小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

2062 「よく分からないから不気味」コロナ感染急減の背景は 

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「なぜ、コロナ感染者がこんなに急に減ったのだろうね。よく分からないから不気味なの」。小学校高学年の家族が「登校中、低学年を送ってきた大人がこんなことを話しているのが聞こえたよ」と教えてくれた。今夏、あれほど猛威を振るったコロナ禍。一時は1日の感染者が2万人を超えた第5波が、このところ感染者数は急減している。だれしもがその理由を知りたいと思う。1世紀前、世界的に猛威を振るったスペイン風邪は、いつの間にか流行が収まった。コロナも同じ道をたどればいいのだが……。

 政府分科会の尾身茂会長は、緊急事態宣言と蔓延防止特別措置の前面解除が決まった先月28日の記者会見で、感染者急減の理由として①連休やお盆休みといった感染拡大につながる要素が集中する時期が過ぎた②医療が危機的状況にあることが広まり、国民の間で危機感が共有された③感染が拡大しやすい夜間の繁華街の人出が減少した④ワクチンの接種が進み、若い世代の感染も減少した⑤気温や雨など天候の影響があったのではないか―と、5つの項目を挙げて説明した。

 これらの複数の要因が重なり、感染減につながったことは間違いないだろうが、急速な減少の理由は現段階では明確に説明できないというのが実情ではないか。公表された感染者数が実態を反映しているのかどうか分からないとの研究者の声もあり、減少傾向にあるとしても、まだまだ油断はできない。ワクチン接種の拡大、感染者数の増加が集団免疫獲得につながっているのではないかという見方もある一方で、これがそのまま収束に向かうのかどうか、判断は困難なようだ。いずれにしろマスクの着用、帰宅後の手洗いは続ける必要があるだろう。

 ワクチン接種が進んでいないインドは、半年前は爆発的流行で危機的状況が続いた。しかし、このところ減少傾向をたどり、都市部では抗体を持つこと、いわゆる免疫獲得者の増加が背景にあるという指摘もある。そのほかインドが人口構成で若い世代が多いことが感染減につながっているとの見方もあるそうだが、よく分からない。日本もインドも感染者が減っている背景には複合的要因が作用しているといえるだろう。素人的には集団免疫に加え、ウイルスの毒性が弱まりつつある(根拠はなく、あくまでも希望的観測です)のかもしれないと、考えたりする。軽症や無症状の人の多くは検査を受けず、感染に気付かないままの可能性もある。

 13日の発表によると、全国では731人、最も多い大阪で125人、東京72人、埼玉51人、神奈川50人、兵庫39人、愛知40人、千葉36人、沖縄32人などと8月とは雲泥の差になっている。いい傾向に違いない。なぜこうした状況になっているのだろう。コロナ禍は5波で収束するのだろうか。コロナ禍の収束は、21世紀に生きている誰しもが願う、最大の関心事なのではないか。冒頭の「不気味」という発言には感染の揺り戻し、ウイルスのこれまで以上の猛毒化、これから普通の生活に戻ることができるかどうかなど、さまざまな恐れや疑問がある。それに対する明確な答えはない。しかし、私は恐れよりも希望を持つ方が精神的にも絶対いいと思うのだ。コロナ感染者の急減を不気味と思うか、あるいは人類がコロナ禍を克服する予兆ととらえるか。あなたはどう思いますか?

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