小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

2018-01-01から1ヶ月間の記事一覧

1621 村上春樹が受賞できない背景は ノーベル賞の問題点を洗い出した本

2017年のノーベル文学賞は、予想外の日系英国人作家カズオ・イシグロだった。このところ毎年のように日本のメディアで受賞するかどうかで話題になる村上春樹は今回も受賞はかなわなかった。なぜだろう。ノーベル賞取材にかかわった共同通信社ロンドン支局の…

1620 だれもが人類という大きな木の一部 ルーツについて

「ルーツ」という言葉が一般化したのは、アフリカ系アメリカ人であるアレックス・ヘイリー(1921-1992)の同名の小説がベストセラーになり、これを原作にしたテレビドラマが大ヒットしたことが挙げられる。「根、根元、大本」のことで、「さかのぼ…

1619 雪についての断章  私の体は首都圏仕様に

子どものころから雪景色は見慣れているはずだった。だが、久しぶりにかなりの雪が降り、一面が白銀の世界になると、やはり家から外に出てしまうのだ。それは放浪の俳人、種田山頭火の「雪をよろこぶ児らにふる雪うつくしき」の心境といっていい。朝、家族に…

1618 境界領域を超えて 作家に見る飛躍の時

最近、「境界領域」という言葉を聞いたり、文章に使われているのを見ることがある。「専門化した学問分野の2つ以上にまたがる領域」のことをいうが、人生での曲がり角にも使われる。人それぞれに境界領域の時期があり、それを抜け出し飛躍した人もいれば、抜…

1617 地の下では春の支度が…… 角界は厳寒期

きょうまでは「小寒」で、明日20日から「大寒」。1年で最も寒い時期である。天気予報では22日には寒波が来て、大雪が降るかもしれないという。そんな厳寒期でも、花壇ではパンジー、ビオラ、水仙、クリスマスローズたちが気を吐いている。この季節が過ぎ…

1616 知は力かあるいは…… ワインは「試食」のブラックユーモア?

「知(知識)は力なり」という考え方を広めたのはイングランドの哲学者、フランシス・ベーコン(1561-1626)だった。これに対し2世紀後、ドイツの哲学者ショーペン・ハウエル(1788 - 1860)は「『知は力なり』。とんでもない。きわめて多くの知識を身につけて…

1615 毎朝聴く名曲 美しい言葉とメロディー

朝6時半からのNHKラジオ体操は、第1と第2がある。第1の前には軽い運動、第2が始まる前には首の運動があり、それぞれに懐かしい曲のピアノ伴奏がついている。今朝の首の運動の際には「埴生の宿」が流れていた。竹山道雄の名作『ビルマの竪琴』にも出てく…

1614「焼き場に立つ」少年の写真 ローマ法王「戦争の結果」

カトリックのローマ法王庁がフランシスコ法王の指示で、教会関係者に対し、1945年に原爆投下直後の長崎で撮影された少年の写真入りカードを配布したという記事が今日の新聞各紙に掲載された。「これが戦争の結果」(あるいは結末)などという見出しだっ…

1613 健脚への挑戦 6・4キロを歩くことの意味

「今年は『健脚』を取り戻すことが目標です。昨年9月に右足の大腿四頭筋断裂というけがで約1カ月入院、年末までリハビリの日々を送りました。入院生活で『健脚』は身も心も健全にしてくれる大事な要素と感じました」 今年の年賀状のあいさつ文で、このような…

1612 何もなくても美しい朝 顔あげて天を仰ぎ見る

初空のなんにもなくて美しき 今井杏太郎 午前7時前に家を出て、近所の調整池に行くと、住宅街の向こうに太陽が顔を見せ始めたのは間もなくだった。近所にはこの日だけ大勢の人が集まる別の場所があるが、実はこちらの方が美しい初日の出を見ることができる…