小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1299 hana物語(40)最終回 つぶやき18

「子宮の緊急手術 hanaのつぶやき」 ことしも残すところあと5日です。そんな暮れの夜、「お父」は安倍内閣誕生のニュースにずうっと見入っていました。そして、「お父」は「日本はいい方向へ変わることができるのかなあ」とつぶやいていました。 私は、…

1298 hana物語(39) つぶやき17

「お父」の愚痴を聞く hanaのつぶやき」きょうは、12月にしては久しぶりに暖かい一日でした。居間の窓際で昼寝をしていると、やわらかい日差しが私の体を包んでくれるようで、気持ちのいい時間を送ることができました。私の横のソファーでは、この冬2…

1297 hana物語(38) つぶやき16

「ついに絵のモデルに hanaのつぶやき」 「一芸に秀でる者は多芸に通ずということわざがある。ある分野を極めた人は他の分野でも優れた才能を発揮することができるという意味だよ」。 旅行先から、大きな荷物を持って帰ってきた「お父」が、その荷物をほ…

1296 hana物語(37) つぶやき15

「楽しいことや悲しいこと hanaのつぶやき」 私は、この夏で9歳になったハナです。もう9回の夏を過ごしてしまいました。それにしてもことしはいろいろなことがありました。楽しいこと、つらいこと、悲しいことが重なりました。長い間一緒にいて、あん…

1295 hana物語(36) つぶやき14

「老犬でも想像妊娠 私の日記から」 人間の世界では「想像妊娠」という言葉がある。実際には妊娠していないのに、妊娠したのと同じような兆候が現れる現象だ。それが犬の場合にも発生することがあることを、わが家のhanaが証明した。8歳半の老犬の範疇…

1294 hana物語(35) つぶやき13

「いたずらをやりました hanaのつぶやき」 ことしもきょうで終わり、2011年が近づく足音が聞こえてくるようです。私は8歳半になりました。夕方の散歩のとき、だれもいない広場で「お父」がリードをはずしてくれたので、思い切り走ってみました。近…

1293 hana物語(34) つぶやき12

「ドライブ中の出来事 hanaのつぶやき」 私は小さいころから車に乗るのが大好きでした。これまでは夏でも車に乗せてもらうのが普通でしたが、暑くてたまらないことしの夏は、家族はあまり車に乗せてくれません。 だから、みんなが出かけるときには、大騒…

1292 hana物語(33) つぶやき11

「いい加減な飼い主のこと hanaのつぶやき」2月もあと1週間で終わりです。人間には寒い季節でしょうが、私のような犬には、夏に比べたらすごしやすい方です。きょうは、私の家で一番いい加減な「お父」の話をします。きょうの出来事です。 夜、「お父…

1291 hana物語(32) つぶやき10

「犬の事故の話 私の日記から(第1章と重複しますが、当時の心境はこんな感じでした)」 わが家の犬が爪楊枝を飲み込んで大騒ぎをしたことは、hanaの独り言の通りだ。実は、こうした犬にまつわる「事故」はそう珍しいことではないようだ。わが家の話を…

1290 hana物語(31) つぶやき9

「飼い主の愛情が一番のごちそう hanaのつぶやき」 私の主治医は、おじいちゃん先生です。ふだんは苦虫をかみつぶしたような、愛想のない顔をしています。私はつい最近7歳になりました。優しい家族の家に飼われていますが、夏の暑さには参ってしまい、…

1289 hana物語(30) つぶやき8

「連休のわが家は hanaのつぶやき」 世間ではゴールデンウイークという連続した休みが続いています。ふだん家にいない「お父」がこのところ、毎日私の相手をしてくれます。朝だけでなく夕方の散歩も付き合ってくれますが、夕方はやや苦痛です。 ママは、…

1288 hana物語(29) つぶやき7

「ああ!いい季節だ hanaのつぶやき(hana6歳)」 12月になって、私の体調はすこぶる(こんな表現は古いでしょうか)順調なのです。暑い夏に比べたら、いまは極楽です。私が一番多く時間を送っているのは居間なのですが、この一角にあるストーブ…

1287 hana物語(28) つぶやき6

「この季節は散歩もいや 私の日記から」 このところ、hanaは散歩を嫌がる。朝も夕方も散歩に連れ出そうとすると、横になって寝たふりをするのである。この暑さに参り、エアコンの効いた部屋の方が楽だと、動物的勘が働くのだろうか。 仕方なく、リードを…

1286 hana物語(27) つぶやき5

「車は最高 hanaのつぶやき」 人間の世界ではゴールデンウイークという休みの連続する日々が終わりました。この間、いつもならママと昼の時間を送っている私ですが、「お父」やお姉さんたちが家にいることが多く、私にとっては休日ではありませんでした…

1285 hana物語(26) つぶやき4

「私じゃないよ hanaのつぶやき」 私にとって、迷惑なことがありました。そのためについ、「お父」とママに文句を言ってしまいました。つい先日の夜のことです。リビングの一角にあるゴミ箱のゴミがあふれ、近くに少し散らばっていました。 隣の和室で何…

