小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

2008-03-01から1ヶ月間の記事一覧

248 ことしも桜が咲いた 心和む春…

日本人はなぜ桜が好きなのだろう。国花であり、日本全国でこれほど花を愛でる楽しみを与えてくれるのは、桜しかないのかもしれない。 朝と夕、散歩する道や公園はいま冬から開放され、華やかな季節を迎えた。そう、桜が満開になっているからだ。この花を見る…

248 ことしも桜が咲いた 心和む春…

日本人はなぜ桜が好きなのだろう。国花であり、日本全国でこれほど花を愛でる楽しみを与えてくれるのは、桜しかないのかもしれない。 朝と夕、散歩する道や公園はいま冬から開放され、華やかな季節を迎えた。そう、桜が満開になっているからだ。この花を見る…

247 犬と10の約束 戸惑う理由

いま、犬と飼い主の心の通い合いを描いた映画「犬と私の10の約束」が上映されている。映画や原作の本によると、犬を飼うに当たって10の戒め・注意があるという。そのやってはならない戒めの一つを私は破ってしまい、しばらくの間、犬の顔を見るのがつらか…

247 犬と10の約束 戸惑う理由

いま、犬と飼い主の心の通い合いを描いた映画「犬と私の10の約束」が上映されている。映画や原作の本によると、犬を飼うに当たって10の戒め・注意があるという。そのやってはならない戒めの一つを私は破ってしまい、しばらくの間、犬の顔を見るのがつらか…

246 731部隊の闇 取材の深さを示した青木冨貴子の作品

もう20数年前になるが、中国東北部各地を旅したことがある。かつて満州といわれ、日本とは縁が深い地域だ。北京から飛行機で大連に行き、その後は列車の旅だった。中でもハルビン郊外の731部隊の跡地を案内されたときの気持ちは暗かった。 東北の旅は大連-…

246 731部隊の闇 取材の深さを示した青木冨貴子の作品

もう20数年前になるが、中国東北部各地を旅したことがある。かつて満州と呼ばれ、日本とは縁が深い地域だ。北京から飛行機で大連に飛び、その後は列車の旅だった。中でもハルビン郊外の731部隊の跡地を案内されたときの気持ちは暗かった。 東北部の旅は3週…

245 背伸びした少年時代 「ライ麦畑でつかまえて」

不可思議というのか、作者は何を言いたいのか理解しにくい作品がJ.D.サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」(白水ブックス、野崎孝訳、The Catcher in the Rye)だ。昔読んだものをあらためて読み返す。1951年の作品だが、背伸びした少年の姿はいまとあま…

245 背伸びした少年時代「ライ麦畑でつかまえて」

不可思議というのか、作者は何を言いたいのか理解しにくい作品がJ.D.サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」(白水ブックス、野崎孝訳、The Catcher in the Rye)だ。昔読んだものをあらためて読み返す。 1951年の作品だが、背伸びした少年の姿はいまとあま…

244 邂逅(かいこう)の季節  3つの贈る言葉

このところ、別れや新しい出会いがある。3月、4月は、人生で何回も繰り返す「邂逅(かいこう・めぐりあい)の季節」なのだ。 流行作家だった亀井勝一郎は「人生は邂逅である」(正確には人生 邂逅し 開眼し 瞑目す)という名言を残した。うまい言葉である。…

244 邂逅(かいこう)の季節  3つの贈る言葉

このところ、別れや新しい出会いがある。3月、4月は、人生で何回も繰り返す「邂逅(かいこう・めぐりあい)の季節」なのだ。 流行作家だった亀井勝一郎は「人生は邂逅である」(正確には人生 邂逅し 開眼し 瞑目す)という名言を残した。うまい言葉である。…

243 ある団塊の世代の転身 活字から語りの世界に

誠実を絵に描いたような男がいる。その生き方は真っ直ぐで、その姿を見る度に清々しさを感じる。定年を機に「メディアつれづれ帖」(株式会社虔発行)という本を出版した角田光男氏だ。 東京・下町に生まれ、長い間メディアの世界に身を置いた。この本は、そ…

243 ある団塊の世代の転身 活字から語りの世界に

誠実を絵に描いたような男がいる。その生き方は真っ直ぐで、その姿を見る度に清々しさを感じる。定年を機に「メディアつれづれ帖」(株式会社虔発行)という本を出版した角田光男氏だ。 東京・下町に生まれ、長い間メディアの世界に身を置いた。この本は、そ…

242 散り際の美学とは あるランナーの生き方

日本には、昔から「散り際の美学」という言葉がある。これまでの輝かしい選手生活やあるいは第一線の生活に幕を下ろして「卒然と散り行くことが美しい」という滅びの美学でもある。スポーツ選手や政治家などの引退の時期をめぐって、この言葉を思い浮かべる…

242 散り際の美学とは あるランナーの生き方

日本には、昔から「散り際の美学」という言葉がある。これまでの輝かしい選手生活やあるいは第一線の生活に幕を下ろして「卒然と散り行くことが美しい」という滅びの美学でもある。スポーツ選手や政治家などの引退の時期をめぐって、この言葉を思い浮かべる…

