は邂逅である」(正確には人生 邂逅し 開眼し 瞑目す)という名言を残した。うまい言葉である。…
誠実を絵に描いたような男がいる。その生き方は真っ直ぐで、その姿を見る度に清々しさを感じる。定年を機に「メディアつれづれ帖」(株式会社虔発行)という本を出版した角田光男氏だ。 東京・下町に生まれ、長い間メディアの世界に身を置いた。この本は、そ…
駆け足で近江八幡から京都を経由して神戸に行った。京都で途中下車をして、時間があれば、ある友人と会いたいと思った。それはかなわなかった。青くさい少年時代の一時期を共有した友人だ。 人嫌いで、友だちとはあまりうちとけることができない少年時代だっ…
昼時、若い友人2人(女性)と食事に行った。長い間続く虎ノ門のスパゲッティ専門店だ。既に列ができている。私の後ろに並んだ友人を見て、この店の年のころ70歳くらいと思われる女主人が言い放った。「女は嫌いよ。いやなら帰ってよ」と。 列に並んだ男性…
若い友人からメールで昼食に誘われた。昼食の誘いなのに「お話があります」と付け加えてある。あらたまったメールに「何かあるな」と思って、顔を会わせると「仕事を替えることにしました」という報告だった。 友人はいまの仕事に就いて2年になる。就職して…