2013-01-01から1年間の記事一覧
わが家の飼い犬のhana(ゴールデンレトリーバー・雌、11歳)が、私たち家族に別れを告げてから、きょうで5カ月になった。友人から「hanaちゃんは、シリウスへ旅立ったのです」という便りをもらい、そのシリウスが見える日を待っていた。 厳寒の季…
小さな森を歩いていると、白い球状の花が咲いている木があった。ヤツデである。この木はかつて鑑賞用や目隠し用として家々に植えられていて、珍しくなかった。歌人の島木赤彦はそんな光景を「窓の外に白き八つ手の花咲きてこころ寂しき冬は来にけり」と詠っ…
私の部屋に観賞用のコーヒーの木がある。娘がかなり前に小さな苗木をもらってきたのが、いつの間にか1メートル60センチ以上に伸び、このところ毎年実をつけるようになった。ことしもコーヒーの実が色づく季節になった。オリーブよりもやや大きめで緑色か…
たった一枚でも写真の力は大きい―。そんなことを考えながら、日本橋三越で開催中の2013年報道写真展(東京写真記者協会主催)のグランプリ作品「見せましょう!日本の底力を」を見た。 一方、同じ写真でも北朝鮮が国営メディアを通じて公表したNO2・…
アユタヤにて カメラといえばデジタルカメラの時代で、フィルムカメラを使うのは写真のプロか、一部の愛好者しかいないといっていいだろう。そんな時代、だれもが枚数を気にせずシャッターを切る。旅先で数多くの写真を撮影してしまい、あとでどれをプリント…
詩人の飯島正治さんが亡くなって3年が過ぎた。亡くなる1年前の2009年から飯島さんが中心になって発刊した詩誌「薇」の第9号が手元に届いた。9人の同人による詩と「小景」という短いエッセーが掲載されている。言葉と向き合う達人たちの詩の中で、ふ…
バンコク市内を流れるチャオプラヤー川はパリのセーヌ川と同じように、多くの遊覧船が行き交う。この川沿いにはよく知られた寺院もあり、船上から眺めるバンコクの街の変化はかなり見どころがある。
私はあまりショッピングに興味がない。そのために、一緒に旅行に行った家族がショッピングにいそしんでいる間は喫茶店で本を読むことが多い。今回のタイ旅行でも訪れたチェンマイ、バンコクの2つの都市で喫茶店にお世話になった。もちろん、両都市にはグロ…
チェンマイに10年近く住む友人は、タイの人々についてよく観察をしている。友人によると、日常的にタイ人と接していると、大体予測のできない展開になる。それが面白くて退屈しないそうだが、結果的には何となくうまく収まってしまうことが多いというので…
ことしは海外の2つの世界(文化)遺産を見た。7月のカンボジア・アンコールワットと11月のタイ・アユタヤである。アンコールワットは12世紀前半、アユタヤは14世紀から建設が進められた。日本では平安時代後期―鎌倉時代を経て室町時代初期に至るころ…
定年後、日本を離れて海外で暮らす「ロングスティ」希望者が増えている。日本は来年4月から消費税が8%になるため、さらに海外に目を向ける人が多くなるのではないか。「一般財団法人ロングスティ財団」。こんな財団があるとは知らなかったが、ウェブで調…
タイ旅行で、日本では見かけたことがないものに出会った。一夜、友人に案内されてチェンマイの中心部を流れるピン川沿いに建つタイ料理の名店「ターナム」というレストランに行った。ここでは、つい先日終わったばかりのロイクラトン祭りと同じような趣向を…
先日タイを旅した。第2の都市といわれるチェンマイには奥さんとともに10年近くロングスティをしている友人がいる。この友人のことは後に触れることにして、今回は昔のことわざである「旅は道連れ 世は情け」(旅は心 世は情け、とも言う)を思い出させる…
イギリスでは、バンザイを意味する言葉として「hooray」という間投詞(感動して、不意に叫んだ言葉)があり、女王陛下万歳は「Hooay for the Queen!」ないし「Hurray for the Queen!」というそうだ。24日に千秋…
「そうか、もう君はいないのか」―。作家の城山三郎が亡くなった愛妻の回想を記し2008年に出した本の題名だ。来年の年賀状が売り出され、同時に喪中の便りが届く季節になった。年々、この便りは増えているな。そんな思いで一枚のはがきを手に取った。 す…
