2014-01-01から1年間の記事一覧
「マッサン展」という風変わりな名前の特別展が、外務省外交史料館で開催中だ。東京・麻布台の飯倉公館に隣接した外交史料館別館をのぞくと、明治以降からの外交資料の常設展示のほかに、「マッサン展 竹鶴政孝と知られざる日本・スコットランド交流史」と題…
ジャン=フランソワ・ミレーの「種をまく人」(1850年)に触発されて、フィンセント・ファン・ゴッホが同じ題名の作品を描いた1880年)ことはよく知られている。東京・丸の内の三菱一号館美術館で開催中の「ボストン美術館・ミレー展」で見た「種を…
タイ・チェンマイに住む友人から、「雪景色」の写真が届いた。チェンマイの目抜き通りに雪が積もっている。暖かいタイにも雪が降るほど、地球の気候変動は激しいのかと、一瞬思った。それはもちろん、妄想だった。雪の正体は塩であり、チェンマイ市民はクリ…
いま、照明はLEDの全盛時代になった。だが、いまから40年前の1974年当時、日本社会は室内照明に陰影を大事にする「ほの暗い時代」を迎えつつあった。いまでは考えられないことだが、そんな時代があったことを懐かしく思い出している。 手元に、「深代惇郎の天声人語」(朝…
庭から出ると遊歩道がある。その植え込みの中から、一本だけ背が高くなった水仙の花が咲いた。自然の生命力が、悪条件を乗り越えて花を咲かせたようだ。正岡子規は「水仙の僅に咲て年くれぬ」(明治30年)という俳句をつくっている。きょうは23日だから、こ…
東日本大震災で、息子2人を亡くした仙台市宮城野区の父親が自力で観音像を建てたという話を友人がブログで紹介している。 「舟要観音(しゅうようかんのん)」という2人の名前が由来という観音像には、「2人の息子さんや同地区の300人余の犠牲者に対す…
最近の日本のマスコミ界は、何となくおかしい。時の政府を監視するという一番大事な役割を投げ捨て、政権にすり寄っている新聞、テレビが目についてしまう。マスコミ界から「へそ曲がり」がいなくなってしまったのか。そんなことはないはずだ……。こんなこと…
(三春の滝桜) 東京・恵比寿の山種美術館で開催中の「東山魁夷と日本の四季」という特別展をのぞいた。東山魁夷(1908~1999)が亡くなってことしで15年になる。以前、東山魁夷の絵は東京世田谷にある長谷川町子美術館と竹橋の東京国立近代美術館で見ている…
(朝のビーナスベルト現象が美しい) 風邪をひいて1週間、朝の散歩と公園でのラジオ体操をやめていた。今朝から再開したが、いつもの散歩の時間の6時過ぎでもまだ外は薄暗い。きょう12月8日は、73年前の1941年(昭和16)に日本軍がアメリカの真珠湾の攻撃を…
衆議院が解散し12月14日に選挙が実施される。伊吹文明議長が解散の詔書を読み上げる際、「バンザイ」の声が途中で出てしまい、終わった後議長が「バンザイはここでやってください」と促すというおかしな解散の儀式だった。 政治評論家といわれる人たちも…
「高倉健のようにひた向きに生きたい」いつかの酒席で私はこう話したらしい。人間は自分とは遠い存在に憧憬を持つから、私は酔いにまかせてそう言ったのだろうか。 「現在の暦でいうと、2月はいちばん寒い季節だと思います。その寒い季節の真ん中である2月…
東日本大震災から3年8カ月が過ぎた。東京電力福島第1原発事故で、避難した福島の人々の多くは依然として故郷に帰る見通しがつかないまま、むなしい日々を過ごしている。その中に全村避難となった飯舘村の人たちが含まれている。 日本のふるさとのような存在…
今朝は寒い朝だった。散歩コースから見た調整池は、外気が冷えたために発生する水蒸気が上がっていた。渡り鳥の姿も次第に増えている。渡り鳥といえば、白鳥の飛来地で知られる新潟県の人造湖・瓢湖にも白鳥の季節がやってきたという。 知人から写真が届いた…
警察を名乗る女性から電話があった。「あなたの名前、電話番号が摘発した振り込め詐欺グループの名簿にありました。対応を説明したい」という内容だ。私の電話番号は当初から電話帳には載せていないので、どうして振り込め詐欺グループが手に入れたのだろう…
一昨日、立冬のことを書き、タイ・チェンマイの「ロイクラトン祭り」(ロイカトン)についても触れた。チェンマイに住む友人からそのお祭りの写真が届いた。 友人の部屋からは山の寺から上がるコームローイという小さな熱気球が見えるそうだから、幻想の世界…
