小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

2010-05-01から1ヶ月間の記事一覧

639 どうせなら、夢を求めたい 映画「RAILWAYS」

「夢」という言葉は、3つの意味があると広辞苑にある。「睡眠中に見る幻覚」次に「はかない、頼み難いもののたとえ」、そして「空想的な願望」―である。「将来の夢は」という言葉は3つ目に該当する。 その「夢をかなえる」ことは、現実にはなかなか困難だ…

639 どうせなら、夢を求めたい 映画「RAILWAYS」

「夢」という言葉は、3つの意味があると広辞苑にある。「睡眠中に見る幻覚」次に「はかない、頼み難いもののたとえ」、そして「空想的な願望」―である。「将来の夢は」という言葉は3つ目に該当する。 その「夢をかなえる」ことは、現実にはなかなか困難だ…

638 バラに吹く微風 レンガの庭で

このところの休みは、庭づくりに励んでいる。もともと芝生の庭だったが、山を切り崩して造成した土地に建てた家のため、粘土質の土は水はけが悪く、芝生の伸びはよくない。 歩く場所は芝生がなくなり、土がむき出しになってしまった。そこで、頑張ってこの庭…

638 バラに吹く微風 レンガの庭で

このところの休みは、庭づくりに励んでいる。もともと芝生の庭だったが、山を切り崩して造成した土地に建てた家のため、粘土質の土は水はけが悪く、芝生の伸びはよくない。 歩く場所は芝生がなくなり、土がむき出しになってしまった。 そこで、頑張ってこの…

637 ふしぎな波瀾重畳の生涯 ジョゼフ・フーシェの評伝「ある政治的人間の肖像」

「マキャベリズム」という言葉は、悪く言えば「目的のためには手段を選ばない」に解されるが、「国家が危機に陥った場合は、政治家は国家存続のために、手段を選ぶべきではない」と解釈する意見もあるという。ここでは前者の方を使うことにする。 権謀術数に…

637 ふしぎな波瀾重畳の生涯 ジョゼフ・フーシェの評伝「ある政治的人間の肖像」

「マキャベリズム」という言葉は、悪く言えば「目的のためには手段を選ばない」に解されるが、「国家が危機に陥った場合は、政治家は国家存続のために、手段を選ぶべきではない」と解釈する意見もあるという。ここでは前者の方を使うことにする。 権謀術数に…

636 高齢化社会の現実を投影 映画「春との旅」

仲代達也と徳永えりの「春との旅」という映画を見て、高齢化社会の現実の厳しさを思った。近所でも高齢者の1人暮らしが増えている。この映画は、世界でも類例のない超高齢化社会が進行中の日本の話なのである。 元漁師の祖父・忠男(仲代)は学校給食の仕事…

636 高齢化社会の現実を投影 映画「春との旅」

仲代達也と徳永えりの「春との旅」という映画を見て、高齢化社会の現実の厳しさを思った。近所でも高齢者の1人暮らしが増えている。この映画は、世界でも類例のない超高齢化社会が進行中の日本の話なのである。 元漁師の祖父・忠男(仲代)は学校給食の仕事…

635 村上春樹のだまし方 「1Q84年」の不可解さ

東京新聞の夕刊文化欄に「大波小波」というコラムがある。前身の「都新聞」時代から続く名物コラムといわれ、匿名で鋭い批評を載せている。 先日、このコラムに目を通した私は「村上春樹にだまされた」と思った。意味深な間違い」と題するコラムは、売れに売…

635 村上春樹のだまし方 「1Q84年」の不可解さ

東京新聞の夕刊文化欄に「大波小波」というコラムがある。前身の「都新聞」時代から続く名物コラムといわれ、匿名で鋭い批評を載せている。 先日、このコラムに目を通した私は「村上春樹にだまされた」と思った。 意味深な間違い」と題するコラムは、売れに…

634 満開のニセアカシア 鳥取で自然を思う

日本で言う白い花が咲く「アカシア」は、実は「ニセアカシア」のことである。本来のアカシアは、マメ科であり、「房アカシア」あるいは「銀葉アカシア=ミモザ」ともいい、私の好きな花の一つである。一方、ニセアカシアはハリエンジュ属なのだという。 花の…

634 満開のニセアカシア 鳥取で自然を思う

日本で言う白い花が咲く「アカシア」は、実は「ニセアカシア」のことである。本来のアカシアは、マメ科であり、「房アカシア」あるいは「銀葉アカシア=ミモザ」ともいい、私の好きな花の一つである。一方、ニセアカシアはハリエンジュ属なのだという。 花の…

633 野菜づくりとインドのヨガ聖人と

家の東側に少しだけ空いた土地がある。東側とはいえ隣の住宅があるため、日当たりはあまりよくない。ここに最近、野菜を少し植えてみた。 どの程度育ち、収穫できるかどうか「実験」みたいなものだ。植物は太陽の光を借り、空気中の二酸化炭素と根から吸収し…

633 野菜づくりとインドのヨガ聖人と

家の東側に少しだけ空いた土地がある。東側とはいえ隣の住宅があるため、日当たりはあまりよくない。ここに最近、野菜を少し植えてみた。 どの程度育ち、収穫できるかどうか「実験」みたいなものだ。植物は太陽の光を借り、空気中の二酸化炭素と根から吸収し…

