小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

ニュース

1448 雪についての雑感 登校の子ら足遅く

暖冬が続いていると思ったが、うっすらと雪が積もった。この地域(千葉市の南部)では、2014年2月8日から9日の大雪以来、積雪はなかったから久しぶりのことである。家の前を、雪が大好きな子どもたちがはしゃいで登校している。2年前の大雪の際のこ…

1444 貶められた無限の可能性 この世で最も美しい言葉……

「言葉はこの世の最も美しいものの一つである―言葉は、眼には見えないが、絶えずわれわれの側にただよってわれわれが弾くのを待っている、不可思議な楽器のようなものだ」 オーストリアの詩人、作家、劇作家のフーゴ・フォン・ホーフマンスタール(1874…

1386 曲がり角の商業五輪 記録的猛暑の中で考える

猛暑が続いている。東京では7月31日からきょう5日まで6日連続して気温が35度を超える猛暑日となり、気象庁が統計を取り始めてからの記録を更新した。外を歩くと、暑さのあまり身体がふらつく。熱中症患者が続出していて、全国的に救急車がフル稼働状…

1376 病んでいる日本社会 報道の自由度ランキングは61位

安倍首相の応援団である自民党若手議員の勉強会で、講師として招いた作家の百田尚樹氏とともに衆院議員が沖縄県民世論を批判、「広告を出さないように経団連に働きかけろ、2つの新聞はつぶすべきだ」などと沖縄の2紙(沖縄タイムス、琉球新報)を威圧する…

1357 日本政府の遅い対応 ネパール地震に思う

ネパールでM7・8の大地震が発生し、多くの犠牲者が出ている。そのニュース映像を見ていて、あらためて自然の脅威を感じ、東日本大震災を思い出した人は少なくないだろう。 あの大震災から4年が過ぎている。しかし、被災地の復興は道半ばであり、原発事故の…

1351 障害を持つということ 『奇跡の人』とつんく♂さんのこと

シンガソングライターで音楽プロデューサーのつんく♂さんが喉頭がんのため声帯を摘出、声を失ったことを母校・近畿大学の入学式で公表した。原田マハ著『奇跡の人』(双葉社)を読んでいる途中にこのニュースを知り、人にとって声を失うことがいかに大変なも…

1347 東日本大震災・原発事故から4年 人の心に浮かぶもの

「福島の原発事故が日本という高度な技術水準を持つ国でもリスクがあり、事故は起きるのだということを如実に示した。私たちが現実に起こりうるとは思えないと考えていたリスクがあることが分かった」 「エネルギーの3分の1を原発が担っている。それが止まっ…

1346 過去と向き合う姿勢 「パリよ永遠に」とメルケル首相来日

来日したドイツのメルケル首相が講演で、第2次大戦中に関係が悪化した周辺国との和解には「過去と向き合うことが重要」との認識を示し、不倶戴天の敵だったドイツとフランスの関係が和解から友情に発展したのは「両国民が歩み寄ろうとしたところから始まった…

1344 戦争は人間の所業の空しさ 戦艦武蔵発見に思う

戦艦「武蔵」が米軍の攻撃で沈没したのは1944年10月24日のことである。それから既に70年が過ぎている。米マイクロソフトの共同創業者ポール・アレン氏がフィリピン中部のシブヤン海でその武蔵を発見したとインターネットのツイッターで写真や動画を掲載した…

1341 風が吹き抜けるように 3月のはじめに

3月になった。この2カ月は「冬」を象徴する暗いニュースが続いた。1月から2月にかけては主にイスラム過激派「イスラム国」に処刑された後藤健二さんと湯川遥菜さんのこと、そして、2月から3月の現在は、川崎市の中学1年生、上村僚太君殺害事件である。これら…

1339 おかしな世界と日本 繰り返す栄枯衰退の歴史

国会は「言論の府」といわれる。言論が尊重され、言論によって国政のあり方が議論されている。しかし、現在の国会の姿は異常である。安倍晋三首相や自民党議員が国会で野次を飛ばし謝罪するという醜態を演じ、日本の政治家から品格がなくなっているとしか言…

1333 三日月残る朝 阪神大震災から20年

このごろの6時過ぎの時間は、まだ夜が明け切っていない。東の空には三日月が残っていて、散歩道を照らしてくれている。道の両側の土の部分には霜柱が立っている。小寒から大寒へと続く厳冬期である。 1月17日は、阪神淡路大震災から20年目の節目の日である。…

1320 おかしな解散の儀式 劣化する政治

衆議院が解散し12月14日に選挙が実施される。伊吹文明議長が解散の詔書を読み上げる際、「バンザイ」の声が途中で出てしまい、終わった後議長が「バンザイはここでやってください」と促すというおかしな解散の儀式だった。 政治評論家といわれる人たちも…

1308 報道写真家が入れない領域  混迷度増す現代社会

日本百名山の一つ、御嶽山が9月27日に噴火して戦後最悪の死者を出した。あれから間もなく3週間になるが、きょう16日で、行方不明者の捜索活動は打ち切られた。山はもう冬なのである。 御嶽の噴火では登山者によって多くの写真が撮影された。ほとんどが…

1307 バイヨン寺院の出来事 悲劇のアンコールワット

ことしも帰化植物、セイダカアワダチソウの黄色い花が咲く季節になった。散歩コースの調整池の周囲には、天敵のススキと共存共栄している姿が見られる。こんな風景の中を歩いていると旅をしたくなる。旅といえば1年少し前、カンボジアの世界遺産・アンコー…

