小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

国際

2110 ウクライナ住民とロシア兵士の攻防『ひまわり』の街で

ロシア軍のウクライナ侵攻に関して、春江一也『プラハの春』(集英社文庫)で紹介されたものと似た動きがウクライナ国内で起きているという。プラハの春は、54年前の1968年に中欧チェコスロヴァキア(現在はチェコとスロヴァキアに分離)で起きた民主…

2109 何を語る戦争の絵 ロシアのウクライナ侵攻

「私は一人なの。どうしたらいいの!」。ロシア軍がウクライナに軍事侵攻したニュース映像で、こう叫びながら避難する女性の姿を見ました。侵攻を命令したプーチン大統領は、こうした市民のことは虫けら同様に思っているのかもしれません。国際社会を揺るが…

2108 ウクライナへのウイルスばらまき ロシア・プーチンの行く末

ロシアのプーチン大統領が今日22日、ウクライナ東部のドネツク州とルガンスク州にある親ロシア組織が名乗る、州名と同じ名前の「人民共和国」の独立を承認する大統領令に署名した。驚くべき独善的政策と言える。この問題で開かれた国連安保理の緊急会合で…

2106虹を見た朝に 自然との対話/五輪をめぐって

今朝8時前、短い時間でしたが、調整池の向こう側に「冬の虹」が立ちました。短い時間と書いた通り、私が歩いている間の5分程度で消えてしまいました。まさに「冬の虹消えむとしたるとき気づく」(安住敦)の句通りの、幻のような虹でした。その間、周辺は…

2105 スポーツの爽やかさどこへ 失望の北京五輪

「スポーツの爽やかさはどこにいった。つまらない大会だ」。世界でオミクロン株によるコロナ禍が爆発状態のさ中に開催中の北京冬季五輪を見ていて、こんなふうに感じている。なぜだろう。それには、日本選手が絡んだ2の競技が絡んでいると私は思うのだ。五…

2102 ジェンナーと華岡青洲と 医学の進歩と人体実験の被験者たち

新型コロナに関して、日本でも3回目のワクチン接種が始まっている。このワクチンの開発に当たっても治験(国の承認前の薬剤を患者や健康な人に投与し、安全性と有効性を確かめるための試験のことで、新薬開発のための治療を兼ねた試験を言う)という人体実…

2099 強敵と戦う武器は 小学生にも大きな影響のオミクロン株

(満開になった遊歩道の紅梅) 「疾病というものは侮り難い強敵なのだ。恐るべき武器をもっているのだ。われわれがどれほど強固な武装をしたところで、なかなか歯がたつものではない。われわれがどれほど防衛の態勢を整えたところで、その攻撃にかかっては耐…

2098 『ラルゴ』・幅広くゆるやかに ピアニスト反田さんの願い

『神よ、ポーランドをお守りください』。ポーランドの人々は幾世紀にもわたって、このような祈りを教会でキリストにささげたに違いない。同じ言葉を私たち日本人は、神にささげたことがあるのだろうか。それは別にしてポーランドはこれまで大国によって侵略…

2095 遥かな空に描かれた文字は 武満徹『翼』を聴く

現代音楽の作曲家、武満徹(1930~1996)は、自身が作詞したポピュラー曲も少なくない。中でもよく知られているのは『翼』と『小さな空』だ。元同僚は、今年の年賀状にこの『翼』のことを書いてきた。この曲は「遥かな空に描く『自由』という字を」…

2089 蘇ったキューピット フェルメール『窓辺で手紙を読む少女』

フェルメール(1632~75)の『窓辺で手紙を読む少女』(あるいは『窓辺で手紙を読む女』)の絵を見たのは2008年9月のことだった。ドイツ・ドレスデン古典巨匠絵画館(アルテ・マイスター)のオランダ絵画の部屋。小さなこの絵(83センチ×64・…

2081 寒気の中でも凛として咲く 香り優しき水仙の花

(庭先に咲いた水仙) 庭先のスイセンの花が咲き始めた。この花は「水仙」(このブログでは一部を除き、以降「水仙」)と漢字で書きます)と書いたのを音読したものだそうだ。昔は「雪中花」(せっちゅうか)と呼んだこともあったという。文字通り雪の中でも…

2078 アナログレコードを聴く 新鮮に響くハイドン・セット

名前も知らないし、どんな人かも知らない。ただブログを読んでいると、女性と思われる。拙ブログにコメントをいただいたこの人のブログを読んでいたら、「アナログのポータブルも悪くない」と題して、ポータブルのレコードプレーヤーを購入してレコードを聴…

2076 大リーグに大谷現象 常識を超えた野球選手

米大リーグ・エンゼルスで、投打の「二刀流」をこなした大谷翔平がアメリカンリーグの最優秀選手(MVP)に選ばれました。このブログでもこれまで何回か大谷のことを書いていますが、ここにまとめてみました。興味ある記事があればお読みください。昨日のブロ…

2066 イスラムの秘薬から世界の飲み物に コーヒーをめぐる物語

急に寒くなったため、庭に出していた鉢植えのコーヒーの木を慌てて部屋に入れた。普段の年なら11月半ばにやるのだが、今年は特別早い取り込みだ。これで寒さに弱いというコーヒーの木も何とか持ちこたえるだろう。十数年前、娘が百円ショップで買ってきた…

2064 国連から消えた『ゲルニカ』タペストリー パウエル演説と暗幕

米ブッシュ政権で国務長官を務めたコリン・パウエル氏(84)が、新型コロナ感染合併症のため18日に亡くなった。パウエル氏といえば、2003年2月5日、国連安全保障理事会で幾つかの証拠とされる例を挙げてイラクが大量破壊兵器を保有していると演説…

