小径を行く 

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。(筆者=石井克則・遊歩)

3146 どこへ行くのか夏の風物詩 高校野球と青い芝

(線状降水帯が去った3日目の夕空) 若芝に散れば闘志の球は飛ぶ 夏の全国高校野球大会が開催されている甲子園球場。テレビに映し出される内野の黒い土と外野の青々とした芝。そのコントラストがとてもいい。この風景を見ると、晩夏なのだと私は勝手に思う…

3145 一枚の絵を巡る友情 漱石が語る子規の「あずま菊」

(近所にアズマギクは見当たらなかった。写真はキク科のヘレニウム) 俳人で画家としても知られたのは江戸時代の与謝蕪村だ。俳句を毛嫌いしていた萩原朔太郎でさえ、蕪村の句は例外だと評価していた。蕪村は絵の才能も豊かで、その作品の多くが重要文化財に…

3144 一変した小さな旅の風景 突然の線状降水帯と調整池

(水量がふだんの5倍程度に増えた調整池=14日朝撮影) 携帯電話の通知機能が突然鳴り出し、「レベル5の大雨特別警報が発令されました」という連絡が入ってきた。13日夜、私が住む千葉県内は線状降水帯が発生して、雷とともに大雨が降り続いた。通知は市…

3143 戦争に翻弄された音楽家たち 『運命』の名盤から除外されたカラヤン

(平和なヒマワリ畑の風景=千葉県市原市はちみつ牧場にて) 「非楽」という言葉があるそうだ。音楽は不要だという中国古代(春秋戦国時代)の思想家、墨子(ぼくし)の考え方だ。墨子の音楽嫌いのエピソードを、クラッシック愛好家の作家、宮城谷昌光氏が書…

3142 パソコンで知った消息 詩人の父のシベリア抑留(さまざまな昭和史2)

(抑留された人々に、日本は遠かった) シベリアの捕虜収容所に送られて六十年も消息が分からなかった父親が突然パソコンの画面にカタカナで現れた帰還した一人がこつこつ調べた死者名簿の四万六千人の一人だった 私の知人で詩人、飯島正治さん(2010年…

3141 思い出すのも嫌という両親も さまざまな昭和史

(北海道・網走湖に沈む夕陽) 聞きそびれし父母の満州盆の月 新聞にこんな句(朝日俳壇、8月2日。愛知県長久手市 佐藤昌江)が載っていた。かつて日本が建国した旧満州(中国東北部)をめぐっては、ソ連(ロシア)の侵攻以後、さまざまな悲劇が起きている…

3140 8月は人生を振り返る季節 ハマナスの花と沖に未来

玫瑰(はまなす)や今も沖には未来あり 人間探求派の俳人といわれた中村草田男(本名、中村清一郎。1901―1983)の句だ。中村の成蹊学園時代の教え子で芥川賞を受賞した作家の高井有一(1932―2016)は、この句が好きだったそうだ。北海道が好きな私もこの句が…

3139 マロニエの下の子どもたち 立秋が過ぎて

(シンプルな知人の絵=ラジオ体操会場がモデル) 「春は名のみの風の寒さよ」という歌い出しの『早春賦』。替え歌にすれば「秋は名のみの今日の暑さよ」となるだろうか。今年の立秋は7日だった。少し涼しい日があったが、猛暑が戻り、巣ごもり状態が続いて…

3138 遥かなる南の島 思い出のヤシの実の味

(この雲の向こうに……) 「ソロモン」と聞くと、古代史に出てくる王のこと連想し、ロマンを感じる人もいるだろう。この王の名前が由来といわれるのが、日本から5450キロ離れたオセアニアのソロモン諸島(注1)だ。大小1000の島があり、6つの主要な…

3137 苦心の原爆投下速報 日本の第1報は「幻」に

(クロアチア・ダルマチア地方イグラネ村の美しいロザリオ教会) 原爆が人類に初めて投下されたのは、1945年8月6日の広島だった。この強力な武器は広島のおびただしい命を一瞬にして奪い、街は瓦礫と化した。日米の通信社はこの原爆投下を速報したのだ…