ジャーナリズム
秋田市下浜から見た日本海。遠方に男鹿半島、右手に白い洋上発電の風車。 秋田市の高台に行き、男鹿半島方面を見ると、幾つもの風力発電の白い風車が輝いているのが見える。日本海からの風は風力発電に適しているからだろう。国が洋上風力発電促進区域として…
暑さをものともしない百日草 「俺は何でもできる。俺の友達は俺と同じだ」。こう思っている人物は独裁者ではないか。21世紀の現代もそのような政治家は存在する。アメリカのトランプ大統領が、薬物使用疑惑で米野球殿堂入りを逃した大リーグのレジェンド投…
夏の象徴・積乱雲 甲子園の夏の高校野球は、沖縄代表の沖縄尚学が西東京代表の日大三高を3-1で破って優勝した。選抜大会では2回優勝しているが、夏は初めて。沖縄勢の夏の大会優勝は2010年の沖縄興南以来だという。沖縄尚学の短い校歌を聞きながら、…
紫色のオシロイバナ 部屋に積んだままの資料の整理をしていたら、4年前のコロナ禍のころに出した手紙の下書きが出てきた。人生の先輩、Yさんの逝去を知らされ、奥さんに出したお悔みの手紙だった。そこには記者としての駆け足時代のことが書かれていた。懐…
陸前高田市の「奇跡の一本松」モニュメント 新聞の投書欄に、広島原爆の爆心地で大学生らしい若者が「爆心地」という表示を見て爆笑していた、という驚くべき話が載っていた。どのような感覚で笑ったのだろう。私には理解できない。似たような恥ずべき出来事…
夕方の東の空に出た珍しい形の雲 甲子園は高校球児の聖地なのか……。夏の全国高校野球が甲子園球場で始まった。しかし近年の猛暑続きの結果、試合時間は午前8時から午前2試合、午後4時15分から午後の2試合、という変則的な時間帯で実施されている。だが…
東京湾から見た美しい夕日の風景 アメリカはどこに行くのだろうか。ジョージ・オーウェルの『一九八四年』の世界、あるいは独裁者率いる北朝鮮のような国か。2度目の大統領になったトランプ氏の日々の行動を見ていると、急速にアメリカが変わっていくことを…
熱帯アジア・アフリカ原産のグロリアサの花 総理大臣ひとりを責めたって無駄さ 彼は象徴にすらなれやしない きみの大阪弁は永遠だけど 総理大臣はすぐ代わる 谷川俊太郎の詩集『夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった』(青土社)の中の一節だ。この詩集…
雲が怒っているような西の夕空 タイとカンボジアの間で国境をめぐって武力衝突が起きている。世界(文化)遺産の地だ。人類共通の財産ともいうべき世界遺産が争いの原因になっているのは、不幸なことである。その場所はカンボジア北部プレアビヒア州のダンレ…
「宙宇」という言葉がある。時間と空間という意味だ。ただ、最近はほとんど使われることが少ないためか、手元の広辞苑を含めたすべての辞書にこの言葉は載っていない。死語になりつつある、と言ったら「宮沢賢治だって使っているじゃないか」と怒る人もいる…
(北上川にて) 『銭形平次』は『銭形平次捕物控』の小説の主人公で、神田明神下に住む岡っ引き(注)の親分のことだ。かつて時代劇のヒーローとして人気があり、映画やテレビドラマになった。作者の野村胡堂(18821—963)は、この小説のシリーズで知られた…
《人と時代の営みの一端を、現実と想像の世界とを糾(あざな)いながら、散文詩風に綴ります。折々の、風の向きや風の便りをのせた『風信』のように》 元朝日新聞記者(素粒子、天声人語担当)のコラムニスト、高橋郁男さんが詩誌「コールサック」に長期連載…
イタリア生まれのオペラ作曲家、ジョアキーノ・ロッシーニ(1792~1868)は、37歳で引退した。この後の人生を、ロッシーニは何をして送ったのだろう。それは「食」である。ロッシーニは若くしての引退だが、定年後にスペインのバルセロナで豆腐屋を始めた…
パレスチナ・ガザで朝日新聞通信員がイスラエル軍の攻撃によって死亡したという記事が朝日朝刊の一面トップに出ていた。ガザ当局の発表では戦闘が始まって1年半で207人のジャーナリストが犠牲になったという。戦争取材は危険そのものであることは言うま…
ちょうど1年前のブログで、大リーグドジャースの大谷翔平に関するテレビ報道について書いていた。「朝から晩まで大谷…… すさまじいテレビの集中豪雨的報道」というタイトルだった。それほどテレビの大谷報道は異常だった。あれから1年が過ぎ、やはり同じ現…
