小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

2002 五輪が歓迎される時代の終焉 竹ヤリ精神で乗り切れるのか

BS放送で映画『グラディエーター』(ローマ帝国時代の「剣闘士」のこと)を見た。以前にも見たことがある、ローマのコロッセウム(円形劇場=闘技場)で闘う剣闘士を描いた大作だ。既にコロッセウムのことを書いたブログでも紹介しているのでここではその内…

2001 10年以上前にパンデミックを警告「こちらからウイルスを見つけに行け」と

10年以上も前に、新型コロナ感染症の出現を予言するような記事が書かれていた。当時、深く考えずに読み流した。感度が鈍かったのは、私だけではないようだ。《はたして人類を襲う『次のパンデミック』は豚インフルエンザなのか、それとも鳥インフルエンザ…

2000 コロナ禍で沈んだ社会 ブログ「2000回」に寄せて

このブログのタイトルのように私は毎日、遊歩道の小径をのんびりと散歩しています。その折々に様々なことが頭に浮かび、現代の世相のことを考えるのです。この世界は、どこへ行くのかと……。その想念を文字にしたのがこのブログです。2006年9月からスタ…

1999 あるジャーナリストの短い生涯『そして待つことが始まった 京都 横浜 カンボジア』を読む

20世紀は「戦争の世紀」といわれた。第1次に続く第2次世界大戦終結後も、世界の戦火は消えない。このうちアジアが戦場になったベトナム戦争、カンボジア紛争(内戦)では多くの記者たちが命を落とした。この中に共同通信社の石山幸基記者も入っていた。…

1998 新緑の季節がやってきた ブレイク「笑いの歌」とともに

特権をひけらかす テムズ川の流れに沿い 特権をひけらかす 街々を歩きまわり ゆききの人の顔に わたしが見つけるのは 虚弱のしるし 苦悩のしるし (寿岳文章訳『ブレイク詩集』「ロンドン」岩波文庫) この短い詩を書いたのは、イギリスの詩人で画家、銅版画…

1997 新しい夜明けを待つ心 コロナ禍の現代に考える

10年ひと昔という。しかし、世の中の動きが早い現代から見ると、10年前はひと昔どころか、もっと遠い日のことのように思えてならない。こんなことを書くと、2011年3月11日の被災地の皆さん、特に東電福島第一原発事故で故郷を離れざるを得なかっ…

1996 月山で「幸」探し 残雪の絶景の中で

山形の友人が2年ぶりに月山を縦走した、と知らせてきた。残雪が美しい月山の数々の写真を見て、私はカール・プッセ(1872~1918)の「山のあなた」という詩を思い浮かべた。昨年から続くコロナ禍によって社会全体が打ち沈み、爽快感を味わうことが…

1995 88歳の健脚に脱帽 目を見張る思いの池江選手

私の前を一人の高齢の男性が歩いていた。背が高く、やせていて仙人を連想させる。私はいつものように、ポールを使ったウオーキングをしていて、歩き方は速いはずだった。だから、前の高齢者にはすぐに追いつき、追い越すと思っていた。だが、そうはいかなか…

1994 鎮魂の季節は4月 比島に消えた父

鎮魂の季節といえば、8月だ。だが、私にとっての鎮魂の季節は4月なのである。それはなぜか。76年前の4月、日本から海を隔てて約3000キロのフィリピンでは、私の父を含む日本軍の兵士、民間人らおびただしい人々(50万人以上といわれる)が米軍と…