小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1405 見えそうな金木犀の香り 開花した秋の花

見えさうな金木犀の香なりけり(津川絵理子) 金木犀が開花した。例年よりかなり早い。辞典には「中国原産で、仲秋のころ葉腋に香りの高い小花を多数つける。橙色の花を開くのが金木犀、白いものは銀木犀という」と出ている。わが家には金木犀が2本、銀木犀…

1362 野の花アザミ 連想する言葉は「ありがとう」

道のわきに紫色のアザミの花が咲いている。何気なく通り過ぎていたが、かなり以前から咲いていた。俳句では「薊」が春、「夏薊」が夏の季語になっており、アザミの花期が長いことがうかがえる。種類が多く(世界で約250種、日本では70~80種)、春か…

1354 百周年のハナミズキ 耐え続け日本の春の花に

ハナミズミがアメリカから日本に渡来してことしでちょうど100年になる。1912年(大正元年)、当時の東京市長だった尾崎行雄(のちの咢堂、憲政の神様、1858~1954)が日米友好のために約3000本のソメイヨシノを贈り、ワシントンのポトマ…

1350 「散った桜散る桜散らぬ桜哉」 上野公園を歩く

花びらが散りはじめ、「葉桜」になりつつある上野公園を歩いた。報道の通り、雨にもかかわらず公園には中国人をはじめとする外国人の姿が目についた。いつから外国人がこの公園の桜に興味を持つようになったのかは知らない。しかし、花を愛でる気持ちは人種…

1349 桜絶景 花散る道を歩く

桜は日本を代表する花である。現在、列島は桜前線が北上中だ。今月末には青森まで達するだろう。なぜ、日本人は桜を愛するのだろう。一時期、桜は暗いイメージでとらえられた。 しかし、平安時代から現代までを通じて、基本的に人は桜の下に集まり、楽しく酒…

1255 待宵草が咲いている hanaの死から1年

朝、いつもの散歩コースである調整池の周囲を歩いていると、黄色い花がひっそりと咲いているのを見かけた。帰宅して図鑑で調べると「マツヨイグサ」(待宵草)と分かった。この花はたしか昨年の夏も見た。しかし、わが家で飼っていた犬のゴールデンレトリー…

1247 懐かしきは夕菅の花 絶滅の危機を乗り越えて

ことしも私の散歩コースに「夕菅」(別名、黄菅)が咲き始めた。かつてはそう珍しくはなかったこの花も、都市化現象が進んだ影響で一部の地域では絶滅危惧種に指定されるほど、姿を消しているという。高原に自生し、軽井沢を代表する花といわれる。まだ一輪…

1246 憂鬱な季節でも 梅雨には読書を

気象庁主任技術専門官の宮尾孝さんが書いた「雨と日本人」(MARUZEN BOOKS)という本を読んだ。今は雨とは一番縁が深い季節である。このところ、梅雨の晴れ間がのぞいて、憂鬱さは少し解消されたが、やはり、この季節はうっとうしい。石原とか鈴木とかいう政…

1245 森に響くキツツキのドラミング 梅雨の晴れ間の朝に

毎朝、ラジオ体操に参加している。遊歩道の一角に広場がある。そこには色とりどりの花が咲いている花壇があって、この周囲を取り囲むような形で40人近い人たちが体操をしている。けさは梅雨の晴れ間、暑さもたいしたことはなく、さわやかだった。広場の隣…

1238 一面が白い幻想の世界 ノイバラ咲く調整池

散歩コースに調整池があることは、このブログで何回も書いている。周囲が1周1キロほどの散歩コースになっていて、すり鉢状の底の部分に池が3分の1、残りが雑草地帯(野原)になっている。雑草のほかにいつの間にか雑木も育ち始め、現在は一面白い花のノ…

1237 悲しみのために花となる 殿堂入りバラ園にて

「薔薇は薔薇の悲しみのために花となり青き枝葉のかげに悩める」 若山牧水 (薔薇がまるで心を持ったもののように歌っている。作者は自分の心の悲しみや悩みを、薔薇に移してうたった。山本健吉・句歌歳時記 夏・新潮社) 前回のブログで薔薇について書いた…

1119 ことしの花は寂しい アジサイを見に行く

アジサイの季節だ。だが、ことしのわが家周辺のアジサイは精彩がない。わが家の数本と、遊歩道に植えられたアジサイとも花芽が少なく、梅雨入りしてこの花の開花の時期になっても、例年のような瑞々しい花の饗宴はない。インターネットで調べると、花が少な…

1109 立夏は過ぎたが… 季節の変化の「小さな嵐」

新緑の季節である。このころが一年で一番好きだという人が多いのではないか。ことしは連休後半のこどもの日の5日が「立夏」だった。 白井明大著「日本の七二候を楽しむ」には、「次第に夏めいてくるころのこと、あおあおとした緑、さわやかな風、気持ちいい…

1108 出会いの瞬間が大切 本間秀夫写真集「純白の貴婦人 オオバナノエンレイソウ」を見る

北海道で生活したことがあり、少し野の花に興味を持つ人なら、「オオバナノエンレイソウ」(大花延齢草とも書く)の存在は知っているだろうと思う。この花の魅力にひき寄せられた川崎在住のフリーフォトグラファー・本間秀夫さんは長年にわたって北海道に通…

1104 ふと見るいのちのさびしさ 福島の滝桜と花見山公園に行く

原発事故がいまだ収束しない福島を旅した。桜前線は既に県北部まで到達していたから、住民たちが避難した地域の桜もひっそりと咲いたはずだ。今回の旅は福島の2つの花の名所を訪ねるのが目的だった。日本三大桜といわれる三春町の「三春滝桜」と、写真家の…

