2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧
2215試合というプロ野球の連続試合出場記録を持ち、国民栄誉賞を受賞した元広島カープの衣笠祥雄さんが亡くなった。71歳だった。「鉄人」といわれた衣笠さんは17シーズン、全試合に出続けた。長い年月だ。その間、欠場の危機を乗り越えたのは優れた…
若い友人が「急性リンパ性白血病」を克服した体験記を書きました。この文章の中にはいくつかの「物語」が凝縮されています。私は心を打たれ、泣きました。 かつてこのブログで、小児がんのため幼くしてこの世を去った石川福美ちゃんのことを取り上げたことが…
ドイツ・ロマンティック街道の終点にノイシュバンシュタイン城がある。19世紀にルートヴィヒ2世によって建てられた比較的新しい城である。現在では人気スポットとして、訪れた日本人も多い。だが、この城について、皮肉な見方をした美術専門家も存在した…
近所の公園でキンランの花が咲いているのを見た。かつてはそう珍しくない山野草だったという。90年代ごろから減少し、地域によっては絶滅危惧種にも指定されているが、最近は少しずつ復活しているようだ。 キンランはラン科の多年草だ。久保田修著『散歩で出…
小さな庭の中心にキンモクセイの木がある。この家に住んでことしで30年。この木も同じ時代を歩んだ。庭の外には遊歩道があり、多くの人が散歩を楽しんでいる。そこには大木になったけやき並木がある。新緑の季節。キンモクセイとけやきの若葉は、競うように…
遊歩道を歩いていると、走っている人が目につく。もちろん、私のように散歩をしている人の方が多いのだが、足取りも軽く走っている人を見ると、つい私も走りたくなる。だが、そうは行かない。右足の故障が完全には回復していないから、無理はできない。それ…
若い友人が大学の卒業研究として、音楽をテーマにした小説に取り組んだ。当初、担当の教官は「それは音楽に対する冒とくだ」という趣旨のことを話し、友人の構想に疑問を呈したという。しかし、熱心に取り組む姿勢に打たれたのか、途中からそうした言葉は消…
「戦争には決断。敗北には闘魂。勝利には寛仁。平和には善意」(『第二次大戦回顧録』より)第二次大戦下、イギリスの首相としてナチスドイツ、日本と戦い、連合国を勝利に導いたチャーチルは、この長文の回顧録によって1953年、ノーベル文学賞を受賞し…
南からの強風が吹き荒れたと思ったら、急に木々の葉の緑が濃くなってきた。二十四節気でいう「清明」のころであり、七十二候の初候「玄鳥至る」(つばめきたる)に当たる。散歩コースの調整池周辺にも間もなくツバメが姿を現すだろう。ツバメといえば、冬の…
読んでもいないのに見栄を張って読んだふりをしてしまうという本があるという。イギリスではその「読んだふり本」のトップがジョージ・オーウェルの『一九八四年』だと、日本版(ハヤカワ文庫)を翻訳した高橋和久さんが書いている。内容が暗く、難解なだけ…
満開の花のことばは風が言ふ 俳誌「沖」の編集長だった林翔の句である。 この句からは、満開になった桜の花が風に吹かれてざわめいている光景を思い浮かべることができる。4月になった。部屋のカレンダーをめくったら奈良・吉野山の風景が広がっている。吉…