「朝の散歩がこの上なく心地いい時期をようやく迎えた」。朝刊を読んでいて目を疑った。慌てて携帯の気象サイトを見る。首都圏のわが家周辺の午前6時の気温は氷点下1・4度、今冬一番の冷え込みだ。朝日新聞の「くらし」の頁にある「ひととき」という女性…
「言いたいことを言うのは、権利の行使であるに反して、言わねばならないことを言うのは、義務の履行だ」。この言葉は、かつて軍部・戦争批判を続けたジャーナリスト・信濃毎日新聞(長野)主筆の桐生悠々(1873~1941)のエッセイ集『畜生道の地球』(中公…
兵庫県の出直し知事選挙で、パワハラ疑惑などで失職した前知事の斎藤元彦氏が再選された。直前までは元尼崎市長の稲村和美氏がわずかにリードし、斉藤氏が追い上げていると新聞には報じられていたが、ふたを開けてみると、米国の大統領選で返り咲きが決まっ…
「アート書評」という言葉を聞いて、普通の人は絵画や芸術関係の出版物に関する本の書評と思うだろう。ところが、それは違うのだ。イラストレーターで多彩な才能を発揮し続ける横尾忠則が朝日新聞の書評欄で「展開」している書評を朝日はこのように名付けた…
「きのうの出来事に関する新聞記事がほとんどうそばかりである場合がある」。寺田寅彦が『随筆集』(岩波文庫)で、こんなことを書いているのを読んだ。戦前の話だ。それにしても、随分なことを書いたものだと思う。だが「中(あた)らずと雖(いえど)も遠…
いわゆる「闇バイト」といわれる無軌道な犯人たちによる広域強盗・強盗殺人事件が相次いでいる。フィリピンの拘置所から強盗や特殊詐欺を指示していた「ルフィ」らのグループが逮捕されたのは昨年2月だった。しかし、これ以後も似た事件は続き、ことし8月…
若い世代の新聞離れが著しいといわれる。だが、新聞は軽くて短いライトなSNS的文章とは無縁な、物を考える上でとても貴重な情報を提供していることを忘れてはならない。ここで一つのエピソードについて触れてみたい。微笑ましくも新聞の役割を象徴するような…
昨今、生成AIを使ってつくったニセの動画・写真の話題がニュースになっている。AIなどない時代に生きたのが詩人の中原中也(1907~37)だが、彼の肖像写真として知られる黒い帽子をかぶった少年の肖像は、実は本物とは別人のように違っているという。まさか…
「不器用」「愚直」「ひた向き」。功利主義全盛とも思える時代には合わないが、私はこの言葉のような生き方、仕事ぶりをする人を信頼する。新聞記者にもこうした人はいる。自分の取材テーマを追い続ける3人の記者(うち1人は元記者)の本を読み返し、ひた…
(キクイモモドキ) 今朝の新聞に、2つの新聞をめぐる「寂しい」記事が掲載されていた。全国紙の一つといわれる毎日新聞が富山への新聞配送を9月末限りでやめること、東京新聞が関東地方で発行していた夕刊を8月末で東京23区を除いて終了し、朝刊だけに…
先日、尾瀬を舞台にした『夏の思い出』の歌のことを書いた。すると、尾瀬に詳しい友人から、植物学者牧野富太郎(1862~1957)と、尾瀬を開拓し登山道を開いた平野長蔵(1870~1930)に関するちょっとした話を聞いた。植物学者としての牧野が自然破壊に加担…
酒を飲んだ時など、昔を思い出すことがあります。記者としての駆け出し時代が特に懐かしいのです。通信社の秋田支局は小さな支局でした。支局長と私を含めた若者4人。3人はいずれも3、4歳ほど上で、私を生意気な弟のように感じていたのかもしれません。…
「原稿より健康」。これは現役時代の私たち社会部記者の「合言葉」だった。残業時間が慢性的に月100時間を超えていて、いつも病気になるのではないか、という不安を抱えていた。今、現役時代を振り返ると、よく耐えたものだと思う。同じ意識を作家の芥川…
最近、年賀状を別にしてはがきが届くことはあまりない。過日、ダイレクトメールに混じって一通のはがきが郵便ポストに入っていた。それは、かつての競争相手であり、多くの時間を共有した仲間、O君の死を知らせる奥さんからの訃報だった。この8年、会うこと…
昨年来、大リーグの大谷翔平に関するテレビの報道はすさまじい。野球だけでなく結婚のこと、通訳のスポーツ賭博のことと連日連夜、テレビから集中豪雨のように流され続けている。かつて、評論家の大宅壮一はテレビの低俗ぶりを「一億総白痴化」という言葉で…