小径を行く 

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。(筆者=石井克則・遊歩)

季節

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3139 マロニエの下の子どもたち 立秋が過ぎて

(シンプルな知人の絵=ラジオ体操会場がモデル) 「春は名のみの風の寒さよ」という歌い出しの『早春賦』。替え歌にすれば「秋は名のみの今日の暑さよ」となるだろうか。今年の立秋は7日だった。少し涼しい日があったが、猛暑が戻り、巣ごもり状態が続いて…

3123 短い付き合いでも濃密な日々 『老犬トレイ』を聴く

夏の朝、上空に飛行機雲が。その下でラジオ体操。 ラジオ体操の帰り、毎日のように老犬に出会う。高齢になったためか、真っ直ぐ歩くことはできず、よろよろしながら懸命に歩こうとする姿は痛々しい。アメリカのスティーブン・フォスター(1826~1864)が作っ…

3121 涼しさは平等ではない 猛暑時代に読む子規の句

北海道の夏の風景 金持は涼しき家に住みにけり 1898(明治31)年、正岡子規31歳の時の句だ。子規は死病となった脊椎カリエスを既に発症し、根岸の子規庵で闘病生活に入っていた。当時、日本では扇風機は量産されず、貴重品だった。もちろん子規庵に…

3118 暑苦しいクマゼミの季節  風物詩の生演奏

(ただ黙って見ていたい夕焼け) 各地で最高気温が30度を超える猛暑が続いている。そんな中で、騒がしいクマゼミの鳴き声が聞こえている。早い年は6月下旬から聞こえるが、今夏は例年並みか。それにしても、このセミの鳴き声は暑苦しい。これを聞く前に、…

3107 地球の異常で熱波の欧州  政治はどこに行くのか

(ネムノキの向こうに赤いランニングウェアのジョガーがかすかに見える) パリで40度、ニューヨークで42度を記録した、というニュースを見て梅雨明けの日本の猛暑は大丈夫かと、いまから不安になっている。沖縄、奄美を除き梅雨が続いている日本列島は今…

3104 「水辺の乙女」との再会 半夏生に寄せて

(穂状のものが「半夏生」の花) 「はんげしょう」と聞いて、化粧の途中、まだ半分しか化粧していない意味だと思う人がいるかもしれない。あながち間違いではない。漢字では「半夏生」と書く。意味は2つあって、1つは時候のことで昨7月2日が七十二侯の「…

3102 人生を彩るハーモニー 「雨」の詩と歌と

群生したムラサキツメクサ 梅雨の時期を好きだという人はあまりいないだろう。雨は稲をはじめとする農作物にとってとても大事な成長源であることは言うまでもない。ただ、この季節の特徴であるじめじめとして日照時間が少ない日が続くと、気持ちまで落ち込ん…

3101 梅雨の朝の風景 蝸牛・雉・秋茜との出会い

紫陽花も今が旬 自然の風景は四季折々に変化する綺麗な風が吹いた6月も終りに近づいた朝自然界で生きる虫や鳥に出会った蝸牛(カタツムリ)~雉(キジ)~秋茜(アキアカネ)それぞれに自分の道を歩き翔んでいる7月はどんな風が吹くのか暑い風はどんな色た…

3100 梅雨の過ごし方私見 『晴歩雨読』のすすめ

暮らし (晴耕雨読の人?=千葉県市原市の光徳寺にて) 歳時記を見ていたら、6月末から7月初めごろは1年で最も雨が降る時期と出ている。梅雨だから当たり前といえば当たり前だが、こうも雨が多くて太陽が顔を見せてくれない日が多いと、やはり憂鬱になる…

3094 失われつつある人生の武器 図書館から消えた雑誌~夏至の日に

(トウカエデの緑が美しい) 「近頃、本が売れないのは、人生に挑む気合が欠けているからではないかとも思うが、どうだろう。人生という戦場に出ていくからには、読書という武装が欠かせないと信じていたが、いまは違うのだろうか」(『読書の森で寝転んで』…

