小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧

1586 「読書は人をつくる」 時間の無駄では決してない

「読書は満ちた人をつくる」という言葉が好きだ。イギリスのフランシス・ベーコンの『随想集』にあり、原文は「Reading maketh a full man」だ。岩波文庫の渡辺義雄訳は「読書は充実した人間を作り」とあり、英文学者の福原麟太郎は『読書と或る人生』(新潮選…

1585 信じたい「人道主義」 バルセロナのテロに思う

スペインの大都市、バルセロナの中心部で通行人の中にワゴン車が突っ込むというテロがあり、これまでに13人が死亡、100人以上が負傷した。イスラム過激派による犯行とみられている。この街のメーンストリート、ランブラス通りでの惨事である。かつて私…

1584 咲き続ける朝顔 季語は秋でも夏の風物詩

小学校1年生の孫娘から預かった鉢植えの朝顔が咲き続けている。わが家にやってきてから111個、実際に咲き始めてからちょうど150個になる。この先どれほどの花が咲くのだろう。俳句歳時記によると、朝顔は夏の季語ではなく秋の季語だ。 「朝顔市」をは…

1583 ガダルカナル・インパールを生き抜く 元兵士の手記

72回目の終戦の日である。太平洋戦争で310万といわれる日本人が死亡し、中国(1000万人)をはじめアジア各国で2000万人以上が犠牲になったといわれる。天皇陛下は戦没者追悼式で「ここに過去を顧み、深い反省とともに、今後、戦争の惨禍が再び…

1582 戦争文学を読む 72年目の夏

最近読んだ本は、「戦争文学」といえる3冊だ。特攻隊長の体験を基にした島尾敏男の短編集『島の果て』(集英社文庫)、戦争を知らない世代が書いた高橋弘希『指の骨』(新潮文庫)、フィリピン・ミンダナオ島で生まれ、ジャングルでの避難生活を体験した衣…

1581 豪華列車とワンマン特急 JR九州の目指すもの?

ワンマンの特急列車がJR九州で運行されていることをある新聞記事を読むまで知らなかった。その記事は宮崎県の地方紙、宮崎日日新聞8月6日付朝刊に「災害時の対応大丈夫か」と題して掲載された「日曜論説」だった。筆者は共同通信宮崎支局の上野敏彦支局…

1580 小説『黒い雨』を読みながら 試される政府の本気度

『黒い雨』(新潮文庫)は、阿鼻叫喚の広島の街の姿を井伏鱒二という冷静な作家によってに描かれた原爆小説だ。この時期、本棚から取り出して再読する人もいるだろう。私もその一人である。この小説は原爆小説とはいえ、正面から政治上の主張はしていない。…

1579 大暑を乗り切ろう 国民的文芸に親しむ

「大暑」の季節である。熱気が体全体にまとわりつくほど蒸し暑い。一雨ほしいと思っていたら、滴が降ってきた。そんな一日、ある句会に参加した。「現代の俳人で歴史に残るのはこの人しかいない」と、句会の主宰者が評価する金子兜太は「俳句は、日本人にと…

1578 「長い物には巻かれよ」 守った人と守らなかった人

「長い物には巻かれよ」という言葉は「目上の人や勢力のある人には争うより従っている方が得である」(広辞苑)という意味だ。官僚の世界で、この言葉を守った人と守らなかった人の2つの例が日本と韓国で最近話題になった。どちらが多くの人に受け入れられ…