小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

1414 一番大切なものは希望 『生きて帰ってきた男』『世界の果ての子どもたち』を読む

「希望だ。それがあれば、人間は生きていける」 最近読んだ本のうち小熊英二『生きて帰ってきた男 ―ある日本兵の戦争と戦後』(岩波新書)のラストにこんな言葉が出てくる。一方、中脇初枝『世界の果ての子どもたち』(講談社)は、3人の少女が分け合って食…

1414 一番大切なものは希望 『生きて帰ってきた男』『世界の果ての子どもたち』を読む

「希望だ。それがあれば、人間は生きていける」 最近読んだ本のうち小熊英二『生きて帰ってきた男 ―ある日本兵の戦争と戦後』(岩波新書)のラストにこんな言葉が出てくる。 一方、中脇初枝『世界の果ての子どもたち』(講談社)は、3人の少女が分け合って…

1413 棚田の夜景 鴨川・千枚田を訪ねる

千葉県鴨川市の高台にある大山千枚田という棚田で開催された「棚田の夜祭り」を訪ねた。傾斜地にある水田のことを棚田といい、日本だけでなく、世界各地に存在する。フィリピン・ルソン島の「コルディリェーラの棚田」(世界文化遺産)やベトナム北部の「ホ…

1413 棚田の夜景 鴨川・千枚田を訪ねる

千葉県鴨川市の高台にある大山千枚田という棚田で開催された「棚田の夜祭り」を訪ねた。傾斜地にある水田のことを棚田といい、日本だけでなく、世界各地に存在する。フィリピン・ルソン島の「コルディリェーラの棚田」(世界文化遺産)やベトナム北部の「ホ…

1412 湖とりまく山の紅葉 日光にて

「湖をとりまく山の紅葉かな」 俳人の正岡子規が日光を訪れたのは明治25年10月30日のことだ。前日、宇都宮に入った子規はこの日、日光に足を伸ばし、華厳の滝や中禅寺湖を見て、翌31日に東照宮に参拝している。子規はこの旅で『日光の紅葉』という俳句入りの…

1412 湖とりまく山の紅葉 日光にて

湖をとりまく山の紅葉かな 俳人の正岡子規が日光を訪れたのは明治25年10月30日のことだ。前日、宇都宮に入った子規はこの日、日光に足を伸ばし、華厳の滝や中禅寺湖を見て、翌31日に東照宮に参拝している。子規はこの旅で『日光の紅葉』という俳句入りの短い…

1411 会津の歴史が詰まる古刹 国宝を持つ勝常寺

「山は暮れて野は黄昏の薄哉」(与謝蕪村) 蕪村は江戸時代を代表する俳人で、絵師でもある。先日、未確認の俳句212句が俳句集「夜半亭蕪村句集」に収録されていたというニュースがあり、蕪村の俳句の奥の深さを感じたものだ。秋の気配が漂う会津や日光を…

1411 会津の歴史が詰まる古刹 国宝を持つ勝常寺

「山は暮れて野は黄昏の薄哉」(与謝蕪村) 蕪村は江戸時代を代表する俳人で、絵師でもある。先日、未確認の俳句212句が俳句集「夜半亭蕪村句集」に収録されていたというニュースがあり、蕪村の俳句の奥の深さを感じたものだ。秋の気配が漂う会津や日光を…

1410 優しい「月の山」 届いた出羽の風景

(月山の降臨?現象) 森敦の『月山』(1974年に芥川賞を受賞)は、霊山である出羽三山(月山、湯殿山、羽黒山)の一つ、月山(1984メートル)の麓の小さな寺にある夏に住み着いた男が長い冬を過ごした後、どこかに去っていくという話の名作で、森自…

1410 優しい「月の山」 届いた出羽の風景

(月山の降臨?現象) 森敦の『月山』(1974年に芥川賞を受賞)は、霊山である出羽三山(月山、湯殿山、羽黒山)の一つ、月山(1984メートル)の麓の小さな寺にある夏に住み着いた男が長い冬を過ごした後、どこかに去っていくという話の名作で、森自…

1409 自然界の驚異を知る大村さんの受賞 受け継がれるヒポクラテスの精神

山形の知人から、きのこの季節を知らせる便りが届いた。写真を見ると、里山のこの秋は大豊作のようだ。きのこには人間が食べることができるものと、食べると最悪命を失う毒を持ったものがある。長い歴史を経てその見分けができるようになったのだから、人間…

1409 自然界の驚異を知る大村さんの受賞 受け継がれるヒポクラテスの精神

山形の知人から、きのこの季節を知らせる便りが届いた。写真を見ると、里山のこの秋は大豊作のようだ。きのこには人間が食べることができるものと、食べると最悪命を失う毒を持ったものがある。長い歴史を経てその見分けができるようになったのだから、人間…

1408 ヨンキントとユトリロと 感受性強く知的な芸術家たち

詩人の大岡信は、『瑞穂の国うた』(新潮文庫)というエッセーの中で、秋のしみじみとした感じを象徴するのは酒であり、騒がしいビールの季節が終わり、10月は静かな日本酒の季節だという趣旨のことを書いている。酒がおいしい季節がやってきて、私の部屋…

1408 ヨンキントとユトリロと 感受性強く知的な芸術家たち

詩人の大岡信は、『瑞穂の国うた』(新潮文庫)というエッセーの中で、秋のしみじみとした感じを象徴するのは酒であり、騒がしいビールの季節が終わり、10月は静かな日本酒の季節だという趣旨のことを書いている。 酒がおいしい季節がやってきて、私の部屋…