632 人生の選択(2) 北海道・ひまわりの町に移住した知人夫婦

荻原浩の小説「明日の記憶」は、若年性アルツハイマーになった広告代理店勤務の49歳の主人公と、夫を献身的に支える妻の物語だ。 渡辺謙主演で映画にもなり、この病気が社会的にクローズアップされた。周囲にこの病と一時診断され、都会の生活を捨て、北海…

632 人生の選択(2) 北海道・ひまわりの町に移住した知人夫婦

荻原浩の小説「明日の記憶」は、若年性アルツハイマーになった広告代理店勤務の49歳の主人公と、夫を献身的に支える妻の物語だ。 渡辺謙主演で映画にもなり、この病気が社会的にクローズアップされた。周囲にこの病と一時診断され、都会の生活を捨て、北海…

631 壊れたCDプレーヤー ものづくりへの哲学

最近CDプレーヤーの調子がおかしくなった。まだ購入して3年半しかたっていないのに、CDによって音が飛んだり、全く音が出なくなったりする。中にはごくまれに普通に音が出るものもある。 CDプレーヤーは小さなレンズからレーザー光をあてて情報を読み…

631 壊れたCDプレーヤー ものづくりへの哲学

最近CDプレーヤーの調子がおかしくなった。まだ購入して3年半しかたっていないのに、CDによって音が飛んだり、全く音が出なくなったりする。中にはごくまれに普通に音が出るものもある。 CDプレーヤーは小さなレンズからレーザー光をあてて情報を読み…

630 途上国の子どもたちの悲惨な現実

テレビを見ていたら、国際労働機関(ILO)の調査で世界中の5歳から17歳までの子どものうち、7人に1人に当たる約2億1500万人が「児童労働」に従事していることが明らかになったというニュースをやっていた。 児童労働というのは、子どもたちが長…

630 途上国の子どもたちの悲惨な現実

テレビを見ていたら、国際労働機関(ILO)の調査で世界中の5歳から17歳までの子どものうち、7人に1人に当たる約2億1500万人が「児童労働」に従事していることが明らかになったというニュースをやっていた。 児童労働というのは、子どもたちが長…

629 3Dの世界を初体験  映画「アリス・イン・ワンダーランド」

いわゆる「3D」という立体画面の映画を初めて見た。今年になって「アバター」が日本でも上映され、3Dが流行語になった。この方式のテレビも最近発売になり、眼鏡をかけた立体映像の世界が急速に浸透しつつある。 眼鏡をかけて映画を見るというのは、肌に…

629 3Dの世界を初体験  映画「アリス・イン・ワンダーランド」

いわゆる「3D」という立体画面の映画を初めて見た。今年になって「アバター」が日本でも上映され、3Dが流行語になった。この方式のテレビも最近発売になり、眼鏡をかけた立体映像の世界が急速に浸透しつつある。 眼鏡をかけて映画を見るというのは、肌に…

628 奇跡の犬 病を克服したラブラドール・レトリーバー

犬の散歩のときに、よく見かけるラブラドール・レトリーバーがいる。9歳の雄で、名前は「シオン」という。花の名前やスイスの都市名にもある。イスラエルの首都エルサレムのシオンの丘にはシオンという名の修道院があるという。だが、なぜ飼い主がこのような…

628 奇跡の犬 病を克服したラブラドール・レトリーバー

犬の散歩のときに、よく見かけるラブラドール・レトリーバーがいる。9歳の雄で、名前は「シオン」という。花の名前やスイスの都市名にもある。イスラエルの首都エルサレムのシオンの丘にはシオンという名の修道院があるという。 だが、なぜ飼い主がこのよう…

627 人生の選択 オチョワ選手の引退

女子ゴルフ世界ランキング1位のロレーナ・オチョワ(メキシコ)が引退するというニュースを聞いて「やるものだ」と感心した。一方で「もったいない」とも思った。28歳だ。彼女は潔い。トップレベルに達したからこそ、選べる道なのだろう。 かつて、女子テ…

627 人生の選択 オチョワ選手の引退

女子ゴルフ世界ランキング1位のロレーナ・オチョワ(メキシコ)が引退するというニュースを聞いて「やるものだ」と感心した。一方で「もったいない」とも思った。28歳だ。彼女は潔い。トップレベルに達したからこそ、選べる道なのだろう。 かつて、女子テ…

626 言葉の重さ 北村薫と政治家と

北村薫は「鷺と雪」で2009年に直木賞を受賞した。「街の灯」「玻璃の天」に続く社長令嬢とお抱えの女性運転手、ベッキーさんが謎に挑む「ベッキーさんシリーズ」の3作目である。 3つの作品を連続して読んで思ったのは「言葉の重さ」である。先ごろ亡く…

626 言葉の重さ 北村薫と政治家と

北村薫は「鷺と雪」で2009年に直木賞を受賞した。「街の灯」「玻璃の天」に続く社長令嬢とお抱えの女性運転手、ベッキーさんが謎に挑む「ベッキーさんシリーズ」の3作目である。 3つの作品を連続して読んで思ったのは「言葉の重さ」である。先ごろ亡く…