小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

404 若い画家とオペラ歌手家田紀子さん 優雅な時間

詩人の飯島正治さんには、画家になった誠さんという自慢(私の想像だが)の息子がいる。その誠さんが京橋の画廊で「記憶と光彩」という個展を開いた。 2月の終わりの夕方、画廊に向かった。ほっそりとした青年が1人、画廊に立っている。どことなく父親の正…

404 若い画家とオペラ歌手家田紀子さん 優雅な時間

詩人の飯島正治さんには、画家になった誠さんという自慢(私の想像だが)の息子がいる。その誠さんが京橋の画廊で「記憶と光彩」という個展を開いた。 2月の終わりの夕方、画廊に向かった。ほっそりとした青年が1人、画廊に立っている。どことなく父親の正…

403 うぐいすが鳴いた 優しい初音

日の出の時間が早くなり、朝の散歩には気持ちがいい季節だ。「光の春」という見出しをつけた新聞記事も見た。降り注ぐ陽光の明るさを表現した好きな言葉だ。つい最近、犬の散歩の途中、公園の近くで鶯の鳴き声を聞いた。 朝の冷たい空気の中で初めて聞く鶯の…

403 うぐいすが鳴いた 優しい初音

日の出の時間が早くなり、朝の散歩には気持ちがいい季節だ。「光の春」という見出しをつけた新聞記事も見た。降り注ぐ陽光の明るさを表現した好きな言葉だ。つい最近、犬の散歩の途中、公園の近くで鶯の鳴き声を聞いた。 朝の冷たい空気の中で初めて聞く鶯の…

402 語り継ぐべき個人の歴史 城戸久枝「あの戦争から遠く離れて」

かつて、中国残留日本人孤児問題にかかわった。多くの人たちと出会い、苦しみ、悲しみの表情に接した。一方で肉親と再会した喜びの顔にも何度も遭遇した。 39回目の大宅賞を受賞した城戸久枝の「あの戦争から遠く離れて」を読んで、個人の歴史とはいえ、激…

402 語り継ぐべき個人の歴史 城戸久枝「あの戦争から遠く離れて」

かつて、中国残留日本人孤児問題にかかわった。多くの人たちと出会い、苦しみ、悲しみの表情に接した。一方で肉親と再会した喜びの顔にも何度も遭遇した。 39回目の大宅賞を受賞した城戸久枝の「あの戦争から遠く離れて」を読んで、個人の歴史とはいえ、激…

401 アルルの女「フェデリコの嘆き」 ある団塊の世代の生き方

生涯学習という言葉は、1980年代から使われ始めた官製用語らしい。本を読んだり、好きなことを習ったり、生涯やることは多い。別に役所から言われなくとも、多くの人が心がけていることだから、この言葉はあまり好きではない。余計なお世話なのである。 …

401 アルルの女「フェデリコの嘆き」 ある団塊の世代の生き方

生涯学習という言葉は、1980年代から使われ始めた官製用語らしい。本を読んだり、好きなことを習ったり、生涯やることは多い。別に役所から言われなくとも、多くの人が心がけていることだから、この言葉はあまり好きではない。余計なお世話なのである。 …

400 考える葦に 人間の尊厳とは

フランスの哲学者パスカルはパンセの中で「人間はひとくきの葦にすぎない。自然の中で最も弱いものである。だが、それは考える葦である」という言葉を残した。「人間の尊厳のすべては、考えることのなかにある」そして「考えが、人間の偉大さをつくる」とい…

400 考える葦に 人間の尊厳とは

フランスの哲学者パスカルはパンセの中で「人間はひとくきの葦にすぎない。自然の中で最も弱いものである。だが、それは考える葦である」という言葉を残した。「人間の尊厳のすべては、考えることのなかにある」そして「考えが、人間の偉大さをつくる」とい…

399 村上流発想の妙 エルサレム賞受賞に思う

私が「エルサレム」という都市の名前を覚えたのは、小学5年生のころだと記憶する。学芸会に「善きサマリア人」という劇を私のクラスが演じた。サマリア人は、イスラエル人とアッシリアからサマリアに来た移民との間に生まれた人々とその子孫のことをいうが…

399 村上流発想の妙 エルサレム賞受賞に思う

私が「エルサレム」という都市の名前を覚えたのは、小学5年生のころだと記憶する。学芸会に「善きサマリア人」という劇を私のクラスが演じた。サマリア人は、イスラエル人とアッシリアからサマリアに来た移民との間に生まれた人々とその子孫のことをいうが…

398 人を裁く難しさ 江東の女性殺害事件の無期判決

人間は残酷な動物だ。人間が人間に危害を加えることがいつになっても終わらない。殺人事件はもちろん、国家が絡んだ殺人の典型は戦争である。 後者の方は、勝者が敗者の国民の多数を殺しても、罪に問われることはほぼない。前者はそうはいかない。しかし、そ…

398 人を裁く難しさ 江東の女性殺害事件の無期判決

人間は残酷な動物だ。人間が人間に危害を加えることがいつになっても終わらない。殺人事件はもちろん、国家が絡んだ殺人の典型は戦争である。後者の方は、勝者が敗者の国民の多数を殺しても、罪に問われることはほぼない。前者はそうはいかない。しかし、そ…

