小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧

147 「戦争紀行」3 時代を超えて

「戦争紀行」の続き(完) この作品はまた、著者の感性の豊かさが随所に示されていて、上質な文学作品を読むような味わいの深さを感じ取った。胡弓を弾くボロをまとった目の見えない子供との出会いの場面を私は声を出して読んだ。 「町の方から子供が一人、…

147 「戦争紀行」3 時代を超えて

「戦争紀行」の続き(完) この作品はまた、著者の感性の豊かさが随所に示されていて、上質な文学作品を読むような味わいの深さを感じ取った。胡弓を弾くボロをまとった目の見えない子供との出会いの場面を私は声を出して読んだ。 「町の方から子供が一人、…

146 「戦争紀行」2 学生兵士の体験とは

前回の「戦争紀行」の続き。 その後英文科に転科するが、1940年春、召集令状が届き、輺重兵(しちょうへい、軍需品の輸送や補給に当たる兵のことで、旧陸軍の兵科の一つ)として仙台の輺重ニ連隊に入営、訓練後汽車を乗り継ぎ大阪港から中国戦線へ渡り第十三…

146 「戦争紀行」2 学生兵士の体験とは

前回の「戦争紀行」の続き。 その後英文科に転科するが、1940年春、召集令状が届き、輺重兵(しちょうへい、軍需品の輸送や補給に当たる兵のことで、旧陸軍の兵科の一つ)として仙台の輺重ニ連隊に入営、訓練後汽車を乗り継ぎ大阪港から中国戦線へ渡り第十三…

145 「戦争紀行」 日中戦争の実相を描く本

「戦争紀行」(発行・いりす、発売・同時代社、2500円)という本がこの8月出版された。この本の出版にかかわり、解説めいたことを書いた。この本は、昭和の中でも大きな歴史に位置付けられる日中戦争がテーマだ。著者の杉山市平氏は既に故人だが、学生時代…

145 「戦争紀行」 日中戦争の実相を描く本

「戦争紀行」(発行・いりす、発売・同時代社、2500円)という本がこの8月出版された。この本の出版にかかわり、解説めいたことを書いた。この本は、昭和の中でも大きな歴史に位置付けられる日中戦争がテーマだ。著者の杉山市平氏は既に故人だが、学生時代…

143 勝連の城主阿麻和利 世界遺産の地で英傑を思う

沖縄の世界遺産といえば、首里城跡など9つの「琉球王国のグスク及び関連遺跡群」だ。このうち首里城跡と今帰仁城跡には行ったことがあるが、沖縄本島中部のうるま市にある勝連城跡にはなかなか行く機会がなかった。 つい先日、仕事でうるま市に行った際、初…

144 7月のhanaのつぶやき 外房の海に入りました

私は今月の1日で10歳になりました。あの日のことはよく覚えています。家族のみんなが集まって、私のために誕生会をしてくれました。ケーキの格好をした豆腐に10本のろうそくを立てて、祝ってくれたのです。 でも、私は早く豆腐ケーキを食べたくて、よだ…

142 廃校を利用した美術館 栃木の山あいにて

栃木県那珂川町は、旧馬頭町と旧小川町が合併して2005年10月にできた新しい町だ。福岡県にも全く同じ名前の町があるので、外部の人間から見ると、紛らわしい印象がある。この町の山あいにある美術館に行ってきた。 築100年以上が過ぎ、廃校になった木造の小…

143 勝連の城主阿麻和利 世界遺産の地で英傑を思う

沖縄の世界遺産といえば、首里城跡など9つの「琉球王国のグスク及び関連遺跡群」だ。このうち首里城跡と今帰仁城跡には行ったことがあるが、沖縄本島中部のうるま市にある勝連城跡にはなかなか行く機会がなかった。 先日、仕事でうるま市に行った際、初めて…

142 廃校を利用した美術館 栃木の山あいにて

栃木県那珂川町は、旧馬頭町と旧小川町が合併して2005年10月にできた新しい町だ。福岡県にも全く同じ名前の町があるので、外部の人間から見ると、紛らわしい印象がある。この町の山あいにある美術館に行ってきた。 築100年以上が過ぎ、廃校になった木造の小…