1103 花束を拾う姿に浅田の区切りを思う 挫折を乗り越えたスケート人生

フィギュアスケート女子の浅田真央が、ソチ冬季五輪シーズンとなる来季限りで現役を引退する意向だというニュースが流れた。東京で行われていた世界国別対抗戦のフリーのあと「ソチ五輪を集大成としていい演技ができるようにしたい」と、引退表明と受け取れ…

1099 被災地陸前高田の街から 満開の桜の花の下で

東日本大震災によって死者1556人、行方不明217人(2月末の岩手県発表)と、岩手県で最大の被害が出た陸前高田市。高田の一本松の保存問題でも全国的に知られた街だ。最近、この街に住む親類(いとこ)と連絡がとれ、九死に一生を得たことを知った。…

1096 白い可憐なコーヒーの花が 庭ではカイドウも満開に

久しぶりに、わが家のコーヒーの木に白い花が咲いた。2008年と次の年の09年に花が咲いたこと、実がなったことなどをこのブログで紹介している。その後は花が咲かなかったので、大げさにいえば4年ぶりの開花だ。手入れが足りなかったのかもしれない。…

1001 たった1本のオリーブでも いつかは陽気さ伝わる日が

隣の家との境に植えていたツルバラを思い切って切り、オリーブのレッチーノ(イタリア原産)という小さな苗を1本植えた。九州のオリーブ畑を見て、わが家にもほしくなったからだ。先日訪ねた長崎・平戸では、知人が耕作放棄地にオリーブを植えることになっ…

985 モクレンが狂い咲き 梅雨明けは近いのか

駅へと通じる道路の両脇にある街路樹のモクレンの花が咲いている。3月末に一度咲いた花が、梅雨空の中「もう一度顔を出しましたよ」と言いたげに空に向いている。いわゆる、狂い咲きというやつらしい。3月末に比べると花の量は少なく、白い花も紫の花も1本に…

983 散歩コースに咲くユリ科の花 絶滅危惧種のユウスゲか

毎朝、犬とともに散歩をする。そのコースには大雨の場合などに川の流量をコントロールするすり鉢状の調整池がある。その周りが遊歩道になっていて自転車もほとんど通らないため、散歩を楽しむ人が少なくない。遊歩道脇は斜面の部分が多く、その一角に最近、…

977 アジサイの花を求めて 道の駅の川沿いを彩る心の花

アジサイの花を求めて、ドライブした。成田空港からそう遠くないところに多古町がある。「たこ」という地名である。道の駅に隣接した川の両側にはアジサイが植えられており、いまが見ごろになっている。町の人たちが丹精を込めて栽培をしているのだろう。見…

895 ことしも咲いた皇帝ダリア 青空に映える11月の花

昨年、ホームセンターで買った2本の皇帝ダリアを庭に植えた。秋になって花が咲き、霜が降りたあと、茎を10センチほど残して切り落とした。切った茎は30センチ程度に切りそろえ、地中に埋めた。今年春、2本の株から新しい芽が出て昨年よりも成長、茎の…

877 ことしもセイタカアワダチソウの季節に 元気失った散歩コースの花

毎年、この時期になると「セイタカアワダチソウ」のことを書いている。 手元の「散歩で出会う花」(久保田修著)によれば、「北アメリカ原産。荒れ地、川辺などで見られる。頭花は3ミリ以下と小さいが、花序は大きく、茎上部につく。葉は披針形で表面は加賀…

638 バラに吹く微風 レンガの庭で

このところの休みは、庭づくりに励んでいる。もともと芝生の庭だったが、山を切り崩して造成した土地に建てた家のため、粘土質の土は水はけが悪く、芝生の伸びはよくない。 歩く場所は芝生がなくなり、土がむき出しになってしまった。そこで、頑張ってこの庭…

446 コーヒーオベーション バラの季節に

コーヒーが好きだ。毎日何杯かのコーヒーを飲む。このところ、もっぱらネパール産を飲んでいる。しかし、10月1日が「コーヒーの日」であることは最近まで知らなかった。 この日をコーヒーの日にしたのは、主産地であるブラジルのコーヒー豆の収穫が9月で…

443 一番好きな季節は 立夏のころ

「一年のうちで一番いいのは、いまごろだな」「そうね。さわやかで新緑も美しい。いろいろな花も咲いているし、やはり晩春から初夏がいいね」「生まれたのも秋だし、私は秋が好きだなあ」。最近の家族の会話の一部である。 日本は四季折々、美しい自然を楽し…

440 ドイツスズラン 心和む日和に

スズランの花は、小さな鈴のような形をしていて愛らしい。薄いピンクの花のスズランを3年前にホームセンターで購入した。「ドイツスズラン」という名前がついていて、小さな鉢植えなのにけっこういい値段だった。成長が遅く、これまで2年間は花が咲かなかっ…

435 ライラックの咲くころ リラ冷えの季節に

近所の庭や遊歩道のわきのライラックが咲き始めた。フランス語ではリラともいうが、渡辺淳一に「リラ冷えの街」という札幌を舞台にした作品がある。 札幌でライラックが咲くのは、6月初めごろだ。季節は初夏なのに、朝夕は冷え込む日があり、渡辺はこの季節…

419 純白で可憐 コーヒーの花が咲く

以前、鉢植えのコーヒーの木に小さな実がなったことをこのブログで書いたことがある。(昨年12月7日)その実はたった2つで、最近1つが鮮やかな朱色に変化した。それを楽しんでいたら、別の枝に白い花がついているのに気がついた。 実がついたわけだから…