小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

2015-01-01から1年間の記事一覧

1429 続・風景との対話 読書について

調整池から霧が出ている。西の空には満月(寒月)の余韻の白い月が見える。師走の朝である。新聞の朝刊を開くと、読書欄には書評委員が選んだ「注目の本、心に残る本」各3点が紹介されていた。多くの委員がいるのに重なる本はほとんどない。それは読書の傾…

1429 続・風景との対話 読書について

調整池から霧が出ている。西の空には満月(寒月)の余韻の白い月が見える。師走の朝である。新聞の朝刊を開くと、読書欄には書評委員が選んだ「注目の本、心に残る本」各3点が紹介されていた。多くの委員がいるのに重なる本はほとんどない。それは読書の傾…

1428 「人生最高の日」は 沖縄の得難い体験の共有

寒い季節になると、思うのは南の暖かな地域のことだ。中でも沖縄のことが気になる。沖縄といえば、奄美大島から沖縄に移り住んで16年になる知人がとてもいい話を教えてくれた。それは沖縄の人たちの心根の優しさを示す、文字通り心温まる話である。 知人は…

1428 「人生最高の日」は 沖縄の得難い体験の共有

寒い季節になると、思うのは南の暖かな地域のことだ。中でも沖縄のことが気になる。沖縄といえば、奄美大島から沖縄に移り住んで16年になる知人がとてもいい話を教えてくれた。それは沖縄の人たちの心根の優しさを示す、文字通り心温まる話である。 知人は…

1427 幸あふれる人生 北海道移住の知人が写真展

首都圏から北海道に移住して6年目の生活を送っている知人から、最近、嬉しい知らせが届いた。実は、知人の北海道移住は悩みに悩んだ末の決断だった。だが、北海道の自然はそんな悩みを吹き飛ばした。知人が撮影した北海道の風景写真は多くの人の心に響き、…

1427 幸あふれる人生 北海道移住の知人が写真展

首都圏から北海道に移住して6年目の生活を送っている知人から、最近、嬉しい知らせが届いた。実は、知人の北海道移住は悩みに悩んだ末の決断だった。だが、北海道の自然はそんな悩みを吹き飛ばした。知人が撮影した北海道の風景写真は多くの人の心に響き、…

1426 風景との対話 冬の空を見上げて

朝焼を見た。俳句歳時記(角川学芸出版)で調べてみると、夏の季語の天文の項にあって「日の出間際の東の空が赤く染まる現象で、夏に多い。俗に朝焼の日は天気が下り坂になるといわれる」という説明が付いている。それにしても、空気が乾いたこの季節(冬)…

1426 風景との対話 冬の空を見上げて

朝焼を見た。俳句歳時記(角川学芸出版)で調べてみると、夏の季語の天文の項にあって「日の出間際の東の空が赤く染まる現象で、夏に多い。俗に朝焼の日は天気が下り坂になるといわれる」という説明が付いている。それにしても、空気が乾いたこの季節(冬)…

1425 山桜に寄せて 詩「さざめきの後で」

季節外れだが、先日、千葉県佐倉市のDIC川村美術館の広大な敷地内で桜が咲いているのを見た。狂い咲きではなく、「十月桜」か「冬桜」という種類らしい。桜の代表といえば、もちろん染井吉野とだれもが思い浮かべるだろう。だが、かつては「染井吉野は最…

1425 山桜に寄せて 詩「さざめきの後で」

季節外れだが、先日、千葉県佐倉市のDIC川村美術館の広大な敷地内で桜が咲いているのを見た。狂い咲きではなく、「十月桜」か「冬桜」という種類らしい。桜の代表といえば、もちろん染井吉野とだれもが思い浮かべるだろう。だが、かつては「染井吉野は最…

1424 「詩とは何か」 詩論『詩のオデュッセイア―』が最終回

詩人・コラムニストの高橋郁男さんが詩誌「コールサック」(コールサック社、年4回発行)で連載していた詩論『詩のオデュッセイア―』が、近刊の84号(2015年12月)で最終回(9回)を迎えた。人類の歴史とともに編まれてきた数多くの詩を、寸感を添…

1424 「詩とは何か」 詩論『詩のオデュッセイア―』が最終回

詩人・コラムニストの高橋郁男さんが詩誌「コールサック」(コールサック社、年4回発行)で連載していた詩論『詩のオデュッセイア―』が、近刊の84号(2015年12月)で最終回(9回)を迎えた。人類の歴史とともに編まれてきた数多くの詩を、寸感を添…

1423 苦難の中での発想 新潟のオリーブ栽培

クイズ番組で優勝を目指す物知りは別にして、人間には知らないことが少なくない。オリーブについてもそうだった。オリーブといえば、実から採ったオリーブ油がすぐに頭に浮かぶ。だが、その葉も実は効用があることが知人からの連絡で知った。 知人は新潟市で…

1423 苦難の中での発想 新潟のオリーブ栽培

クイズ番組で優勝を目指す物知りは別にして、人間には知らないことが少なくない。オリーブについてもそうだった。オリーブといえば、実から採ったオリーブ油がすぐに頭に浮かぶ。だが、その葉も実は効用があることが知人からの連絡で知った。 知人は新潟市で…

1422 芸術は歴史そのもの 絵画と映画と

12月になった。季節は冬。人生でいえば長い歴史を歩んできた高齢者の季節である。最近、歴史を考える機会が増えた。それは絵画であり、映画だった。まず、絵画展。「村上隆の五百羅漢図展」(六本木ヒルズ、森美術館)、DIC川村美術館(千葉県佐倉市)…