3080 「6月の花」に寄せて 栗花落(ついり)の季節

輝くような花柘榴の花 どんよりした空よりも晴れ上がった天を見る方が気持ちいいその下で花柘榴の紅色が輝いている特別な理屈はないただ美しいから美しいのだ花柘榴もそうなのだ …………………………………………………………… 以前に佐渡島で買った百合の根北朝鮮に拉致されたこ…

3075 麦秋は好きな季節 ゴッホの絵と美瑛の丘の風景

(麦秋のころの満月=ブルームーンの夜景) 「麦秋」と聞いて、人は何を感じるだろうか。黄金色に染まった広大な麦畑、ゴッホの強い生命力を感じる風景画、風に揺れる重く実った麦の穂……。旧暦七十二侯の「麦秋至(むぎのとき いたる)」のころだ。今、都市…

3070 「尽」を楽しむ 5月の終わりに 

(色が変化しているシモツケの花) 「尽」という言葉「じん」と読む辞書を引く「月の末日」「月末」「みそか」「すべてなくなる」「つきる」「すべて出し尽くす」「ことごとく」俳句の季語にもなっている「二月尽」「三月尽」「四月尽」「九月尽」の4つ昨今…

3066 今年も泰山木の純白の花 「鎮魂の舟」に9000枚の葉

(大きく純白のタイサンボクの花) 庶民の家が立ち並ぶわが家周辺。タイサンボク(泰山木)を庭に植えている家はない。明治維新後に北米から入ったといわれる、広い庭に似合うモクレン科の常緑高木だ。近所の公園や街路樹としてこの木が数本ある。急速に進ん…

3065 想像する夕べの空の色 足を止める快適な季節の風景

アジサイに似た「シモツケ」。栃木県の旧国名「下野」で見つかったことが名前の由来。 夏あさきゆふべの空のいろなりけり 俳人、随筆家の安住敦(1907―1988)の句だ。 今は「はつ夏」(初夏)、四季の中で一番快適に過ごすことができる時期だ。「夕べの空の…

3054 苦い思い出と『野ばら』 ゲーテの青春の歌

白いノバラが咲き始めた散歩コース 私の散歩コースから見える調整池の周囲に、今年もノバラ(ノイバラ)が咲き始めた。白い小さな花が密集しているのを見て、『野ばら』の歌をイメージする人は多いかもしれない。ドイツの文豪ゲーテ(1749―1832)の詩をシュ…

3051 草に寝転び空を 立夏を楽しむ一日

「山と川のある町」の風景(福島県矢祭町) 5日は立夏でこどもの日。天気もよく、外に出てさわやかな5月を満喫した人は多いだろう。こんな日は、ある詩を口ずさむ。沖縄出身の放浪の詩人、山之口獏(1903―63)の「天」という短い詩だ。草の上に寝転びなが…

3046 大槌の山火事とハチドリ 「ひとしずく」の精神とは

大槌町立吉里吉里学園校舎。後方には森が広がる 岩手県大槌町の山火事は、「深刻な局面を脱した」と町が発表、ようやく鎮圧の方向だという。連日、森が燃える映像を見て心を痛めた人は多いはずだ。こんな時こそ雨のありがたさを感じる。まさに「干天の慈雨」…

3044 「若葉」に人は何を想う 定点観測的街路樹との対話

陽光に輝くマロニエの花。秋にはたくさんの実がつくはずだ 昨日の朝、散歩をしながらラジオを聴いていると懐かしいメロディーが流れてきた。イギリスの3兄弟によるボーカルグループ、ビー・ジーズの『若葉のころ』(1969年)。幼いころを思い出している内容…

3041 野の花に詩人の目 夭折の立原道造が愛した草花たち

長く咲き続けるスパニッシュ・ブルーベル(シラー・カンパニュラータ=ツリガネスイセンとも) 萱草(ワスレナグサ=ユウスゲ)風信子(ヒヤシンス)薊(アザミ)さふらん(サフラン) この植物たちは何を意味しているでしょうか。これを見てピンとくる人もい…

