小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧

1548 ある障害者の体験 電車内は文化レベルの尺度

障害者支援のNPOを運営している知人が視覚障害者になった。視野狭窄の病気が進行したためで、医師からは外出する際、白い杖を持つように勧められ、知人は白い杖を持って外出、電車に乗るようになった。そこで知人が体験したことは、現代社会のよそよそし…

1547 優れた人との出会いが花の時代 『わたしの渡世日記』から

「人は老いて、ふと我が来し方を振り返ってみたとき、かならず闇夜に灯を見たような、心あたたまる経験を、自分も幾つか持っていることに気づくだろう。それがその人の『花の時代』である。(中略)私の場合でいうならば、優れた人間に出会った時期をこそ、…

1546 再読『一九八四年』 全体主義の芽がそこに…

北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏がマレーシア・クアラルンプール空港で暗殺された事件が国際的波紋を呼んでいる。北朝鮮による多国籍の人間を使った請負殺人との見方も出ている。国際空港を舞台にした事件は、全体主義国家の恐怖を描い…

1545 市民が支える小さな山荘 愛の鐘響く新庄・杢蔵山

作家の深田久弥(1903~1971)は、長い年月をかけて日本の名峰、百座を登頂した。その実体験を基に名作『日本百名山』を書いた。その後記(新潮文庫)で「日本人ほど山を崇び山に親しんだ国民は、世界に類がない。国を肇めた昔から山に縁があり、ど…

1544 異質さを認め尊重する手がかり トランプ時代の『アンネの日記』の読み方

「人間相互の“異質さ”を認めあい、尊重しあうための手掛かりとして読んでいただければと思う」。翻訳者、深町眞理子は、『アンネの日記 増補新訂版』(文春文庫)のあとがきで、こんなことを書いている。イスラム圏7か国出身者の入国禁止令を出して物議をか…