1422 芸術は歴史そのもの 絵画と映画と

12月になった。季節は冬。人生でいえば長い歴史を歩んできた高齢者の季節である。最近、歴史を考える機会が増えた。それは絵画であり、映画だった。まず、絵画展。「村上隆の五百羅漢図展」(六本木ヒルズ、森美術館)、DIC川村美術館(千葉県佐倉市)…

1421 マルタと沖縄と ミニ国家が歩む道

最近マルタ島を旅した知人がいる。人口42万人、国土面積は東京23区の半分に当たる316平方キロという小さな島国(マルタ島やゴゾ島、コミノ島からなるイギリス連邦のマルタ共和国)である。 地図で見ると、長靴のような形をしたイタリアのつま先の位置…

1421 マルタと沖縄と ミニ国家が歩む道

最近マルタ島を旅した知人がいる。人口42万人、国土面積は東京23区の半分に当たる316平方キロという小さな島国(マルタ島やゴゾ島、コミノ島からなるイギリス連邦のマルタ共和国)である。 地図で見ると、長靴のような形をしたイタリアのつま先の位置…

1420 大量遭難の背景は 映画『エベレスト3D』と原作『空へ』

登山の醍醐味は、困難を乗り越えて頂上に立ったときの達成感なのだろうか。登山をやらない私にはその辺のことは分からない。1996年にエベレスト(8848メートル)で起きた大量遭難で、遭難を免れたジャーナリスト、ジョン・クラカワーが体験したことは、そう…

1420 大量遭難の背景は 映画『エベレスト3D』と原作『空へ』

登山の醍醐味は、困難を乗り越えて頂上に立ったときの達成感なのだろうか。登山をやらない私にはその辺のことは分からない。1996年にエベレスト(8848メートル)で起きた大量遭難で、遭難を免れたジャーナリスト、ジョン・クラカワーが体験したことは、そう…

1419 谷風と北の湖 1974年夏の思い出

大相撲の第55代横綱で相撲協会理事長の北の湖が亡くなった。62歳という年齢は長寿社会の現代では若い。北の湖理事長の死は、現役時代に無理を重ねる力士の寿命があまり長くないことを示している。訃報を聞いて41年前のことを思い出した。北の湖が横綱…

1419 谷風と北の湖 1974年夏の思い出

大相撲の第55代横綱で相撲協会理事長の北の湖が亡くなった。62歳という年齢は長寿社会の現代では若い。北の湖理事長の死は、現役時代に無理を重ねる力士の寿命があまり長くないことを示している。訃報を聞いて41年前のことを思い出した。北の湖が横綱…

1418 画家フジタが生きたパリ 喜びと悲しみを内包した芸術の都

映画「FOUJITA」は、フランスを中心に活動した画家、藤田嗣治(1886~1968)の半生を描いた日仏合作の作品だ。監督は小栗康平、主演はオダギリ・ジョー。藤田といえば、オカッパ頭とロイドメガネで知られ、1820年代のパリで日本画の技法も取り入…

1418 画家フジタが生きたパリ 喜びと悲しみを内包した芸術の都

映画「FOUJITA」は、フランスを中心に活動した画家、藤田嗣治(1886~1968)の半生を描いた日仏合作の作品だ。監督は小栗康平、主演はオダギリ・ジョー。藤田といえば、オカッパ頭とロイドメガネで知られ、1820年代のパリで日本画の技法も取り入…

1417 セザンヌの少年の絵 秋の日の特別な時間

家の前にある遊歩道には、けやきの木が街路樹として植えてある。そのけやきの葉がことしは特に色づいているように見える。いまが紅葉の盛りのようだ。最近訪れた那須高原でも美しい紅葉を見ることができた。それも数十年ぶりの友人との再会という嬉しい出来…

1417 セザンヌの少年の絵 秋の日の特別な時間

家の前にある遊歩道には、けやきの木が街路樹として植えてある。そのけやきの葉がことしは特に色づいているように見える。いまが紅葉の盛りのようだ。最近訪れた那須高原でも美しい紅葉を見ることができた。それも数十年ぶりの友人との再会という嬉しい出来…

1416 夜長の季節の本の読み方 あなたは寝過ぎ派、寝不足派?

「書読まぬ男は夜長哉」。正岡子規の句である。秋の夜長、本を読まない男は寝過ぎ、読む男は寝不足になるというのである。テレビやスマホなど、いまの時代は本を読まなくとも夜更かしになる材料は事欠かず、寝不足派が圧倒的に多いのではないか。 ヘルマン・…

1416 夜長の季節の本の読み方 あなたは寝過ぎ派、寝不足派?

読まぬ男は夜長哉 正岡子規の句である。秋の夜長、本を読まない男は寝過ぎ、読む男は寝不足になるというのである。テレビやスマホなど、いまの時代は本を読まなくとも夜更かしになる材料は事欠かず、寝不足派が圧倒的に多いのではないか。 ヘルマン・ヘッセ…

1415 尺八の音を聞き歩く秋日和  千鳥ヶ淵の光景

昨日、東京の街をぶらぶらと歩いた。最高気温は17・4度。日陰に入るとやや肌寒いが、歩くには爽快な一日だった。千鳥ヶ淵の戦没者墓苑付近を通りかかると「仰げば尊し」のメロディが流れてきた。近づいてみると、60歳は超えたと思われる男性が尺八を吹…

1415 尺八の音を聞き歩く秋日和  千鳥ヶ淵の光景

昨日、東京の街をぶらぶらと歩いた。最高気温は17・4度。日陰に入るとやや肌寒いが、歩くには爽快な一日だった。千鳥ヶ淵の戦没者墓苑付近を通りかかると「仰げば尊し」のメロディが流れてきた。近づいてみると、60歳は超えたと思われる男性が尺八を吹…