3039 ひっそり咲く森の妖精たち キンランとギンラン咲く朝に

キンランの2つの花。付いているのは何だろう キンランとギンランがひっそり咲いている小さな森の妖精のよう旧暦の穀雨は一昨日月曜だった穀物を潤す春の雨これが過ぎると八十八夜がやってくるそして立夏暦はどんどん夏へと移行する

3037 早まる季節の歩み 桐の花と名の知れぬ小草よ

ちらほら咲いた桐の花 桐の花朝日はあつくなりにけり 高屋窓秋 桐の花は夏の季語で、歳時記にも「5月上旬、枝先に大型の円錐花序を直立させ、筒状の紫色の花を多数つける」(角川俳句歳時記)とある。だが、このところの日中の陽気で、私の散歩コースにある…

3031 「アキニレ」との対話 鳥たちの憩いの木

枝が競う合うように伸びるアキニレ 散歩コースに「アキニレ」の木がある。ほかの木に比べ葉が出てくるのが遅く、今ようやく芽吹きの時を迎えている。多くの枝が競う合うように空に伸び、鳥たちの憩いと休み場のように見える。私は「ニレ」と聞くと、どうして…

3030 輝く春の日に 森から聞こえる鳥のうた

春を謳歌するクヌギの花 若葉が萌え花も咲き誇る鳥が飛び交いさえずっている自然界すべてが清らかで生命力がみなぎっている旧暦の清明(せいめい)希望という言葉が似合う季節だ

3026 黄昏時に出会いたい人 絶望より希望を

桜の向こうに夕焼けに照らされたビル群が 一日の中で好きな時間帯は人によって異なるだろう。朝日が出る早朝かもしれないし、夕焼けが出る日没直前かもしれない。「黄昏時」を好んだのは作家で随筆家の吉田絃二郎(1886―1956)だった。以前、古本屋で求めた…

3024 老いたるかしこい者を告発 与謝野寛の歌と若者の死

自然は日々変化する 老いたるは皆かしこかりこの国に身を殺す者すべて若人 与謝野寛(号は鉄幹。1873—1935)の詩集『檞之葉』(かしのは)所収の歌だ。旧海軍の訓練中の事故をめぐって、若人を死に追い込んで生き延びた「老いたる者」を告発して作られたとい…

3023 嘘のない世界は夢物語なのか エイプリルフールと少年

美しい海棠の花 きょう4月1日はエイプリルフール。嘘をついてもいい日だといわれる。その起源は不明だそうだが、日本では「四月馬鹿」などとも呼ばれる。この世の中、あまりにもひどいことが多すぎて、嘘でもいいから、いいことがないかと思うことが少なく…

3022 桜と人の思いと 戦争と平和が同居の時代に

桜の向こうに朝日が昇ってきた 人を見ん桜は酒の肴なり テレビのニュースに流れる各地の桜の映像を見ていると、どこも人であふれている。「花見に行ったはずが、桜はよりいっぱいの人を見ているようだ。人が主役で桜は酒のつまみみたい」という正岡子規の句…

3021 自然を表現するには 日々変化する森の新緑風景

近くに小さな森がある。いつの間にか、裸の樹木から新しい葉が出始め、日ごとにその色が変化している。その風景を見ていて、どう表現したらいいのか考えてしまう。夏目漱石が「精細に描寫が出來て居て、しかも餘韻に富んで居るといふやうな文章はまだ私は見…

3020 桜の季節に聴くアダージェット 消えていく焦燥感

桜前線という言葉は生きているのだろうか日本列島の南から北へと縦断するソメイヨシノの開花東京はすでに満開まだですという声も届いている気候変動は開花の時期も狂わしているそんな桜の下を歩くときなぜか心が痛む