小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

世界遺産

1336 開帳された大日如来坐像を見る 千葉県睦沢町・妙楽寺にて

木造の重要文化財・大日如来坐像の御開帳があるというので、千葉県睦沢町の天台宗妙楽寺に行ってみた。JR上総一宮から車で約20分内陸に入った山の中だが、境内には年1回の御開帳を見ようとする参拝者が詰めかけていた。 あと1カ月で東日本大震災からまる4…

1334 野獣的行為と勝手な理屈  カッパドキアの地下都市を想起

「イスラム国」による湯川遥菜さんと後藤健二さん、ヨルダン軍のパイロットモアズ・カサスベ中尉の殺害のニュースに接して思ったのはトマス・モアとフランクリンの言葉だった。 トマス・モアは、英国・ロンドン生まれの15世紀から16世紀の法律家であり、…

813 世界遺産へ近づいた平泉 ≪紅葉燃ゆ 旅立つあさ≫を想う

国際記念物遺跡会議(ICOMOS、イコモス)が平泉(文化遺産)と小笠原(自然遺産)を「世界遺産」に登録するよう勧告し、6月には「人類が共有すべき顕著な普遍的価値を持つ遺跡、景観、自然」の仲間入りをする。 平泉は東日本大震災被災地の岩手県にあり、世…

519 宗教戦争の長い時間・アルハンブラ スペイン・ポルトガルの旅(6)

中世、キリスト教勢力を追い出し、スペインに進出したイスラム勢力は、長い間栄華を誇った。しかし、巻き返しを狙うキリスト教勢力側は各地でレコンキスタ(国土回復運動)という戦争を続ける。それは息の長い戦いだった。 その結果、イスラム支配として最後…

518 迷走運転手に笑う スペイン・ポルトガルの旅(5)

クエンカは、人口5万3000人のスペインの中央に位置する都市だ。歴史的城壁都市として世界遺産に登録されている。ウエカル川の断崖に建つ「宙づりの家」が有名だ。(宙づりの家) マドリードからは車で約2時間と、そう遠くはない。しかし、私たちが乗っ…

517 躍動、飛び散る汗・フラメンコ スペイン・ポルトガルの旅(4)

アルハンブラ宮殿のあるグラナダ地方は、フラメンコの本場でもあるらしい。夜、9時前アルハンブラ宮殿を見下ろす高台にあるタブラオまで行く。日本でいえば、小さな芝居小屋みたいなものだ。 前方の小さな舞台があり、正面と左右に椅子席がある。正面はスペ…

514 サグラダ・ファミリアは悪趣味か名建築か スペイン・ポルトガルの旅(1)

建築が始まって、127年になるというのに、まだ完成していない建物がスペインのバルセロナにある。多くの人が一目見たいと憧れる「サグラダ・ファミリア」(聖家族教会)だ。 しかも、建築途上で一部がユネスコの世界遺産に登録されたのだから、不思議な建…

334 中欧の旅(8) たくましいハンガリー女性

ハンガリーの首都ブタペストは、チェコのプラハと同様に、旧市街が世界遺産に指定された美しい街並みが続いている。街の真ん中をドナウ川が流れ、何となく気持ちが落ち着く。そんな街に住む1人の女性は教師のほかに日本人向けのガイドのアルバイトをしている…

333 中欧の旅(7) ウィーンの宮殿コンサート

オーストリア・ウィーンは「音楽の都」という代名詞が付く。以前、山田洋次監督、渥美清主演の人気映画「男はつらいよ」シリーズ41作目のウィーン編(竹下景子がマドンナ役)を見たことがあり、このときも音楽会のシーンがあったことを記憶している。 ウィー…

332 中欧の旅(6) チェコの古城でスリの話

観光地はどこに行ってもスリの目が光っているのは、万国共通だ。日本では浅草や新宿などの繁華街では、いつも危険信号が灯っているといえる。それは、チェコでも同じだった。 プラハからバスで約3時間のチェスキー・クルムロフは、チェコの古城めぐりのハイ…

331 中欧の旅(5) ビールの本家争い

「あなたの馬は健康的ですよ」。チェコ・プラハの市民はアメリカのビール、「バドワイザー」の味を聞かれると、こう答えるそうだ。 バドワイザーの味は、馬の小水のようなものという意味なのだそうだ。汚い話になるが、アメリカのバドワイザーは馬の小水の色…

330 中欧の旅(4) プラハの花嫁

世界遺産に指定されているチェコの首都プラハの旧市街にあるブルタバ川にかかるカレル橋を歩き、美しいプラハの街を眺めた。橋の上は観光客であふれるようだ。この後プラハ城に行き、さらに旧市街庁舎前の広場に足を運ぶと、再びすごい人の波に巻き込まれた…

329 中欧の旅(3) フェルメールも見た・ドレスデン国立絵画館にて

悔しいと思った。素晴らしい作品がこんなにあるのに時間がない。それと、美術作品に対する知識が少ない。目の前に次々と出現する名画を見ながら私は戸惑った。 いま、話題のフェルメールだけでなく、レンブラント、ラファエロ、エル・グリコらの作品を展示す…

328 中欧の旅(2) 歴史の舞台裏・ポツダム

ドイツ・ポツダムは「ポツダム会談」や「ポツダム宣言」という世界史の舞台として知られる。しかしポツダムが名建築の街とは知らなかった。実はポツダム会談はその名建築物を舞台に行われたのだという。 ポツダムはベルリンから30数㌔しか離れていない。通…

176 世界遺産第1号「姫路城」 司馬遼太郎の世界を思う

「うーん」とため息をついた。何とも言いがたい感情だ。昨年3月に訪れたドイツのノイシュバンシュタイン城を連想した。いつでも行けると思いながら、これまで行くことがなかった国宝、姫路城についに立ち寄った。 天守閣は、馥郁としたキンモクセイ(驚くほ…

143 勝連の城主阿麻和利 世界遺産の地で英傑を思う

沖縄の世界遺産といえば、首里城跡など9つの「琉球王国のグスク及び関連遺跡群」だ。このうち首里城跡と今帰仁城跡には行ったことがあるが、沖縄本島中部のうるま市にある勝連城跡にはなかなか行く機会がなかった。 つい先日、仕事でうるま市に行った際、初…