小径を行く 

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。(筆者=石井克則・遊歩)

2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧

1279 hana物語(21) 白露の季節

はな、ありがとう。 はなが来てくれたおかげで 私たちの世界が広がって 豊かな毎日になったよ。 一緒にお散歩することで 花の香りや季節の変化を感じたり。 人間以外の動物がかわいいと 思えるようにもなった。 はなには感謝することばかりです。 また会おう…

1278 hana物語(20) 輪廻転生~いつの日か

「輪廻転生」。霊魂がこの世に何回も生まれ変わってくるという意味で、多くの宗教でこの考え方が存在するという。私は突き詰めて考えたことはなく、信じてもいないのだが、なぜかhanaが生きている間から「この子は今度生まれ変わるとしたら私たちの子ど…

1277 hana物語(19) 月命日に写真集が完成

hanaがこの世を去って2013年8月30日で1カ月が過ぎ、「月命日」を迎えた。仏教用語では「祥月命日」という、一周忌以降の故人の亡くなった月日(命日)と同じ月日のことを指す言葉もあり、ややこしいが、いずれにしても時間の過ぎるのは早く、あ…

1276 hana物語(18) たまには私だって

犬を主人公にした小説で一番心に残っているのは、ジャック・ロンドンの「野性の呼び声」だ。アメリカ、カリフォルニアの判事の家でのんびり暮らしていた大型犬バックが、庭師に盗まれてゴールドラッシュに沸くアメリカとカナダ国境へと売られ、過酷な犬ゾリ…

1275 hana物語(17) 問題行動のわけは

hanaの散歩コースだった調整池周辺の遊歩道は、早朝だとだれにも出会わないときも少なくなかった。排泄が終わり、それを拾ってからリードを外して首輪だけにしてやると、hanaは喜んで走り出す。いい運動になるのだが、ちょっと目を離すと遊歩道から…

1274 hana物語(16) 金木犀とともに

私がhanaの骨を庭の一隅に埋めてやろうと思った理由は、家族の「近くに置きたい」という言葉だけではない。私のブログにリンクしている「消えがてのうた part2」のaostaさんの「ボンボンがいた日々」(2012年8月31日)という、絶唱とも…

1273 hana物語(15) 誕生日が過ぎて

hanaは2002年7月1日の生まれで、2013年夏11歳になった。それから30日間でこの世を去ったが、毎年祝った誕生日のことが忘れることができない。それはユーモラスであり、hanaにとっては、ごちそうにありつける記念日でもあったはずだ。…

1272 hana物語(14) 爪楊枝事件

hanaは、犬族の一員として旺盛な食欲を誇っていた。元気なころは朝夕の餌だけでは足りないのか、私たち家族が食べている人間食まで欲しがった。動物病院の獣医さんに言わせると、犬にはドッグフード以外は不要ということだが、よだれを流さんばかりのh…

1271 hana物語(13) 3・11のこと

2011年3月11日の東日本大震災は私の「個人史」の中で特筆すべき事象であり、同じ思いの人たちは少なくないはずだ。11年という短い生涯だったhanaにとっても、衝撃的な大地震だったに違いない。当時我が家で産後の静養中の長女が留守番をしてい…

1270 hana物語(12) 私は末っ子

hanaは小さいころからわが家にしばしば遊びにやってきていたので、3歳過ぎてからわが家に移り住んでもすぐに慣れてしまった。当時、わが家は私と妻、2人の娘の4人暮らしで、hanaは3番目の娘、すなわち末っ子のような存在になった。 外で飼うこと…

1269 hana物語(11) 一度だけの失敗

この文章を書いている私の部屋では、CDから静かな曲が流れている。ヨーゼフ・ハイドンの交響曲44番≪悲しみ≫(哀悼)だ。ハイドン自身が気に入っていた曲で、葬式には演奏してほしいと希望し、1809年にベルリンで行われた追悼際では第3楽章・アダー…

1268 hana物語(10) 私のお母さん

2013年8月5日は、hanaの初七日だった。犬に対しこんな言葉を使うことが適切かどうか分からないが、それまで居間に置いた遺骨と写真を床の間に移した。いずれ土に還す予定だったから、より大切にしたいと思ったからだ。 その夕方、hanaとの散歩…

