2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧
那覇市の首里城が火災になり、中心的存在の正殿、南殿、北殿など計7棟(4800平米)が焼失した。「首里の城は私たちの心の支え」と沖縄の人々が語るほど、この城は沖縄の象徴でもある。私は昨年末から今年の正月を首里で過ごし、毎日、城の周辺を散歩し…
高橋健二訳・ヘルマン・ヘッセの『郷愁』(新潮文庫)は、まさしく名著である。アルプスの高山に囲まれ、美しい湖水風景が広がるスイス山間部の小さな村に生まれ、成長するペーター・カーメンチントという主人公の自己形成史ともいえる、透明感にあふれる作…
散歩コースの遊歩道から調整池を見ると、池の周辺の野原は黄色い花で埋め尽くされている。言わずと知れた外来植物のセイタカアワダチソウである。例年、この花とススキは生存競争を繰り返しているのだが、今年は外来植物の方が圧倒的に優勢だ。この道を歩き…
東日本に上陸し大きな被害を出した台風15号と19号。新聞、テレビの報道を見ていると、復旧は容易ではないことが分かる。原発事故の福島が今回の災害でも一番被害が大きかったことに心が痛むのだ。私は台風の夜、アメリカの曲に犬童球渓(1879~19…
「たとえていうなら、小説はラグビーで、ノンフィクションはサッカーということになろうか」新聞記者出身の故ノンフィクション作家、本田靖晴は『複眼で見よ』(河出文庫)というジャーナリズム・メディア論をテーマにした本の中で、小説とノンフィクション…
千曲川や多摩川、阿武隈川、那珂川という著名な川から、耳慣れない川まで数えることができないほどの河川が氾濫した。台風19号による未曽有の大雨は関東甲信越、東北を中心に甚大な被害を及ぼした。被害の全容はまだ分からない。浸水被害を伝えるテレビの…
今年のノーベル化学賞に、スマートフォンや電気自動車に使われるリチウムイオン電池を開発した吉野彰さん(71)ら3人に贈られることが決まった。何よりのことである。吉野さんの受賞で日本のノーベル賞受賞は27人目になるという。しかし、アレフレッド…
ことし7月、知人の疎開体験記をこのブログに掲載した。知人にとって、自分史の一部である。今回、知人の許しを得て疎開後に起きた妹の死の記録を掲載する。(登場人物は一部仮名にしております) 仏教用語で「会者定離」(えしゃじょうり)という言葉がある…
プロ野球で大選手(大打者)にして大監督といえば、川上哲治と野村克也の2人だろう。6日に86歳で亡くなった金田正一は、前人未到といわれる400勝を達成し日本では最高の投手といえる。ロッテを率い日本一も経験したが、監督の力量としては川上と野村…
吉田兼好の『徒然草』第73段に「世に語り伝ふること、まことにあいなきにや、多くはみな虚言(そらごと)なり」という言葉ある。国文学者の武田友宏は角川ソフィヤ文庫の『徒然草』で、この段を「『うそ』の分析」と題し解説を加えている。関西電力高浜原…
「ドーハの悲劇」は、1993年10月28日、中東カタールの首都ドーハで開催されたサッカーW杯アジア地区最終予選最終節の試合で、イラク代表と戦っていた日本代表がロスタイムに同点ゴールを入れられ、W杯初出場を逃したことを指す言葉である。現在、同…