小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

1865 マロニエとクスノキの対話 困難な時代だからこそ

3月もきょうで終わり。木々も芽吹き始める季節である。私が体操広場と呼ぶ広場にあるマロニエ(トチノキ)も少しずつ葉を出しつつある。葉の出し方は個体差があり、新緑が美しい木もあれば、まだ全く芽吹きのない木もある。明日から4月、広場は急速に緑に…

1864 桜の季節に届いた手紙「心は自由」「若者へ伝えること」

春立つや子規より手紙漱石へ 榎本好宏 俳人の正岡子規と文豪、夏目漱石は頻繁に手紙を交わしたそうです。この句は立春の日、子規から漱石に手紙が届いた情景を描いています。立春から春の彼岸が過ぎ、新型コロナウイルスによる感染症が世界で爆発的に流行し…

1863 チャイコフスキーの魂の叫び 感染症と闘う時代に

日本は光の春なのですが、世界は不穏な時を迎えています。皆さんはどんな日々を送っているでしょうか。新型コロナウイルス感染症の世界的流行によって、多くの人たちは圧倒的に「不安」を抱いているといっていいかもしれません。私はチャイコフスキーの交響…

1862 東京五輪とコロナ WHOに多額拠出の背景は?

7月~8月開催予定の第32回東京五輪が、新型コロナウイルスによる感染症の世界的流行により揺れ動いている。選択肢は予定通りの開催か、延期か(1年あるいは2年)、中止かの3つだが、予定通りの開催は誰が見ても難しい状況にある。そんな中、日本政府…

1861 自家撞着の政治家 知識を身につけていても

人間は生きよと銀河流れをり 新感覚派の俳人といわれた上野泰(1918~1973)の句である。「スケールの大きな世界。すでにほろんだ星も含む銀河が『人間は生きよ』と語りかけながら流れていきます。心に何か悩みや屈託があったとしても、この涼やかな…

1860 東日本大震災から9年 被災地訪問記再掲

きょうで東日本大震災から9年になる。9年という歳月は日本社会に様々な変化をもたらした。大震災のあと私が初めて被災地に入ったのは岩手県だった。以下に当時、別の媒体に書いた訪問記を再掲する。(政治は民主党から自民党政権に代わり、第2次安倍政権…

1859 雷電が伝えたかったこと 猛稽古に込めた闘う姿勢

凶作と飢餓、貧困に悪政が追い討ちをかけた天明・寛政年間(江戸時代)、相撲界にヒーローが現れた。古今無双の強さを誇った雷電為右衛門である。8日から始まった大相撲春場所(大阪)は無観客開催という異例の場所になった。テレビで歓声のない静寂な相撲…

1858 何も悪いことをしていないのに……上野敏彦著『福島で酒をつくりたい』を読む

9年前の東日本大震災は多くの人々に大きな影響を与えた。特に原発事故の福島では、今なお避難先から住み慣れた故郷に戻ることができない人々が数多く存在する。山形県長井市で「磐城壽」という日本酒づくりに取り組む鈴木酒造店も原発事故によって福島を追…

1857 不条理の春がきた コロナウイルス蔓延の時代に

ドイツの文豪、ゲーテ(1749~1832)は、人が年をとることについて様々な言葉を残している。最近のコロナウイルス問題に関して、高齢者による無分別な行動のニュースを見たり読んだりしていると、自戒を込めてゲーテの言葉の意味を考えてしまう。以下はゲーテ…