397 醜態大臣よさらば アルコールの功罪

こんなことを書くのもばからしくなるくらい、財務大臣を辞任した中川昭一氏のG7後の記者会見はひどすぎた。 だから、同じ自民党からさえも、同情の声はない。中川氏の醜態を映すテレビを見ながら、2007年の赤木徳彦元農水相のバンソコウ会見事件を思い…

397 醜態大臣よさらば アルコールの功罪

こんなことを書くのもばからしくなるくらい、財務大臣を辞任した中川昭一氏のG7後の記者会見はひどすぎた。だから、同じ自民党からさえも、同情の声はない。中川氏の醜態を映すテレビを見ながら、2007年の赤木徳彦元農水相のバンソコウ会見事件を思い…

396 桜が咲く丘にて いつか来た道を

汗ばむような陽気が続いた。昨日は陽気を通り越して、2月としては気象庁の観測史上初の夏日を記録した。沖縄ならまだしも本州で2月にこのような天気はやはり異常としか言いようがない。 この陽気に誘われて、けさも自宅の前の遊歩道には散歩の人が次から次…

396 桜が咲く丘にて いつか来た道を

汗ばむような陽気が続いた。昨日は陽気を通り越して、2月としては気象庁の観測史上初の夏日を記録した。沖縄ならまだしも本州で2月にこのような天気はやはり異常としか言いようがない。 この陽気に誘われて、けさも自宅の前の遊歩道には散歩の人が次から次…

395 hanaのつぶやき 2月・夏日の庭で

夕べの嵐で、私は寝不足です。ものすごい風が雨戸を鳴らすし、湿気が高くて体が火照ってたまりませんでした。そして、きょうの暑さです。普通、2月の14日といえば、一年で一番寒いころだといわれています。 でも、お父さんが家族に話しているのを聞いたと…

395 hanaのつぶやき 2月・夏日の庭で

夕べの嵐で、私は寝不足です。ものすごい風が雨戸を鳴らすし、湿気が高くて体が火照ってたまりませんでした。そして、きょうの暑さです。普通、2月の14日といえば、一年で一番寒いころだといわれています。 も、お父さんが家族に話しているのを聞いたとこ…

394 「石敢當」の意味は  世界各地に必要な魔よけ

沖縄を歩くと、方々で「石敢當」という文字が彫られた石が目に付く。何の意味なのだろうか。 近代的なホテルの入り口近くの角にもあるので気になり、受付の女性に聞いてみた。「魔物は真っ直ぐ玄関には向かわず、角を通ってやってくる習性があり、そこに魔物…

394 「石敢當」の意味は  世界各地に必要な魔よけ

沖縄を歩くと、方々で「石敢當」という文字が彫られた石が目に付く。何の意味なのだろうか。 近代的なホテルの入り口近くの角にもあるので気になり、受付の女性に聞いてみた。「魔物は真っ直ぐ玄関には向かわず、角を通ってやってくる習性があり、そこに魔物…

393 いーちゃん・ユウちゃん 静かな町の少女の物語

沖縄は桜(ヒカンザクラ)」が満開だった。機会があって中国の学生らと一緒に沖縄を回った。その中に、一人だけ際立って日本語が流暢な女性がいた。 彼女は自ら通訳を買って出て、的確な表現で私を驚かせた。それもそのはずだ。彼女は幼いころ、兵庫県三田市で…

393 いーちゃん・ユウちゃん 静かな町の少女の物語

沖縄は桜(ヒカンザクラ)」が満開だった。機会があって中国の学生らと一緒に沖縄を回った。その中に、一人だけ際立って日本語が流暢な女性がいた。彼女は自ら通訳を買って出て、的確な表現で私を驚かせた。それもそのはずだ。彼女は幼いころ、兵庫県三田市で…

392 躍動する子どもたち 沖縄の組踊・肝高の阿麻和利

沖縄県うるま市にある「きむたかホール」で、沖縄の伝統芸能「組踊」を現代風にアレンジした「肝高(きむたか)の阿麻和利(あまわり)」の舞台稽古を見る機会があった。 1月20日のブログに書いた平田大一さんが演出しており、平田さんの案内でこの芝居に…

392 躍動する子どもたち 沖縄の組踊・肝高の阿麻和利

沖縄県うるま市にある「きむたかホール」で、沖縄の伝統芸能「組踊」を現代風にアレンジした「肝高(きむたか)の阿麻和利(あまわり)」の舞台稽古を見る機会があった。 1月20日のブログに書いた平田大一さんが演出しており、平田さんの案内でこの芝居に…

391 心の中で輝く2人の少女 小児がんで逝った福美ちゃんと桜ちゃん

昨年11月14日のブログで「小児がんの子どもたちの絵画展」について紹介した。その中に登場する2人の少女が最近NHKのニュース番組首都圏ネットワークの中で取り上げられた。 短い生涯を閉じた2人だが、ご両親はもちろんのこと周囲の人たちの心の中に、…

391 心の中で輝く2人の少女 小児がんで逝った福美ちゃんと桜ちゃん

昨年11月14日のブログで「小児がんの子どもたちの絵画展」について紹介した。その中に登場する2人の少女が最近NHKのニュース番組首都圏ネットワークの中で取り上げられた。短い生涯を閉じた2人だが、ご両親はもちろんのこと周囲の人たちの心の中に、い…