1306 マララさんにノーベル平和賞 不屈の少女の行動

女性の教育の権利を訴え続けているパキスタンのマララ・ユスフザイさん(17)=イギリス在住=とインドの児童人権活動家カイラシュ・サティアルティさん(60)が2014年のノーベル平和賞の受賞者に決まった。マララさんのことは、このブログでも取り上げて…

1279 hana物語(20) 白露の季節

はな、ありがとう。 はなが来てくれたおかげで 私たちの世界が広がって 豊かな毎日になったよ。 一緒にお散歩することで 花の香りや季節の変化を感じたり。 人間以外の動物がかわいいと 思えるようにもなった。 はなには感謝することばかりです。 また会おう…

1254 ペットとともに暮らす時代 「犬」論議に思う

大阪府泉佐野市が犬の糞の放置対策のため導入を検討していた「犬税」について、断念する方向だというニュースを見た。こうした苦肉の策を考えたのは、犬の糞害が相当ひどいということなのだろう。私の散歩する道でも相変わらず糞が放置されているのを見かけ…

1251 イルカに救われた人生 時の人になった北海道の笹森さん

北海道でクジラウオッチングを続けている笹森琴絵さんが「日本クジライルカウオッチング協議会」の初代会長になり、朝日新聞の時の人ともいうべき「ひと」(7月16日付)欄に紹介された。昨年6月、室蘭市で笹森さんにお会いして話を聞いたことがあるが、…

1250 マレーシア航空機撃墜で「藪の中」を考える 現実の機微は……

「藪の中」という言葉がある。広辞苑には「関係者の言うことが食い違っていて、真相が分からないこと」とある。芥川龍之介の短編小説『藪の中』が、この語源といわれる。ウクライナで起きたマレーシア航空機撃墜事件でも、ウクライナ対親露派・ロシアの言い…

1249 若きエースの肱の故障 田中投手は「勤続疲労」なのか

大リーグ・ヤンキースの田中将大投手が、肘のけがで当分戦列を離れることになったというニュースは衝撃的だった。野球の投手にとって肘や肩の故障は致命的なことが少なくない。それだけに野球というスポーツで肘と肩には負担がかかっているといえるだろう。…

1248 歴史・時間の空間に学んだのか 第1次世界大戦勃発100周年

あまり報道されていないが、ことしは第1次世界大戦勃発から100周年になる。さらに第2次大戦が終わって来年で70年になる。これだけの時間が経たのだから、世界も日本も落ち着いたかと思うのだが、そうはいかない。歴史的、時間的な空間が人類の成長に…

1241 続・どこへ行く微笑みの国 祖国を憂いる留学生

タイ・チェンマイに住む友人からメールが届いた。日本に留学している知人とタイの情勢についてメールを交わしたという。その内容を2人に迷惑が掛からないよう手直しし、紹介したい。 友人によると、日本に留学している人はAさんと言い、両親が公務員という…

1240 どこに行く微笑みの国 タイ・だれが賢いのか

タクシン派(赤シャツ)と反タクシン派(黄シャツ)が対立して混乱が続いているタイで、国軍がクーデターを起こし、プラユット陸軍司令官が首相代行になることを宣言し、インラック前首相らタクシン(元首相でインラック氏の兄、国外で亡命生活中)派の人々の…

1209 現代の状況を見通していた?ゲーテ 賢明に身を保つこととは

「人はいつも考えているものだよ」とゲーテは笑いながらいった。「利口になるには年をとらねばいけないねとね。だが、実のところ、人は年をとると、以前のように賢明に身を保つことは難しくなってくる」―。これはドイツの詩人で作家のヨハン・ペーター・エッ…

1207 最後に輝きが ソチ五輪閉幕・歴史に残る羽生、葛西、浅田3選手

ソチ五輪が閉幕する。ソチと日本の時差は5時間だが、現地時間午後10時に決勝が始まる競技もあり、多くの人が寝不足になったのではないか。欧米のテレビのゴールデンタイムに合わせるため遅い時間に競技のスタートを組んだというから、五輪の商業主義が進…

1205 もう一人のレジェンド いまも現役・長野五輪のテストジャンパー

ソチ五輪の男子ジャンプ、個人ラージヒルで41歳の葛西紀明選手が銀メダルに輝いた。この年齢でスキーの第一線を続け、しかも世界のトップの位置を占めているのは驚異としか言いようがない。だれが名付けたのかは知らないが「レジェンド=伝説」という言葉…

1204 氷上に映えた羽生の凛々しさ 仙台人の気質とは

ソチ五輪の男子フィギュアで金メダルを取った羽生結弦は仙台市泉区の出身だ。プロ野球で活躍し、1月に野球殿堂入りを果たした佐々木主浩(かずひろ)も同じ泉区の生まれで、高校(東北高校)は羽生の大先輩にあたる。羽生が生まれる以前のことになるが、私…

1203 相次ぐ人気車種のリコール ソチ五輪の陰で

ソチ五輪のニュースが大きく扱われている中で、11日と13日の新聞に日本の代表的自動車メーカーであるホンダとトヨタの人気車種、ハイブリット・フィット(ホンダ)、プリウス(トヨタ)のリコールの記事が載っている。対象の車はフィットが8万1000…

1200 真贋入り混じった現代社会 別人が作曲した希望のシンフォニー

芸術作品の真贋問題でよく知られているのは古陶器の永仁の壺事件(1960年)だ。鎌倉時代の古瀬戸の傑作として国の重要文化財に指定された永仁二年の銘があった瓶子(へいし・壺の一種)が、実は陶芸家加藤唐九郎の現代作であることが発覚し、大騒動にな…