小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

2108 ウクライナへのウイルスばらまき ロシア・プーチンの行く末

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 ロシアのプーチン大統領が今日22日、ウクライナ東部のドネツク州とルガンスク州にある親ロシア組織が名乗る、州名と同じ名前の「人民共和国」の独立を承認する大統領令に署名した。驚くべき独善的政策と言える。この問題で開かれた国連安保理の緊急会合でウクライナ国連大使が語った「国連はロシアがばらまくウイルスに毒されている」という発言は、的を射たものだ。国際社会にとって、ロシア・ウイルスを克服するワクチンはできるのか……。

 各種報道によると、国連の緊急会合に出席したウクライナのキスリツァ国連大使は、発言の前にマスクを外し「今や新型コロナウイルスに対するワクチンは存在するが、国連はクレムリンがばらまく別のウイルスによって毒されている」と述べたそうだ。これは世界的大流行になっている新型コロナウイルスになぞらえ、プーチン大統領に対する厳しい批判であることは言うまでもない。

 この後、大使はロシアの挑発に屈しないと強調。ジョージアへの軍事侵攻(2008年)、ウクライナのクリミアの併合(2014年)など、ロシアが周辺国への侵攻を繰り返してきたことを挙げ「国連加盟国のうち、次に標的にされるのはどこなのか。ウイルスに屈するかどうかは加盟国の対応次第だ」と述べ、国際社会が立ち上がるよう要請したという。

 国際社会の一員たる日本。私はこの国際紛争で日本がかつて中国に建国した旧満州国のことを連想した。旧満州国は1932(昭和7)年3月1日、日本の関東軍の主導で建国され、清朝最後の皇帝・溥儀が元首(皇帝)として祀り上げられた。国際社会はこの国が日本の傀儡国家であるとして、当時の国際連盟総会で日本の満州からの撤退勧告案を42対1(反対は日本だけ)で可決している。現在の国連はロシアと中国が歩調を合わせており、同様な勧告案が上程されても、満州国問題当時よりも反対票は多いのかもしれない。とはいえ、情報化時代だから、ロシアに対する嫌悪感は地球全体で拡散されるているのは間違いない。

 それは終わったばかりの北京冬季五輪の女子フィギュアのワリエワに絡むドーピング疑惑も影を差している。著名なロシア研究者の大学教授はテレビで「ロシアは見つかれなければ何でもやる。ドロボーをしても捕まらなければドロボーではない」と解説していた。それが国民性とは思えないし、ごく一部の人ではないか。だが、昨今の、というよりスターリン時代から今日のプーチン時代まで、ゴルバチョフ時代を除いてソ連=ロシアは国際社会とは異なる時代を歩んだ。そして、これからロシアはどこに向かうのか。昨今、モスクワで活動している後輩記者の、苦悩の顔を思い浮かべる……。

(写真・今朝も西の空にはビーナスベルトが見えました)