小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

2035 伝わらない首相のメッセージ コロナついに1万人超

    

 五輪の最中、日本の新型コロナ感染者が29日、1日で1万人を超えた。感染爆発状態だ。これを抑えるにはどうすべきなのか。そのメッセージが伝わらない。政府は何をやっているのだろう。菅首相の虚ろな目を見ていると、国民の不安は増すのではないだろうか。

 負の連鎖という言葉がある。「よくない出来事が連続して起きたり、よくない出来事が悪循環したりする」という意味だ。五輪はトラブル続き、そして、コロナは第5波。変異株はこれまでにない猛威を振るっている。

 たしかにこの難しい時代、だれが国のトップをやってもかじ取りは紆余曲折をたどるだろう。それでも国民に対し、その経過を正直に説明し協力を求めれば、ある程度の納得はしてもらえる。だが、前と今の政権はそんな説明はしていない。こんな時でもテレビ、特にNHKは五輪に特化し生中継を続けている。それは新聞も同様だ。

 昨年から続くコロナ禍。世界の首脳はそれぞれに強いメッセージを発している。それが命の危機と闘う国民を震え立たせるといっていい。しかし、安倍前首相、菅首相の言葉からは、残念だがそれが伝わらないのだ。東北人は言葉が少ないといわれる。私も同じ東北出身だから、それは理解できる。

 だが、言葉は少なくても、懸命に訴えようという姿勢があれば人の思いは伝わる。秋田出身の菅首相も言葉は苦手なのだろうが、そうした姿勢は感じられず、官房長官時代の上から目線、傲慢さだけが目に付く。あるいは、首相自身が茫然自失状態にあるのだろうか。

 連日、これだけの感染増加のニュースに接しながら、仕事以外と思われる人たちが繁華街に出ている。日本人の精神構造が変わってしまったように思えてならない。行政の言うことは信用ならない、大した病気じゃない、みんな出掛けているのだから大丈夫、感染しても死なないし、入院しても費用はただ……などと、高を括る人が多いのではないか。

 それもこれも、政府の説明不足、訴え不足としか言いようがない。専門家の今後のコロナ禍の予測は暗い。それを明るくする材料はあるのだろうか。なぜ、菅首相が緊急記者会見を開かないのか、私には分からない。

 追記 菅首相は、30日の金曜日夜記者会見をした。しかし、メッセージは伝わらなかった。きつい表現をすれば、自身の言葉が全くないのだ。