小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

1809「おりた記者」から作家になった井上靖 適材適所のおかしさ

このブログで時々言葉について書いてきた。今回は「常套(じょうとう)語」である。「套」は内閣告示の常用漢字表にないことから、報道各社の用語集(たとえば共同通信記者ハンドブック)では、これを「決まり文句」に言い換えることになっている。しかし、…

1808 文明風刺『ガリバー旅行記』 邪悪な生物ヤフーは現代も

『ガリバー旅行記』(作者はイギリスのジョナサン・スウィフト)のガリバーは、日本を訪れたことがあるか? 答えは「イエス」である。イギリス文学に造詣の深い人なら常識でも、児童文学でこの本を読んだ人は、「へえ、そうなのか」と思うだろう。ガリバーが…

1807 戻らぬ父の遺骨と労苦の母 俳句と小説に見る戦争

8月16日のブログ「1804 政治の身勝手さ感じる8月 民意との乖離のあいさつ」の中で「戦没者の遺骨収集問題に触れた安倍首相の挨拶はうわべだけの誠意にしか聞こえなかった」と書いた。25日付朝日新聞の俳壇に「父の骨なほジャングルに敗戦忌」とい…

1806 ハチドリの助けを呼ぶ声 アマゾンの森林火災広がる

南米ブラジルでアマゾンの熱帯雨林が燃え続けているという。森林火災により今年だけでも鹿児島、宮崎を除く九州と同じ面積(1万8629平方キロ)が焼けてしまい、熱帯雨林が危機になっている。アマゾン地域には「ハチドリのひとしずく」という言い伝えが…

1805 幻想の城蘇る 生き残ったノイシュバンシュタイン城

「私が死んだらこの城を破壊せよ」狂王といわれ、なぞの死を遂げた第4代バイエルン国王ルートヴィヒ2世(1845~1886)の遺言が守られていたなら、ドイツ・ロマンチック街道の名城、ノイシュバンシュタイン城は消えていた。この城を描いたラジオ体…

1804 政治の身勝手さ感じる8月 民意との乖離のあいさつ

広島、長崎の原爆の日と終戦の日を送って、74年前の出来事をそれぞれに思い出した人が多いだろう。共通するのは、戦争は2度と繰り返してはならないということだと思う。原爆犠牲者の慰霊式典(広島は平和記念式典=広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念…

1803 涼を呼ぶ寒蝉鳴く 猛暑の中、秋を想う

猛暑が続いている。暦の上では立秋(8月8日)が過ぎ、きょう13日は七十二候の「 寒蝉鳴」(かんせんなく)に当たり、盆入りである。寒蝉は「かんぜみ・かんせん」と読み、秋に鳴くセミであるヒグラシやツクツクボウシのことをいう。散歩コースの調整池の…

1802 グッドニュースとバッドニュース 昨今の話題から

昨今、新聞やテレビのニュースになるのは暗い話題がほとんどである。輸出管理の優遇措置を認める「ホワイト国」から韓国を除外したことをめぐる日韓の対立、愛知県での「表現の不自由展」の開催直後の中止、アメリカの相次ぐ銃乱射事件、北朝鮮による飛翔体…

1801 カザルスとピカソ 「鳥の歌」を聴く

CDでチェロ奏者、パブロ・カザルス(1876~1973)の「鳥の歌」を聴いた。「言葉は戦争をもたらす。音楽のみが世界の人々の心を一つにし、平和をもたらす」と語ったカザルスは、1971年10月24日の国連の日に国連本部でこの曲を演奏した。カ…