小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

823 山桑の実を摘む朝 原発風評被害の福島を思う

ことしも桑の実が熟れる季節になった。犬の散歩コースに、自然に生えた山桑の木があり、たわわに実がなっている。家族と一緒に早起きして、この実を摘んだ。家族はことしもジャムにすると張り切っている。 この山桑は斜面に生えているので、取るときには足元…

823 山桑の実を摘む朝 原発風評被害の福島を思う

ことしも桑の実が熟れる季節になった。犬の散歩コースに、自然に生えた山桑の木があり、たわわに実がなっている。家族と一緒に早起きして、この実を摘んだ。家族はことしもジャムにすると張り切っている。 この山桑は斜面に生えているので、取るときには足元…

822 「心に刻む応援のメッセージ」 福島・川俣にて

福島市の市街地北部にある信夫山(標高275メートル)から、市内を一望した。ぐるりと山に囲まれた盆地の街であることがよく分かる。ふだんなら、静かな街の風景を楽しんだだろう。だが、案内してくれた知人の「ほら、あそこの中学校の校庭で表土除去作業…

822 「心に刻む応援のメッセージ」 福島・川俣にて

福島市の市街地北部にある信夫山(標高275メートル)から、市内を一望した。ぐるりと山に囲まれた盆地の街であることがよく分かる。ふだんなら、静かな街の風景を楽しんだだろう。だが、案内してくれた知人の「ほら、あそこの中学校の校庭で表土除去作業…

821 危機的状況で人間の本性が 原発事故をめぐる言動を注視

東京電力福島第1原発1号機の海水注入が一時中断したといわれた問題の国会での質疑を「不毛の議論」だと、先日のブログに書いた。一刻も早く暴走する原発を制御し、避難している多くの住民に、家に帰ることができるという「希望」を与えることの方が今は優…

821 危機的状況で人間の本性が 原発事故をめぐる言動を注視

東京電力福島第1原発1号機の海水注入が一時中断したといわれた問題の国会での質疑を「不毛の議論」だと、先日のブログに書いた。一刻も早く暴走する原発を制御し、避難している多くの住民に、家に帰ることができるという「希望」を与えることの方が今は優…

820 美しい故郷を思う歌 吉丸一昌の詞の心

ソプラノ歌手の鮫島有美子が歌った「四季」というCDがある。春夏秋冬それぞれ1枚に季節の歌20曲ずつが入っている。春のディスクには「故郷を離るる歌」というドイツ民謡があり、格調高い吉丸一昌の詞が付いている。それは、原発事故で家を離れ避難所暮…

820 美しい故郷を思う歌 吉丸一昌の詞の心

ソプラノ歌手の鮫島有美子が歌った「四季」というCDがある。春夏秋冬それぞれ1枚に季節の歌20曲ずつが入っている。春のディスクには「故郷を離るる歌」というドイツ民謡があり、格調高い吉丸一昌の詞が付いている。それは「園の小百合」で始まり、「さ…

819 救世主がいない政界 落第続きの菅氏の1年

菅直人氏が94代の総理大臣に就任したのは2010年6月8日だから、あと2週間で就任1年になる。時間の流れがいかに速いかを実感するとともに、彼がこの1年、一体何をやったのかと考える。 就任直後の唐突な消費税増税発言が影響して、7月の参院選は民…

819 救世主がいない政界 落第続きの菅氏の1年

菅直人氏が94代の総理大臣に就任したのは2010年6月8日だから、あと2週間で就任1年になる。時間の流れがいかに速いかを実感するとともに、彼がこの1年、一体何をやったのかと考える。 就任直後の唐突な消費税増税発言が影響して、7月の参院選は民…

818 美しい言葉をつかまえたい 想像力を失うと・・・

推理作家・笹沢左保の父親で詩人の笹沢美明(1898―1984)は「言葉」という詩を残した。長い詩なので、冒頭から一部を紹介する。 わたしは ときどき言葉をさがす、なくした 品物を さがすときのように、 わたしの頭の戸棚は混雑し 積まれた書物の山は…

818 美しい言葉をつかまえたい 想像力を失うと・・・

推理作家・笹沢左保の父親で詩人の笹沢美明(1898―1984)は「言葉」という詩を残した。長い詩なので、冒頭から一部を紹介する。 わたしは ときどき言葉をさがす、なくした 品物を さがすときのように、 わたしの頭の戸棚は混雑し 積まれた書物の山は…

817 花の季節を歩く 街路樹に寄せて

過日、近所の遊歩道を犬と散歩していたら、いきなり「クルミの花って、こんなふうに咲くのですね」と声を掛けられた。近くの広場で毎朝近所の人たちがラジオ体操をやっている。その帰りらしい一人の女性だった。この辺にはクルミはないと思いながら、女性が…

817 花の季節を歩く 街路樹に寄せて

過日、近所の遊歩道を犬と散歩していたら、いきなり「クルミの花って、こんなふうに咲くのですね」と声を掛けられた。近くの広場で毎朝近所の人たちがラジオ体操をやっている。その帰りらしい一人の女性だった。この辺にはクルミはないと思いながら、女性が…