241 少年の夢かなえた友人 京都でシャンソンに生きる

駆け足で近江八幡から京都を経由して神戸に行った。京都で途中下車をして、時間があれば、ある友人と会いたいと思った。それはかなわなかった。青くさい少年時代の一時期を共有した友人だ。 人嫌いで、友だちとはあまりうちとけることができない少年時代だっ…

241 少年の夢かなえた友人 京都でシャンソンに生きる

駆け足で近江八幡から京都を経由して神戸に行った。京都で途中下車をして、時間があれば、ある友人と会いたいと思った。それはかなわなかった。青くさい少年時代の一時期を共有した友人だ。 人嫌いで、友だちとはあまりうちとけることができない少年時代だっ…

240 えらそうな女主人のスパゲッティ店 それでも長い行列

昼時、若い友人2人(女性)と食事に行った。長い間続く虎ノ門のスパゲッティ専門店だ。既に列ができている。私の後ろに並んだ友人を見て、この店の年のころ70歳くらいと思われる女主人が言い放った。「女は嫌いよ。いやなら帰ってよ」と。 列に並んだ男性…

240 えらそうな女主人のスパゲッティ店 それでも長い行列

昼時、若い友人2人(女性)と食事に行った。長い間続く虎ノ門のスパゲッティ専門店だ。既に列ができている。私の後ろに並んだ友人を見て、この店の年のころ70歳くらいと思われる女主人が言い放った。「女は嫌いよ。いやなら帰ってよ」と。 列に並んだ男性…

239 衝撃の美術展 近江八幡の障害者アートを見る

ランニングシャツに半ズボン、背中にリュックを背負って日本全国を放浪しながら、個性あふれる絵を描いた山下清画伯は有名だ。その才能はだれにも愛された。 その山下画伯以上か同等の才能を持ち、自分のために作品を作り出す人々がいま注目を集めている。ア…

239 衝撃の美術展 近江八幡の障害者アートを見る

ランニングシャツに半ズボン、背中にリュックを背負って日本全国を放浪しながら、個性あふれる絵を描いた山下清画伯は有名だ。その才能はだれにも愛された。 その山下画伯以上か同等の才能を持ち、自分のために作品を作り出す人々がいま注目を集めている。 …

238 青函連絡船百年 感動の再会

ことしは、青函連絡船が就航して百年になる。青函トンネルの開通によって、連絡船の役割を終えたのは、いまから20年前の1988年3月13日のことだ。 お台場にある船の科学館で今月7日、感動的な催しがあった。科学館の岸壁に係留されている青函連絡船、羊蹄丸の…

238 青函連絡船百年 感動の再会

ことしは、青函連絡船が就航して百年になる。青函トンネルの開通によって、連絡船の役割を終えたのは、いまから20年前の1988年3月13日のことだ。 お台場にある船の科学館で今月7日、感動的な催しがあった。 科学館の岸壁に係留されている青函連絡船、羊蹄丸…

237 3月は「わかれうた」の季節 友人の転身

若い友人からメールで昼食に誘われた。昼食の誘いなのに「お話があります」と付け加えてある。あらたまったメールに「何かあるな」と思って、顔を会わせると「仕事を替えることにしました」という報告だった。 友人はいまの仕事に就いて2年になる。就職して…

237 3月は「わかれうた」の季節 友人の転身

若い友人からメールで昼食に誘われた。昼食の誘いなのに「お話があります」と付け加えてある。あらたまったメールに「何かあるな」と思って、顔を会わせると「仕事を替えることにしました」という報告だった。 友人はいまの仕事に就いて2年になる。就職して…

236 映画「明日への遺言」 信念貫いた高潔な人間像

小泉堯史監督は、文学の秀作をじっくりと映画化するのが特徴といえる。「阿弥陀堂だより」(南木佳士)、「博士の愛した数式」(小川洋子)、今度の「ながい旅」(大岡昇平)からの「明日への遺言」。共通するのは静かな語りかけだ。 決して声高にはならない…

236 映画「明日への遺言」 信念貫いた高潔な人間像

小泉堯史監督は、文学の秀作をじっくりと映画化するのが特徴といえる。「阿弥陀堂だより」(南木佳士)、「博士の愛した数式」(小川洋子)、今度の「ながい旅」(大岡昇平)からの「明日への遺言」。共通するのは静かな語りかけだ。 決して声高にはならない…

235 雪、そして風 地方都市を歩く

雪の世界には慣れているはずだった。札幌で暮らした3年半は、雪が降る中を平気で歩いていた。東北を旅し、その自然はなかなか手ごわいと思った。盛岡、八戸、秋田。いずれの街でも私の体が既に「首都圏仕様」になっていることを痛感させられたのだ。 太平洋…

235 雪、そして風 地方都市を歩く

雪の世界には慣れているはずだった。札幌で暮らした3年半は、雪が降る中を平気で歩いていた。東北を旅し、その自然はなかなか手ごわいと思った。盛岡、八戸、秋田。いずれの街でも私の体が既に「首都圏仕様」になっていることを痛感させられたのだ。 太平洋…