1267 hana物語(9) 後輩ハナとともに

hanaが旅立ってから、朝の散歩はやめた。その代わりに始めたのがラジオ体操だ。自宅から約200メートル離れた遊歩道の一角に大きな円形の花壇があり、その周囲が広場になっている。ここで近所の人たちが毎朝6時半からNHKの放送に合わせてラジオ体…

1266 hana物語(8) 奇跡の犬

hanaが肝臓がんと診断されたとき、家族全員が間違いであってほしいと願った。しばらくすれば元気を取り戻してくれるのではないか、hanaの散歩の際に度々出会った先輩犬のラブラドールレトリーバーのように、「奇跡」が起こるのではないかと思ったの…

1265 hana物語(7) 短い命を燃焼

人間と飼い犬の強い結びつきは「忠犬ハチ公」の話でよく知られている。飼い主が愛情をかければ、犬にもそれがよく伝わるということなのだろう。 以前読んだ、モンゴメリーの『アンの娘リラ』(新潮文庫・村岡花子訳)という小説の中にもそれを示すエピソード…

1264 犬と猫の受難の話 盲導犬が刺される時代……

最近、新聞に載った「盲導犬がけがをさせられた」という投書と友人がフェースブックに書いた「人を怖がる猫」の話が気になった。「犯罪や事件は時代を映す鏡」といわれるが、2つの動物虐待の事件は、21世紀前半の日本の姿を反映しているようで、暗澹とす…

1263 hana物語(6) 家族として生きた証

ゴールデンレトリーバーは、「金髪の回収犬」という意味があるそうだ。ハンターが撃ち落としたキジなどの獲物をくわえて、主人のもとへ運ぶ役割を担っていたのだ。それが物を拾うことが好きという習性となり、投げられたボールや棒を取ってくる遊びが大好き…

1262 hana物語(5) それぞれの旅立ち

hanaの闘病と死に対し友人からメールやブログへのコメントの形で多くのメッセージが寄せられた。前に書いたが、友人の一人からは「シリウスへの旅立ち」というメッセージをもらった。心のこもった便りの数々は、hanaにも伝わったに違いない。その中…

1261 アジアで学校をつくる 『輝く瞳とともに』出版

アジアの山岳地帯で学校を建設しているアジア教育友好協会(AIFA)という認定NPOがある。私も会員になっているこのNPOが、ことしで創立10周年を迎えた。ラオス、ベトナム、タイの山岳少数民族地帯で建設した学校は191校になる。10周年の記念に…

1260 hana物語(4) 別れの時

私は2006年からブログに興味を持ち、「小径を行く」という題名のブログを書き続けている。このブログでは、時々「hanaのつぶやき」と題して、hanaにまつわる話を登場させてきた。犬にどこまで思考能力があるかどうか議論が分かれるかもしれない…

1259 hana物語(3)シリウスへの旅立ち

hanaとの別れは突然やってきた。夜、息が荒くなったhanaを心配し、次女が居間に布団を運んできて隣で寝たが、次女自身、こんなに早く別れがくるとは思わなかっただろう。 hanaの様子が落ち着いたのを見て、家族は夜11時過ぎには消灯し、就寝し…

1258 hana物語(2) 第1章 思い出の日々 病に倒れて

動物病院でhanaの肝臓に腫瘍が見つかった翌日から、エサは医師の指示で少量ずつを4、5回に分けて食べさせ始めた。しかしドッグフードをエサ用の容器からでは食べようとせず、私たち家族の掌に乗せると、少しだが食べてくれた。散歩にも出る気力はある…

1257 hana物語(1) あるゴールデンレトリーバー11歳の生涯 はじめに

わが家の飼い犬だったゴールデンレトリーバーのhanaが死んで1年が過ぎた。毎日写真では見ているが、最近は夢にも出てくることは少なくなった。そこで、hanaと暮らした日々を思い出すために、あらためて「hana物語」を掲載することにした。(昨…

1256 はびこる「緑の怪獣」 繁殖力旺盛なクズがイタズラ・注意看板を覆う

朝の散歩の途中、調整池の周りで写真のような看板を見た。看板には「かいだんちゅうい あぶない!」の文字と、青い体をした伝説の生き物・カッパらしいものが池にはまっている。その看板をツル性の植物がぐるぐると巻きつき、怪しい雰囲気を醸し出している。…