2020-12-01から1ヶ月間の記事一覧
フランスの詩人、ステファンヌ・マラルメ(1842~98)は「詩は言葉で書く」と、教えたそうです。当たり前のことですが、言葉を発することはなかなか難しいものですね。2020年、今年ほど言葉が重く、あるいは逆に軽く感じたことはありません。新型…
明治から昭和初期に活躍した作家の泉鏡花(1873~1939)は、『高野聖』や『婦系図』など、幻想的な作品を発表した。もし、鏡花が現代に生きていたら、コロナ対策の大家になっていたかもしれないと、想像する。鏡花は病的といえるほど、不潔を嫌う潔…
2020年も残すところ6日。コロナ禍に揺れる世界。ことしも政治家の危うい言動が目に付いた。そのうち3人の姿から「保身」という言葉が浮かぶ。ユニークな意味・解釈で知られる「新明解国語辞典 第7版」(三省堂)には「[生存競争から脱落しないように…
NHK教育テレビで、今年が生誕250年になるベートーヴェンの曲について「ベスト10」のアンケートをした番組やっていた。一番に選ばれたのは、私の予想通り《第九》だった。なぜ日本人は《第九》が好きなのだろう。ベートーヴェン研究者で政治活動家(…
朝6時の気温は4度。昨日(氷点下1度)より5度高い。東南の空に、明けの明星(金星)が輝いている。日本海側では新潟を中心に大雪が降り、関越道で2000台以上の車が一時立ち往生した。一方、太平洋側はカラカラの天気が続き、房総半島の一部では水不…
画家のゴッホは、弟テオと親友の画家エミール・ベルナールに多くの手紙を書いている。その内容は含蓄がある。例えば、ベルナールに出した手紙(第4信)(岩波文庫)の中で言葉について、こんなふうに書いている。「何かをうまく語ることは、何かをうまく描…
日本の新刊本は、年間約7万2000部(20019年、出版指標年報)発行されている。多くの本は書店に並んでも注目されずに、いつの間にか消えて行く運命にある。新聞の書評欄を見ても、興味をそそられる本はあまりない。というより、慌てて買わなくとも…
コロナ禍の日々。時間はたっぷりある。考える時間があり余っているはずだ。だが、世の中の動きに戸惑い、気分が晴れない日が続いている。そんな時、手に取った志賀直哉の『暗夜行路』の一節に、そうかと思わせる言葉があった。その言葉は、私たち後世に生き…