141 初めての島 沖縄・阿嘉島にて

沖縄・慶良間諸島の中央にある阿嘉島に初めて行った。この島はダイバーには人気があるが、そう多くの人には知られていない。私はダイビングには全く興味がないのだが、島を歩いて人はなぜ海に潜るのかを少しは理解できた。 阿嘉島は那覇市から約40キロ離れた…

141 初めての島 沖縄・阿嘉島にて

沖縄・慶良間諸島の中央にある阿嘉島に初めて行った。この島はダイバーには人気があるが、そう多くの人には知られていない。私はダイビングには全く興味がないのだが、島を歩いて人はなぜ海に潜るのかを少しは理解できた。 阿嘉島は那覇市から約40キロ離れた…

140 世界のしたたかさと不思議さと  中国とモンゴルの驚異

中華饅頭はうまい。肉まんとあんまん。どちらも好きだ。おやつ代わりに食べたり、朝食として時には食べる。 その肉まんの具に、驚くべきものが入っていたという中国からのニュースには驚くというより、あきれてしまった。 豚肉の中に古い段ボールを使ってい…

140 世界のしたたかさと不思議さと 中国とモンゴルの驚異

中華饅頭はうまい。肉まんとあんまん。どちらも好きだ。おやつ代わりに食べたり、朝食として時には食べる。その肉まんの具に、驚くべきものが入っていたという中国からのニュースには驚くというより、あきれてしまった。 豚肉の中に古い段ボールを使っていた…

139 ヒグラシとホトトギス

7月も中旬になり、きょうの夕方、帰宅途中でヒグラシゼミが鳴いているのを聞いた。 梅雨の最中のヒグラシゼミである。少し早いのかと思いつつ、「カナカナカナ」という響きを楽しんだ。うるさくはない。寂しい感じもする。それがこのセミの特徴だ。万葉集で…

139 ヒグラシとホトトギス

7月も中旬になり、きょうの夕方、帰宅途中でヒグラシゼミが鳴いているのを聞いた。梅雨の最中のヒグラシゼミである。少し早いのかと思いつつ、「カナカナカナ」という響きを楽しんだ。うるさくはない。寂しい感じもする。それがこのセミの特徴だ。万葉集でも…

138 中国残留孤児支援 絶妙の政治のタイミング

うがった見方をすると、今回の永住帰国した中国残留孤児の生活支援をめぐる集団訴訟の和解は、自民党の選挙対策の一つではないか。それでなければ、こんなに急いで結論は出なかったはずだ。 集団訴訟では、神戸地裁で原告が勝訴したのみで、ほかは請求棄却と…

138 中国残留孤児支援 絶妙の政治のタイミング

うがった見方をすると、今回の永住帰国した中国残留孤児の生活支援をめぐる集団訴訟の和解は、自民党の選挙対策の一つではないか。それでなければ、こんなに急いで結論は出なかったはずだ。 集団訴訟では、神戸地裁で原告が勝訴したのみで、ほかは請求棄却と…

137 私が住んだ街・11札幌(3) ひどい交通のモラル

北海道の人々は小さいことにこだわらない。だが、全般的に礼儀正しいと思う。その現れは札幌の地下鉄である。このことは以前のブログに書いた。優先席が空いていても、老人や体の悪い人がいなくてもだれも座らない。いつも感心したものだ。 だが、車に乗ると…

137 私が住んだ街・11札幌(3) ひどい交通のモラル

北海道の人々は小さいことにこだわらない。だが、全般的に礼儀正しいと思う。その現れは札幌の地下鉄である。このことは以前のブログに書いた。優先席が空いていても、老人や体の悪い人がいなくてもだれも座らない。いつも感心したものだ。 だが、車に乗ると…

136 久間氏の辞任に思う 無定見な政治家の失敗

広島・長崎に原爆投下を命じたのは米国の第33代大統領ハリー・S・トルーマンだ。ルーズベルトの急死によって、副大統領在任88日で大統領に昇格した民主党出身のトルーマンは、有名なポツダム宣言が出る一日前の1945年7月25日に日本への原爆投下を…

136 久間氏の辞任に思う 無定見な政治家の失敗

広島・長崎に原爆投下を命じたのは米国の第33代大統領ハリー・S・トルーマンだ。ルーズベルトの急死によって、副大統領在任88日で大統領に昇格した民主党出身のトルーマンは、有名なポツダム宣言が出る一日前の1945年7月25日に日本への原爆投下を…