小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

2008-06-01から1ヶ月間の記事一覧

290 人間の尊厳を問うシベリア抑留 辺見じゅん「ダモイ遙かに」

辺見じゅんの「収容所から来た遺書」は、シベリアに抑留され、過酷な強制労働の末に収容所で病死した島根県出身の山本幡男さんの遺書を、抑留仲間たちが暗記したり、ひそかに隠して持ち帰り、遺族に届けるというノンフィクションだ。辺見はこの作品を「ダモ…

290 人間の尊厳を問うシベリア抑留 辺見じゅん「ダモイ遙かに」

辺見じゅんの「収容所から来た遺書」は、シベリアに抑留され、過酷な強制労働の末に収容所で病死した島根県出身の山本幡男さんの遺書を、抑留仲間たちが暗記したり、ひそかに隠して持ち帰り、遺族に届けるというノンフィクションだ。 辺見はこの作品を「ダモ…

289 けやきと映画と本の話 「奇跡のシンフォニー」「30%の幸せ」

最近、涙もろくなった。本を読み、映画を見ては涙ぐむことが多いのだ。アメリカ映画「奇跡のシンフォニー」は、孤児院で育った音楽の天才少年が実の父、母に巡り会うまでの話である。そのストーリーは他愛ないといえばそれまでなのだが、子どもが見ても楽し…

289 けやきと映画と本の話 「奇跡のシンフォニー」「30%の幸せ」

最近、涙もろくなった。本を読み、映画を見ては涙ぐむことが多いのだ。アメリカ映画「奇跡のシンフォニー」は、孤児院で育った音楽の天才少年が実の父、母に巡り会うまでの話である。そのストーリーは他愛ないといえばそれまでなのだが、子どもが見ても楽し…

288 方丈記の時代と変わらぬ世の無常  10年連続自殺者3万人

最近の新聞報道によると、2007年1年間の自殺者は3万2000人になるという。日本の自殺者は1998年以来、10年連続で3万人を超える異常事態だ。G8ではロシアに次いで高く、世界でも9位というから、日本社会が生きるうえでつらい社会になっていることは間違いない…

288 方丈記の時代と変わらぬ世の無常 10年連続自殺者3万人

最近の新聞報道によると、2007年1年間の自殺者は3万2000人になるという。日本の自殺者は1998年以来、10年連続で3万人を超える異常事態だ。G8ではロシアに次いで高く、世界でも9位というから、日本社会が生きるうえでつらい社会になっていることは間違いない…

287 先人たちの生きる知恵 映画「西の魔女が死んだ」に思う

児童文学者である梨木香歩の「西の魔女が死んだ」が映画化された。学校に行くことができなくなった少女がイギリス人のおばあちゃんと自然の中で暮らし、魔女修行の手ほどきを受けるストーリーだ。登場人物が少なく、映画化できるのかと思っていたが、原作に…

287 先人たちの生きる知恵 映画「西の魔女が死んだ」に思う

児童文学者である梨木香歩の「西の魔女が死んだ」が映画化された。学校に行くことができなくなった少女がイギリス人のおばあちゃんと自然の中で暮らし、魔女修行の手ほどきを受けるストーリーだ。 登場人物が少なく、映画化できるのかと思っていたが、原作に…

286 だれにでもある原風景 「海に帰る日」

原風景はだれでも持っている。その育った環境、その人の感性によって大きく異なる。海辺近くに住んだ人は、海での出来事が原風景になっているかもしれない。山や川を間近に育った人は、そうした自然環境での体験が心に残っているだろう。 アイルランドの作家…

286 だれにでもある原風景 「海に帰る日」

原風景はだれでも持っている。その育った環境、その人の感性によって大きく異なる。海辺近くに住んだ人は、海での出来事が原風景になっているかもしれない。山や川を間近に育った人は、そうした自然環境での体験が心に残っているだろう。 アイルランドの作家…

285 モノクロ・影絵の世界へのいざない 「般若心経」写真展を観る

一般的な日本人は、信仰心が薄いのではないか。ただし初詣や受験の際には、にわかに信仰心が出るのか寺や神社に詣でるし、旧い神社仏閣が好きな人も多い。しかし、どうみても私を含めて基本的にキリスト教やイスラム教が普及した諸国に比較すれば、ふだんの…

285 モノクロ・影絵の世界へのいざない「般若心経」写真展を観る

一般的な日本人は、信仰心が薄いのではないか。ただし初詣や受験の際には、にわかに信仰心が出るのか寺や神社に詣でるし、旧い神社仏閣が好きな人も多い。しかし、どうみても私を含めて基本的にキリスト教やイスラム教が普及した諸国に比較すれば、ふだんの…

284 わが家の犬も異常行動 被害拡大が心配な東北の地震

岩手、宮城で震度6強の地震が発生した。つい最近、中国・四川大地震で心を痛めたのに、今度は日本のかつて住んだことがある地域が自然の脅威に見舞われた。被害の拡大が心配だ。 かつて住んだことがあると書いた。揺れが大きかった仙台に住み、その前に秋田…