夢の中で、音を聞いた人はいるのだろうか。夢は寝ている間に現実のように感じる心象だという。これまで私の夢には色も音もなかった。だが―。飼い犬のゴールデンレトリーバ―のhanaが死んでもう少しで4カ月になる。この間、hanaの夢は見ていない。 家…
物理学者で随筆家だった寺田寅彦は「コーヒー哲学序説」という作品を残している。題名からすると、論文のようにも思えるが、コーヒーとのかかわりを書いたエッセーである。その中で次の2つの言葉は、コーヒーの本質を突いたもののように受け止めることがで…
米国の伝記映画を見た。伝記映画というのは、実在した歴史上の人物の半生あるいは生涯を描いた作品だが、これまで制作された数多い伝記映画は完全な伝記や史実に基づいたものではなく、制作者によって創作や脚色されることが珍しくないそうだ。 それはさてお…
氷河が溶けて小さな湖が(ノルウェーにて) フィリピンを8日超大型台風30号「ヨランダ」(アジア名ハイエン))が直撃、死者は1万人を超えるという情報もある。被害が大きかったレイテ島は、東日本大震災の大津波を思い出させる惨状が広がっている。 折…
きょう11月7日は、二十四節気のうちの「立冬」だ。同じ二十四節気の「霜降」(そうこう)から15日目ごろというが、わが家周辺ではまだ霜が降りる気配はなく、散歩をしていたら汗ばむほどだった。昨日の夕方、西の空を見上げていたら、三日月が右側に、…
この世の中にはさまざまな人生がある。いま、生きている人それぞれに歴史があり、何かしら他の人を惹きつける物語を持っている。昨今は、そんな自分の半生を振り返って一冊にまとめる自分史ブームのようだ。旧知の堀淳一さんから「旅で出会ったアメリカ人」…
日本シリーズでパリーグの楽天がセリーグの巨人に勝って日本一になった。その原動力になったのは、田中将大投手であることは衆目の一致するところだ。日本球界を代表する投手に成長した田中の姿を見ていて、「一筋の道」を歩む他の2人のことを考えた。 にほ…
打撃の神様と呼ばれたプロ野球の強打者で、巨人の監督として9年連続日本一(V9)という偉業を成し遂げた川上哲治さんが老衰で亡くなった。93歳だったから、大往生だったといえるだろう。
24節気のうちの「寒露」が過ぎたばかりだ。露が冷たく感じられてくるころのことを言い、空気は澄み、夜空にさえざえと月が明るい季節(東邦出版・日本の七十二候を楽しむ、より)だという。それにしても、ここ数日、真夏が戻ったような暑さが続いている。…
金木犀の散りし花穀(はながら)降る雨にひとつひとつ光るこの秋の彩(いろ) 詩人・歌人である北原白秋の門下生だった吉野鉦二の歌だ。外に出ると金木犀の芳香に体全体が包まれる。10月、秋色が次第に深まっている。開花間もないため雨に打たれても花穀は…
曼珠沙華抱くほどとれど母恋し」(中村汀女)=彼岸のころは野一面に、曼珠沙華が真っ赤に咲いている。作者は娘の心にかえって、それを両手いっぱい摘み取った。その心の高ぶりが、母の思い出をさそうのである(山本健吉編、句歌歳時記秋)。 早朝の散歩で池…
先日のお彼岸、郷里で法事があった。父の70回忌、祖母の37回忌、母の27回忌を合同でやった。父だけが70回忌というのは太平洋戦争に召集され、1945年4月に戦死したからだ。墓参りをする前に、家の中の仏壇の前で浄土真宗の住職が経をあげた。仏…
今夜は旧暦8月15日の満月で「中秋の名月」だった。15夜とも呼ぶ。この夜に月が雲に隠れて見えないことを「無月」、雨が降ることを「雨月」というそうだが、幸い、このところ好天が続き、今夜も名月が私たちの頭上に輝いた。 庭に出ると、肌寒い。han…
2006年8月といえば、もう7年も前になる。夏の高校野球・甲子園大会の決勝戦は早実と駒大苫小牧が1試合では決着がつかず、翌日に再試合の結果、早実が優勝した。その時の両チームのエースは早実がハンカチ王子といわれた斎藤佑樹、駒大苫小牧が2年生…
台風18号が接近している。きょう15日は朝から強い雨が降っていた。だが、昼近くから晴れ間がのぞいた。hanaの49日には少し早いが、床の間に飾っておいた遺骨を庭に埋めてやることにした。いわば「埋葬」である。その場所は、前から決めていたよう…