1284 hana物語(25) つぶやき3

「寂しさのあまり hanaのつぶやき」 このところ、昼間私はいつも孤独です。この家で一番私の面倒をみてくれるママの姿が見えないからです。一軒家で留守番をするのは、ママが習い事に出かける週1回だけでした。それなのに、今週はママの姿はずうっと見…

1283 hana物語(24) つぶやき2

「雨の散歩はいや」 このところ、秋雨前線の影響で雨の日が多く、散歩をする人や犬の姿は少ない。けさも6時に起き外を見たら、雨が降っている。散歩はどうするかと思っていたら、家のhanaが起きてきて私に擦り寄り、しきりに甘える。 これは散歩をねだ…

1282 hana物語(23) 第2章 つぶやき1

人はなぜペットを飼うのだろうか。さまざまな事情があるだろうが、私の家族の場合は、思わぬ形でやってきたhanaという珍客を私と娘が大賛成、妻は戸惑いの気持ちで迎え入れた。 ところが、戸惑いつつ毎日hanaの世話をするようになった妻は、いつの間…

1281 hana物語(22) 月を見る夜

2013年9月19日は旧暦8月15日の満月で、中秋の名月の日でもあった。 15夜とも呼び、昔から月がきれいに見える季節である。この夜に月が雲に隠れて見えないことを「無月」、雨が降ることを「雨月」というそうだが、幸い、数日にわたって好天が続き…

1280 hana物語(21) 別れの日

2013年9月15日は、台風18号が接近してきた影響で朝から強い雨が降っていた。だが、昼近くから晴れ間がのぞいた。この日、hanaの49日には少し早いが、床の間に飾っておいた遺骨を庭に埋めてやることにした。その場所は、前から決めていたよう…

1279 hana物語(20) 白露の季節

はな、ありがとう。 はなが来てくれたおかげで 私たちの世界が広がって 豊かな毎日になったよ。 一緒にお散歩することで 花の香りや季節の変化を感じたり。 人間以外の動物がかわいいと 思えるようにもなった。 はなには感謝することばかりです。 また会おう…

1278 hana物語(19) 輪廻転生~いつの日か

「輪廻転生」。霊魂がこの世に何回も生まれ変わってくるという意味で、多くの宗教でこの考え方が存在するという。私は突き詰めて考えたことはなく、信じてもいないのだが、なぜかhanaが生きている間から「この子は今度生まれ変わるとしたら私たちの子ど…

1277 hana物語(18) 月命日に写真集が完成

hanaがこの世を去って2013年8月30日で1カ月が過ぎ、「月命日」を迎えた。仏教用語では「祥月命日」という、一周忌以降の故人の亡くなった月日(命日)と同じ月日のことを指す言葉もあり、ややこしいが、いずれにしても時間の過ぎるのは早く、あ…

1276 hana物語(17) たまには私だって

犬を主人公にした小説で一番心に残っているのは、ジャック・ロンドンの「野性の呼び声」だ。アメリカ、カリフォルニアの判事の家でのんびり暮らしていた大型犬バックが、庭師に盗まれてゴールドラッシュに沸くアメリカとカナダ国境へと売られ、過酷な犬ゾリ…

1275 hana物語(16) 問題行動のわけは

hanaの散歩コースだった調整池周辺の遊歩道は、早朝だとだれにも出会わないときも少なくなかった。排泄が終わり、それを拾ってからリードを外して首輪だけにしてやると、hanaは喜んで走り出す。いい運動になるのだが、ちょっと目を離すと遊歩道から…

1274 hana物語(15) 金木犀とともに

私がhanaの骨を庭の一隅に埋めてやろうと思った理由は、家族の「近くに置きたい」という言葉だけではない。私のブログにリンクしている「消えがてのうた part2」のaostaさんの「ボンボンがいた日々」(2012年8月31日)という、絶唱とも…

1273 hana物語(14) 誕生日が過ぎて

hanaは2002年7月1日の生まれで、2013年夏11歳になった。それから30日間でこの世を去ったが、毎年祝った誕生日のことが忘れることができない。それはユーモラスであり、hanaにとっては、ごちそうにありつける記念日でもあったはずだ。…

1272 hana物語(13) 爪楊枝事件

hanaは、犬族の一員として旺盛な食欲を誇っていた。元気なころは朝夕の餌だけでは足りないのか、私たち家族が食べている人間食まで欲しがった。動物病院の獣医さんに言わせると、犬にはドッグフード以外は不要ということだが、よだれを流さんばかりのh…

1270 hana物語(11) 私は末っ子

hanaは小さいころからわが家にしばしば遊びにやってきていたので、3歳過ぎてからわが家に移り住んでもすぐに慣れてしまった。当時、わが家は私と妻、2人の娘の4人暮らしで、hanaは3番目の娘、すなわち末っ子のような存在になった。 外で飼うこと…

1269 hana物語(10) 一度だけの失敗

この文章を書いている私の部屋では、CDから静かな曲が流れている。ヨーゼフ・ハイドンの交響曲44番≪悲しみ≫(哀悼)だ。ハイドン自身が気に入っていた曲で、葬式には演奏してほしいと希望し、1809年にベルリンで行われた追悼際では第3楽章・アダー…