きょう7日は立冬だ。『日本の72候を楽しむ』(東邦出版)には、「立冬とは、冬の気配が山にも里にも感じられてくるころのこと。木々の葉が落ち、冷たい風が吹き、冬枯れのようすが目立ってきます」とある。 この説明の通り、家の前の通りのけやきの落ち葉が…
国の面積が約197ヘクタールとヴァチカン市国に次いで世界で2番目に小さな国が地中海に面したモナコである。人口は3万6千人余とミニ国家だが、金持ちが住む国としても知られ、日本人では元サッカー選手の中田英寿やテニスのクルム伊達らも居住権を持っ…
遊歩道にけやきの葉が舞落ちる季節になった。けやきの木を見上げると、茶や赤い色が増している。10月も最終週になったのだから、落ち葉が増えるのは当然なのだ。近くの公園では、山茶花の赤い花が咲き出した。ことしの立冬は来週の11月7日だが、冬はも…
マルク・シャガール(1887~1985)の『戦争』という絵を見た。大作の割には立ち止まる人が少なく、時間をかけることができた。国立新美術館で開催中の「チューリヒ美術館展」。展示された74点(絵画大半で一部が彫刻)は、画家たちの代表作といわれ…
昨今の国際情勢は、きな臭さが増している。中東でのイスラム過激派集団「イスラム国」の動きに呼応したカナダ国会での銃乱射事件は衝撃だった。ロシアとウクライナの情勢も解決の見通しはつかない。 21世紀の地球は戦争の世紀といわれた20世紀とあまり変…
「小さき者よ。不幸なそして同時に幸福なお前たちの父と母との祝福を胸にしめて人の世の旅に上れ。前途は遠い。そして暗い。然し恐れてはならぬ。恐れないものの前に道は開ける。行け。勇んで。小さき者よ」。 これは明治―大正時代の作家、有島武郎の短編「…
日本百名山の一つ、御嶽山が9月27日に噴火して戦後最悪の死者を出した。あれから間もなく3週間になるが、きょう16日で、行方不明者の捜索活動は打ち切られた。山はもう冬なのである。
ことしも帰化植物、セイタカアワダチソウの黄色い花が咲く季節になった。散歩コースの調整池の周囲には、天敵のススキと共存共栄している姿が見られる。こんな風景の中を歩いていると旅をしたくなる。旅といえば1年少し前、カンボジアの世界遺産・アンコー…
女性の教育の権利を訴え続けているパキスタンのマララ・ユスフザイさん(17)=イギリス在住=とインドの児童人権活動家カイラシュ・サティアルティさん(60)が2014年のノーベル平和賞の受賞者に決まった。マララさんのことは、このブログでも取り上げて…
朝日新聞の原発事故をめぐるいわゆる「吉田調書」と慰安婦に関する「吉田証言」の2つの誤報問題は、日本のジャーナリズムが危機的状況にあることを感じさせる。そんなときに新聞通信調査会が刊行した『ジャーナリズムよ メディア批評の15年』という本に目…
なつめの実青空のまま忘れらる 友岡子郷 この句の通り、わが家の周辺にあるなつめは、毎年秋には実を付けるのだが、だれも取らないまま、忘れ去られる運命にあった。この夏は猛暑が続いたためか、なつめの実が例年以上になっている。そのままにするのは惜し…
福島の知人から旬の果物、梨(二十世紀)が届いた。早速いただいた。瑞々しくて、甘い。「2014年 梨園たより」というパンフレットが同封されていた。そのパンフからは、原発事故の影響で苦労する果樹園の姿がしのばれた。
犬山城から見た木曽川と御嶽 噴火した御嶽は深田久弥の『日本百名山』の60番目に出てくる日本アルプスの中で「別格」の山である。NHKの報道によると、この噴火によって、登山中だった31人が心肺停止状態だという。けが人も多数出ており、火山国日本の…
先ごろ、イギリスからの独立の可否を問う住民投票があり、独立反対票が賛成票を上回り、イギリスにとどまることになったスコットランドは、スコッチウイスキーの生産で知られる地域である。18世紀までは、スコットランドの地酒に過ぎなかったウイスキーが…
俳人の正岡子規が亡くなったのは明治35年(1902)9月19日だった。既に112年が過ぎている。秋の彼岸入りのころで、秋真っ只中のこの世との別れだったといえる。朝、空を見上げたら、鰯雲(いわしぐも)が浮かんでいた。