284 わが家の犬も異常行動 被害拡大が心配な東北の地震

岩手、宮城で震度6強の地震が発生した。つい最近、中国・四川大地震で心を痛めたのに、今度は日本のかつて住んだことがある地域が自然の脅威に見舞われた。被害の拡大が心配だ。 かつて住んだことがあると書いた。揺れが大きかった仙台に住み、その前に秋田…

283 伝達手段の変化の時代

インスタントコーヒーを飲まない人でも、ネスカフェーの「違いの分かる男」のCMは、記憶に残っているはずだ。テレビ、新聞、雑誌とCM全盛時代が続いている。私は、CMの分野ではやはりコピーライターの世界に一番興味を持つ。短い文章で商品の魅力を表現する…

283 伝達手段の変化の時代

インスタントコーヒーを飲まない人でも、ネスカフェーの「違いの分かる男」のCMは、記憶に残っているはずだ。テレビ、新聞、雑誌とCM全盛時代が続いている。私は、CMの分野ではやはりコピーライターの世界に一番興味を持つ。短い文章で商品の魅力を表現する…

282 平凡な日常を奪った秋葉原の通り魔 いのちの大事さとは

文芸評論家の秋山駿さんは「何でもないものが好きだ」という。(6月6日日経新聞夕刊)それは「特別の意味があるわけではなく、何の特徴もなく、平凡で何処にでも在りそうなもの」なのだそうだ。そして「何でもないないものを輝かす文章を好むようになった」…

282 平凡な日常を奪った秋葉原の通り魔 いのちの大事さとは

文芸評論家の秋山駿さんは「何でもないものが好きだ」という。(6月6日日経新聞夕刊)それは「特別の意味があるわけではなく、何の特徴もなく、平凡で何処にでも在りそうなもの」なのだそうだ。そして「何でもないないものを輝かす文章を好むようになった」…

281 パーキンソン病に侵されても 言葉-解体することなく

いつもまぶしい存在と思っていた同年代の1人が難病のパーキンソン病に侵され、職場を去ってからかなり時間が経過した。病と闘いながら原稿を書き続けていると聞いていたが、つい最近、彼から「言葉-解体することなく」という本が届いた。それは20数編のエ…

281 パーキンソン病に侵されても 言葉―解体することなく

いつもまぶしい存在と思っていた同年代の1人が難病のパーキンソン病に侵され、職場を去ってからかなり時間が経過した。病と闘いながら原稿を書き続けていると聞いていたが、つい最近、彼から「言葉-解体することなく」という本が届いた。 それは20数編のエ…

280 役人天国日本示す居酒屋タクシー

かつてタクシーを使い深夜帰宅するシフト制職場に勤務したことがある。夜中の2時過ぎ、もちろん電車はもう走っていない。同じ個人タクシーに何度も乗ったが、いま問題になっているような「居酒屋タクシー」に出会ったことはない。昨今の報道を見て、まるで漫…

280 役人天国日本示す居酒屋タクシー

かつてタクシーを使い深夜帰宅するシフト制職場に勤務したことがある。夜中の2時過ぎ、もちろん電車はもう走っていない。同じ個人タクシーに何度も乗ったが、いま問題になっているような「居酒屋タクシー」に出会ったことはない。昨今の報道を見て、まるで漫…

279 それぞれの人生 「畑・歌・本」と

周囲には人生経験豊かな面白い人たちがいる。たまたま、最近知り合いになった2人と酒を飲んだ。同じ時代を歩んだはずだが、2人の話を聞いて私に比べてゆとりを持って生活を楽しんでいると思ったものだ。先月、団塊世代を対象にした広告会社マッキャンエリク…

279 それぞれの人生「畑・歌・本」と

周囲には人生経験豊かな面白い人たちがいる。たまたま、最近知り合いになった2人と酒を飲んだ。同じ時代を歩んだはずだが、2人の話を聞いて私に比べてゆとりを持って生活を楽しんでいると思ったものだ。 先月、団塊世代を対象にした広告会社マッキャンエリ…

278 ひとすじの道 医師たちの苦闘

イギリスの作家でA・J・クローニンを知っている人は少なくなったかもしれない。医師として歩んだクローニンは、いつしか文学に志し、イギリスのベストセラー作家になる。 日本では、竹内道之助が翻訳し、全集が出版されている。自伝的な話が数多く書かれてい…

278 ひとすじの道 医師たちの苦闘

イギリスの作家でA・J・クローニンを知っている人は少なくなったかもしれない。医師として歩んだクローニンは、いつしか文学に志し、イギリスのベストセラー作家になる。日本では、竹内道之助が翻訳し、全集が出版されている。自伝的な話が数多く書かれてい…

277 優しい時間 コーヒーとつるバラと

梅雨に入ったような天気が続いた。昨日の土曜日は肌寒い休日だった。それがうそのように、日曜日のきょうの天気は回復した。庭に出るのもうっとうしいと思っていたが、久しぶりに気分転換を図ろうと、とっておきのコーヒーカップを取り出した。 庭の椅子に座…

277 優しい時間 コーヒーとつるバラと

梅雨に入ったような天気が続いた。昨日の土曜日は肌寒い休日だった。それがうそのように、日曜日のきょうの天気は回復した。庭に出るのもうっとうしいと思っていたが、久しぶりに気分転換を図ろうと、とっておきのコーヒーカップを取り出した。 庭の椅子に座…