小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1959 生存競争と政治家「保身」に対する寅さんの声

2 (1).jpg
 2020年も残すところ6日。コロナ禍に揺れる世界。ことしも政治家の危うい言動が目に付いた。そのうち3人の姿から「保身」という言葉が浮かぶ。ユニークな意味・解釈で知られる「新明解国語辞典 第7版」(三省堂)には「[生存競争から脱落しないように]自分の地位・名声などを守ること」と出ている。そうか、政治の世界も生存競争なのだ。だから日本の安倍前首相、トランプ米大統領プーチンロシア大統領は生き残りに必死なのだろう。(カッコ内は柴又の寅さんの寸評です)
 安倍氏は24日、後援会が「桜を見る会」の前日に開いた夕食会の費用を、安倍氏側が補填していた問題で公設第1秘書が政治資金規正法違反で略式起訴されたあと、釈明の記者会見をした。自身は不起訴になったとはいえ、国会で118回にわたって事実と異なる答弁(嘘を言っていた)をしていたことを陳謝した。しかし、議員辞職自民党からの離党は否定した。
 この会見で安倍氏は、言葉に詰まると、口癖の「いわば」(たとえて言うならば)「まさに」(間違いなく。たしかに。まさしく)「いわゆる」(世間で言われている。俗に言う)を繰り返して使っていた。これらは話を分かりやすくするために使われる言葉だが、この人の場合は理屈にならないことを、いかにも道理にかなったように思わせるために使っているのではないか。
 そして「(秘書が勝手に補填し、政治資金収支報告書に記載しなかったことを)「私は知らなかった」秘書が真実を話してくれればこうした事態にはならなかった」という話に、首をひねった人も多いのではないか。
 
(寅さんの声=おいおい、嘘はよくないよ。わたしは頭は悪いが嘘はついたことはない。前のソーリダイジン……。どんな字を書くのかなぁ。偉い人なんだろうね。でもやっていることは恥ずかしいね。バカなわたしでも、人に責任を押し付けるなんてことはしないね。お天道様はお見通しだよ)
2 (2).jpg
 
4 (1).jpg
 
 ロシアのプーチン大統領。7月の国民投票で2036年までプーチン氏の大統領続投が可能になる憲法改正が成立したのに続き、先日、大統領退任後も生涯刑事訴追を免れる法案(大統領経験者の免責特権を拡大する法案)に署名した。独裁化が着々進行中だ。プーチン氏は2008年、2期8年やっていた大統領をメドベージェフ氏に譲り、自身はメドベージェフ氏の後釜の首相になり、2人乗りの自転車や2頭立ての馬車を指す「タンデム」をもじってタンデム体制といわれた。
 ところが、メドベージェフ氏の任期が2012年に切れると、プーチン氏は大統領選に再び出て当選、メドベージェフ氏を首相にする変形したタンデム体制が再現した。プーチン氏は大統領の椅子に累計で16年という長期間座っている。大統領経験者の免責特権を拡大する法案に署名したのは、自身の引退に向けた準備ではないかという説もあるが、よく分からない。
 
(寅さんの声=人の上に立つということは、難しいそうですねぇ。御前様《柴又、帝釈天の住職》に聞きましたら、いろいろ厄介なことがあるようだと話してくれましたね。でも、そんなに長く人の上に立っているのですから、何かいいことがあるだろうなぁ。あなたは柔道をやると聞きますが、寝技が得意なんでしょうか)
6 (1).jpg
 
6 (2).jpg
 
2020.12.25夕焼け.jpg
 
 アメリカのトランプ大統領。大統領任期が1カ月を切ったにもかかわらず、大統領選の敗北を認めず、過激な行動を続けている。国防予算の枠組みを決める法案に拒否権を行使したり、有罪判決を受けた元側近らに恩赦を与えたりと、やりたい放題だ。そればかりか、大統領選を覆す手段として「戒厳令」を使う、などという物騒なことを言い出している周辺もいるという。
 これは過激というよりも、狂気といっていい。コロナ対策一つを見ても、トランプ氏には常識という言葉は通じない。そんな行動を取るトランプ氏に対し、バイデン次期大統領に迫る有権者の支持があったことをどう考えるべきか。日本に住んでいる私は戸惑うばかりで、いろいろな情報を読んでもよく分からない。
 
(寅さんの声=わたしのような風来坊は、風の吹くまま気の向くまま生きておりますが、あなたは思う存分好きなことをやったのでしょうから、もういいのではないでしょうか。御前様なら、こう言うでしょう。人は出処進退を誤ってはいけません、と。わたしもそう思います。→ここで、通りかかった甥の満男《寅の妹、さくらのひとり息子》が付け加えた。御前様はこんなことを紙に書いて、僕に渡してくれたよ。「狂気は個人にあっては稀有なことである。しかし、集団・党派、民族・時代にあっては通例である=ニーチェ」。→再び寅さん=わたしには難しくてよく分かりませんが、真っ当に生きたいものですねぇ)
 
 写真は、今朝自宅周辺で見られた美しい朝焼け。最後の一枚は夕焼けの風景です。