小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

2096 朝焼け広がる厳寒の空 阪神淡路大震災から27年

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  今朝は朝焼けが見えた。「日の出の頃、東の空が薄紅色や燃えるような色に染まることがある。これは大気の状態によって太陽光が散乱する現象であって夏にのみ起こるわけではないが、特に夏の朝焼けは荘厳であり、夏の季語とされる。天気の下り坂の前兆といわれている」と『角川俳句大歳時記』に出ている通り、厳寒の頃の朝焼けはそう多くはない。近所のラジオ体操会場でも東の空が美しく輝いていた。今朝は阪神淡路大震災から27年になる。

 普段、私たちの多くは太陽を背に向けてラジオ体操をする。ちょうど日の出の頃と重なり、眩しいためだ。今朝もいつものような位置で体操を始めた。だが、正面のビルの窓ガラスが赤く反射しており、後ろを振り返ると、公園の樹木の向こうに朝焼けが広がっていた。そこで私は体の向きを東に変え、朝焼けを見ながら体を動かした。ほかの人たちも私にならい、同様の動きをした。

 南太平洋のトンガで海底火山の大噴火があり、日本各地で津波が観測された。気象庁は当初、日本への影響はないと発表していたが、現実には津波が観測されたため各地に警報を出した。予測が困難だったわけで、自然界の動きは現代科学でも解明できない部分が少なくない。阪神淡路大震災前、神戸では大地震はないという説を信じる人が多く、行政も含めて警戒感は薄かったという。

「朝焼けは天気が下り坂になる前兆」ともいわれる。俗説とはいえ、夏に朝焼けを見ると、天気が下り坂になった経験がかなりあったから、この説を信じる人は少なくないのではないか。自由律俳句の俳人種田山頭火の句にも「朝焼雨ふる大根まかう」とある。一方、天気予報では私の住む千葉市周辺は好天がしばらく続くそうだ。冬の朝焼けは、天気が下り坂になる前兆とはいえないのかもしれない。

 山頭火には「朝焼のうつくしさおわかれする」という句もある。夏の朝焼けの短さ、寂しさを思った句だろうか。「私はその日の生活にも困ってゐる。食ふや食はずで昨日今日を送り迎へてゐる」(「述懐」)と書く山頭火。「朝焼夕焼食べるものがない」という、切実感あふれる句も残している。

 あかあかと朝焼けにけりひんがしの山並の天(あめ)朝焼けにけり 斎藤茂吉

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