小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

文化

692 不思議な空間に酔う 十和田の現代美術館

青森県十和田市に行ってきた。平成の大合併といわれた2005年の市町村合併で、旧十和田湖町とそれまでの十和田市が合併して「十和田市」になったので、市の一部は十和田湖に近い。 しかし、私が行った十和田市中心部にある十和田市現代美術館は、十和田湖…

507 夜想曲集(音楽と夕暮れをめぐる5つの物語) カズオ・イシグロの世界

カズオ・イシグロは、独特の感性を持った作家だ。イシグロといえば人生の黄昏を描いた「日の名残り」の印象が強かった。そうしたカテゴリーだけでなく音楽を共通の背景にした5つの短編からは人生の襞といおうか、あるいは陰影を感じ取り、考えることが多か…

504 肝高の阿麻和利・東京公演  ありがとう沖縄の子ら

「沖縄の子どもたちよ、ありがとう」。正直なところ、こう思った。8月19日夜、東京・新宿の厚生年金ホールで行われた現代版組踊「肝高の阿痲和利」の舞台を見る機会があり、そのすさまじいばかりのエネルギーに圧倒され、こんな感想を持った。 この舞台に…

501 パソコンにも相性? データ移行に難航

購入して5年が経過したデスクトップ型パソコンの調子が悪くなったため、仕方なく新しいものに買い替えた。OSがウインドウズXPからビスタになったくらいで、操作はそう変わらないし「USBフラッシュメモリ」という重宝な道具があるので、旧パソコン(かろ…

495 不況で相次ぐ花火大会中止 でもコチラの方は

各地で花火大会が相次いで中止になっているという。大型の大会には2000万円から5000万円の費用がかかるが、不景気で企業を中心にした協賛金が獲得できず、中止に追い込まれてしまうのだ。花火は郷愁を呼ぶ伝統行事だ。それが開催できないほど、日本…

494 カファの赤い実 コーヒー誕生小話

コーヒーが好きだ。ただ、漫然と飲んでいるのだが、ある日、家族からコーヒーはどうして飲まれるようになったのか知っているのかと聞かれた。 首をひねると、雑誌を差し出され「ここを読んで」といわれた。その雑誌(生活の木・ライフウェアブック)には「コ…

483 「アジア新聞屋台村」 不思議な多国籍新聞社の物語

マニラで日本語新聞を発行している知人がいる。元新聞記者の彼は、家の事情で一度新聞業界から足を洗った。しかし記者としての仕事を忘れることができなかった知人は、それじゃやあと、自分で新聞社を作ってしまった。高野秀行の「アジア新聞屋台村」を読んで…

480 万葉の「歌垣」再び 携帯メールで俳句と短歌

日本の伝統文化である俳句と短歌。その素養がある人はうらやましい。俳句は17文字、短歌は31文字に凝縮して、森羅万象を表現する。 日本の誇るべき文化といっていい。残念ながら、私にはその素養はない。最近隅々まで普及した携帯電話のメール機能を利用…

286 だれにでもある原風景 「海に帰る日」

原風景はだれでも持っている。その育った環境、その人の感性によって大きく異なる。海辺近くに住んだ人は、海での出来事が原風景になっているかもしれない。山や川を間近に育った人は、そうした自然環境での体験が心に残っているだろう。 アイルランドの作家…

283 伝達手段の変化の時代

インスタントコーヒーを飲まない人でも、ネスカフェーの「違いの分かる男」のCMは、記憶に残っているはずだ。テレビ、新聞、雑誌とCM全盛時代が続いている。私は、CMの分野ではやはりコピーライターの世界に一番興味を持つ。短い文章で商品の魅力を表現する…