816 若者は虹をかけられるか  「いつかX橋で」を読む

東日本大震災の被災地である仙台市が米軍機の空襲を受けたのは、太平洋戦争末期の1945年7月10日未明のことである。10万人以上の死者・行方不明者が出た東京大空襲からちょうど4カ月目だった。仙台空襲では約1万2千戸が被災し、2755人が死亡…

816 若者は虹をかけられるか  「いつかX橋で」を読む

東日本大震災の被災地である仙台市が米軍機の空襲を受けたのは、太平洋戦争末期の1945年7月10日未明のことである。10万人以上の死者・行方不明者が出た東京大空襲からちょうど4カ月目だった。仙台空襲では約1万2千戸が被災し、2755人が死亡…

815 ひょうたん島はどこへ行く 大震災の悲しみを乗せて

一時代の子どもならだれでも知っていた人形劇「ひょっこりひょうたん島」(NHKで1964年―69年に放映)の主題歌「波を ちゃぷちゃぷ ちゃぷ ちゃぷ かきわけて・・・」を作曲した宇野誠一郎さんが、4月26日に亡くなった。人形劇の原作者の一人で、こ…

815 ひょうたん島はどこへ行く 大震災の悲しみを乗せて

一時代の子どもならだれでも知っていた人形劇「ひょっこりひょうたん島」(NHKで1964年―69年に放映)の主題歌「波を ちゃぷちゃぷ ちゃぷ ちゃぷ かきわけて・・・」を作曲した宇野誠一郎さんが、4月26日に亡くなった。 人形劇の原作者の一人で、こ…

814 福島原発・3つの重い言葉 「闇の中の一筋の光」

知り合いの小学校の校長先生からメールが届いた。東京電力福島第1原子力発電所の1号機が地震直後に炉心溶融(メルトダウン)していたことが判明し、高濃度の放射性物質が検出され「計画的避難区域」に指定された飯舘村と川俣町山木屋地区では15日から住…

814 福島原発・3つの重い言葉 「闇の中の一筋の光」

知り合いの小学校の校長先生からメールが届いた。東京電力福島第1原子力発電所の1号機が地震直後に炉心溶融(メルトダウン)していたことが判明し、高濃度の放射性物質が検出され「計画的避難区域」に指定された飯舘村と川俣町山木屋地区では15日から住…

813 世界遺産へ近づいた平泉 ≪紅葉燃ゆ 旅立つあさ≫を想う

国際記念物遺跡会議(ICOMOS、イコモス)が平泉(文化遺産)と小笠原(自然遺産)を「世界遺産」に登録するよう勧告し、6月には「人類が共有すべき顕著な普遍的価値を持つ遺跡、景観、自然」の仲間入りをする。 平泉は東日本大震災被災地の岩手県にあり、世…

813 世界遺産へ近づいた平泉 ≪紅葉燃ゆ 旅立つあさ≫を想う

国際記念物遺跡会議(ICOMOS、イコモス)が平泉(文化遺産)と小笠原(自然遺産)を「世界遺産」に登録するよう勧告し、6月には「人類が共有すべき顕著な普遍的価値を持つ遺跡、景観、自然」の仲間入りをする。 平泉は東日本大震災被災地の岩手県にあり、世…

812 福島原発大事故の悲劇を予言 広瀬隆の「原子炉時限爆弾」

「原発の大事故は起こり得る。大事故が起これば日本はほぼ壊滅する。その可能性が最も高く、こわい原因として大地震が考えられる」―。昨2010年8月に出版された「原子炉時限爆弾」という本で、広瀬隆は、今回の東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発事…

812 福島原発大事故の悲劇を予言 広瀬隆の「原子炉時限爆弾」

「原発の大事故は起こり得る。大事故が起これば日本はほぼ壊滅する。その可能性が最も高く、こわい原因として大地震が考えられる」―。昨2010年8月に出版された「原子炉時限爆弾」という本で、広瀬隆は、今回の東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発事…

811 風評被害を助長させないで 福島・宮城にて

連休後半に福島と宮城に行ってきた。東日本大震災被災地のボランティア活動を続ける人たちに出会った。同じ東北なのに福島は暖かく、仙台周辺は肌寒かった。菅首相が中部電力に対し、浜岡原発の全面停運転中止を要請したと発表したのはこの最中だった。福島…

811 風評被害を助長させないで 福島・宮城にて

連休後半に福島と宮城に行ってきた。東日本大震災被災地のボランティア活動を続ける人たちに出会った。同じ東北なのに福島は暖かく、仙台周辺は肌寒かった。菅首相が中部電力に対し、浜岡原発の全面停運転中止を要請したと発表したのはこの最中だった。福島…

810 何が真実なのか  収束しない原発事故をめぐって

収束の見通しが立たない東電福島第一原発事故に絡んで、朝日新聞の朝刊に2人のインタビュー記事が掲載されていた。 一人は元東電副社長、元参院議員で現在東電顧問の加納時男氏、もう一人は自民党の現職衆院議員、河野太郎氏だ。原発維持(加納氏)と原発廃…

810 何が真実なのか  収束しない原発事故をめぐって

収束の見通しが立たない東電福島第一原発事故に絡んで、朝日新聞の朝刊に2人のインタビュー記事が掲載されていた。 一人は元東電副社長、元参院議員で現在東電顧問の加納時男氏、もう一人は自民党の現職衆院議員、河野太郎氏だ。原発維持(加納氏)と原発廃…