小径を行く 

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。(筆者=石井克則・遊歩)

2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

469 懐かしい北と南の島 礼文島と阿嘉島にて

日本の各地を歩いた。中でも思い出に残るのは、北と南の2つの島である。いまが一番の観光シーズンの北海道・礼文島と梅雨が明けた沖縄・阿嘉島だ。もちろん自然の姿は異なる。しかし、いつかはまた訪ねてみたい不思議な魅力があるのだ。 北海道に住んだこと…

468 通勤電車でわが道を行く人 我慢は日本人の特性?

JRを毎日利用している。ラッシュよりは少し外れた時間なのだが、込みようはいつになっても解消されない。それなのに、傍若無人な振る舞いの人が何と多いことか。多くの人は心の中ではいい加減にしろと思いながら黙っている。我慢は日本人の特性でもあるよう…

467 お母さんただいま奮闘中 飛行機で再会した先輩の本

以前、奈良と京都を旅していて偶然、京都のデパートで東京の知人と出くわしたことがあった。ことしになって、今度は沖縄に向かう飛行機の中で同じ職場で働いたことがある先輩と乗り合わせ、空港到着までの時間を昔話に花を咲かせた。人生にはこんな偶然は何…

466 熱の中で読む「1Q84」 村上春樹のメッセージ

体調を崩した。セキや鼻水は出ないが、熱があり、体がだるい。風邪薬を飲んで、数日、ゴロゴロと横になっていた。そばには気になる本があった。村上春樹の「1Q84」だ。基本的にベストセラーは読まない。だが、ふらりと寄った本屋でうず高くこの本が上下と…

465 福島にもヴォーリズ作品 終戦秘話にも登場

「ウィリアム・メレル・ヴォーリズ」という米国人の名前を時々聞くことがある。最近も福島を旅して、その名前を聞いた。 福島市内の若者たちが町おこしのために作った市内案内のパンフレットにもその名前が掲載されていた。 実業家であり、建築家だったヴォ…

464 ブラックユーモア(続) 東国原知事への出馬要請

「貧すれば鈍す」という言葉が浮かんだ。きょう流れたニュースの感想だ。自民党の自民党の古賀誠選対委員長が宮崎県庁で東国原英夫知事に会い、次の衆院選に自民党公認候補として立候補するよう要請したというのだ。 これに対し東国原知事は「全国知事会が作…

463 ブラックユーモア 英国と香港のばかばかしい話

新聞を読んでいると、世の中には、面白いことが多いことを知らされる。いわば、ブラックユーモアとして読むことができる話題も少なくない。朝日新聞の夕刊で掲載された英国と香港の2つのニュースもそうしたばかばかしい範囲に入る。 英国航空会社BAの社長…

462 スポーツ選手の光と影 松坂に「燃え尽き症候群」を連想

スポーツは結果が一番評価される。5200万ドル(約61億円)の巨額の契約金で大リーグ・レッドソックスに入って3年目の松坂大輔の様子がおかしい。きょう現在で1勝5敗、防御率は何と8点台まで下降してしまった。不調を通り越している。 ファンの容赦な…

461 「少年」をめぐる2つの作品 「少年の輝く海」「少年時代」

自分の少年時代を思い出して、輝いていたなと語ることができる人はどれほどいるだろう。 比較的豊かな自然の中で少年時代を送った。いま考えると、まばゆいばかりに輝きのある時期を経験したはずだ。しかし、それはいつしか忘却のかなたへと追いやられ、霞が…

460 センチメンタルジャーニーsendai 35年は幻の如し

かつて仙台に住んだことがある。1973年(昭和48年)8月から1975年(同50年)6月までの短い期間だ。 正確にいうと勤務した場所が仙台市で、住まいは合併前の泉市(現在は仙台市泉区)だった。その後、仙台には何度か行っているが、かつて住んだ…

459 うそのような本当の話(続) 中国と日本の超常現象

うそのような本当の話の続きを書く。これは私自身のことではなく、新聞やテレビで報道された話である。「まゆつば」でもないところが、面白いではないか。 中国の瀋陽市郊外に「怪披(不思議な坂)」があるという。長さ80メートル、幅25メートルのこの坂…

458 うそのような本当の話 ある食品会社の良心

こんなことを書くと、本当かなと思う人がほとんどだと思う。かつての同僚から家にファクスで便りが届いた。そこには「近くうどんが届きます」と書いてあった。何のことかよく分からなかったが、読み進めて理解はできた。古い話であり、にわかには信じること…

457 庄司紗矢香さんの世界 一芸に秀でれば

ピアノの天才のことを昨日書いた。辻井伸行さんのことだ。日本にはピアノだけでなく、ヴァイオリンでも天才がいるのは多くの人が知っている。 16歳のときパガニーニ国際ヴァイオリンコンクールで優勝した庄司紗矢香さんだ。史上最年少だった。その庄司さん…

456 真っ白いピアノ演奏 辻井伸行さんの偉業

芸術の世界で頂点を極めることは、並大抵ではできない。たぶんに持って生まれた才能に大きく左右される。その豊かな才能の持ち主を天才ともいう。米国のバン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝した辻井伸行さん(20)も数少ない天才の一人だ。辻井…

455 映画「ガマの油」と公園の蛍狩り

名優、役所広司がメガホンを取った映画「ガマの油」を見た。同じ日の夜、近所の公園に蛍狩りに行った。どちらも「郷愁」ということばにつながるものだ。私自身、実際にガマの油売りを見たことはないが、その口上の面白さは子ども時代から知っている。一方蛍…

454 科学捜査は万能か 足利事件で思う裁判員の責任

日本の刑事裁判の有罪率は99・9%だという。検事が起訴すれば、その段階で有罪が決まったようなものだ。だが、過去に冤罪もかなりあり、新しい証拠が見つかり再審で無罪になった事件も少なくない。栃木県足利市の女児殺害事件で無期懲役が確定しながら、…

453 エコ時代の落とし穴 自転車のひどいマナー

地球温暖化につながる温室効果ガス(二酸化炭素=CO2など)の増大対策として「車に乗るよりも自転車を」という掛け声が盛んだ。基本的には賛成だが、最近後ろからきた自転車にぶつけられ、ヒヤリとした経験がある。それだけに自転車に乗った人のマナーの悪さ…

452 みずみずしい感覚 「今ここにいるぼくらは」

川端裕人はテレビ局の報道記者から転身した作家だ。関西から自然がいっぱい残る里山の近くに家族とともに引っ越してきた博士(ひろしと読むが、あだ名ははかせ)の小学生時代を7つの話に分けて描いた。 それは著者の歩んだ昭和の原風景であり、瑞々しい感覚…