2062 「よく分からないから不気味」コロナ感染急減の背景は 

「なぜ、コロナ感染者がこんなに急に減ったのだろうね。よく分からないから不気味なの」。小学校高学年の家族が「登校中、低学年を送ってきた大人がこんなことを話しているのが聞こえたよ」と教えてくれた。今夏、あれほど猛威を振るったコロナ禍。一時は1…

2061 辞書に載った大谷の二刀流 サムライ言葉今も 

米大リーグが今シーズン、ほぼ終了しつつある。大リーグといえば、全試合が終わったエンゼルスで投打の「二刀流」をこなした大谷翔平の大活躍ぶりが目についた。大谷自身は「二刀流」という言葉は使わないそうだが、流行語にもなったこの言葉が辞書にも追加…

2057 白鵬引退・一時代の終焉 「負けずに老いる角力かな」

大相撲の横綱白鵬が引退することになった。横綱在位14年84場所、優勝回数45回という大記録を破る力士が今後出てくるとは思えないから、白鵬は歴史に残る大横綱であることは言うまでもない。一方で、晩年の激しい取り口や休場の多さ、その言動に批判が…

2055 相次ぐマスク着用めぐるトラブル 文明人の勇気とは

マスクをめぐるトラブルが内外で相次いでいる。中でもドイツの殺人事件は、多岐にわたるコロナ禍の負の歴史でも特殊な位置を占めるだろう。いつの時代でも、決まり事を守ることができない人はいる。極論すれば、国が決めたことを絶対に守らせようとするのは…

2051 コロナ禍の床屋談義 ワクチン接種をめぐって

新型コロナ感染症のワクチン接種が毎日ニュースになっている。東京・渋谷のワクチン接種会場に多くの若者が並ぶ光景が先日まで続いた。コロナ禍はどこでも話題の中心になっている。たまたま行った理髪店でもそうだった。待合室で私が順番を待っていると、髪…

2048 栄光と転落のパラ・五輪選手 獄中の義足のランナー

東京パラリンピックが続いている。義足のランナーとして、パラリンピックだけでなくロンドン五輪にも出場した南アフリカの陸上選手、オスカー・ピストリウスは今どうしているのか、気になった。体の障害を乗り越え、世界的な選手になった彼はただものではな…

2047 それぞれの大義の中で アフガンの歴史の潮流は

アフガニスタン(以下、アフガン)はイスラム武装組織、タリバンの首都カブール制圧で大混乱に陥っている。連日の新聞、テレビ報道を見ながらどうしてこうなってしまったのかと、考え込む人は少なくないはずだ。ベンジャミン・フランクリンの「世の中に善い…

2046 われ先に国外退避の大使館員 昭和の悪夢アフガンでも

米軍の撤退期限が今月末に迫ったアフガニスタンの首都カブールの国際空港付近で自爆テロがあり、70人以上が犠牲になった。現地には日本人やアフガン大使館の現地スタッフ、派遣された自衛隊員が残っている。この事件によって、自衛隊機による退避は予断を…

2045「三つのベースに人満ちて……」 野球の華に挑み続ける大谷

「本塁打(ホームラン)は、野球の華」というそうだ。9回裏、相手チームに3点の差で負けていても、走者満塁で次の打者がホームランを打てば、劇的な逆転勝ちとなる。一発逆転で負けから勝ちにひっくり返すのだから、本塁打は大きな魅力がある。それをメジャ…

2044 孫文と株成金の娘のこと 不思議な人とのつながり

これはコロナ禍以前に、箱根まで行った際に書いた短いエッセーだ。数年前のことだ。そんな日を振り返り読み返している。この世の人のつながりは、やはり不思議なものがある。私と加藤文子さんもそうだった。詳しい経緯は書かないが、加藤さんは私にとって忘…

2043 今年も二重の虹 想像の旅でイグアス伝説味わう

コロナ感染が爆発状態で増え続けています。こうした現実から逃れることはできませんので、鬱陶しい思いで毎日を送っているのは私だけではないでしょう。早朝の散歩は、少しだけそんな気分を晴らしてくれます。しかも、今朝は北西の空に二重の虹が上がってい…

2042 五輪選手のメダルでの貢献 スポーツと現代社会

東京五輪の陸上・女子やり投げで銀メダルを獲得したポーランドのマリア・アンドレイチェク選手が、重病の男の子の手術費用にと、メダルをオークションに出品した話題を外電で知った。メダルは1900万円で落札され、さらに多くの寄付が集まっているという…

2041 2000キロの白骨街道逃避行 丸山豊『月白の道』

不明して、最近まで私は丸山豊(1915~1989)という人を知らなかった。医師・詩人で、戦争散文集という副題が付いた『月白(つきしろ)の道』(中公文庫)の作者である。これまで大岡昇平の『レイテ戦記』や江崎誠致の『ルソンの谷間』、伊藤桂一『…

2040「賢さ」とは 感染爆発列島に思う

いわゆる「記紀」といわれる古事記(712年に編纂された天皇家の神話)と日本書紀(720年に完成した日本の正史)には、第10代崇神(すじん)天皇の時代に大きな疫病(現代の感染症か)が流行したことが書かれている。日本書紀によれば、当時の人口の…

2036 真夏の怪談!9億円資産を寄付という誘い

Facebookに登録しているのですが、最近は時々しか利用していません。たまたま先日開けてみましたら、友だちリクエストが来ていました。その人の友だちには私の先輩の名前がありました。相手は日本人の高齢の女性で、穏やかそうな顔の写真が載っていました。…