小径を行く 

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。(筆者=石井克則・遊歩)

3135 胸をつく「自然は人間に冷淡なり」 百年前の芥川の言葉

(自然は美しい。だが…時には) 「自然は人間に冷淡なり」とは、芥川龍之介の言葉です。熊本大地震をはじめとする昨今の自然災害の多発は、この言葉が当たっているように思えてなりません。1923年9月1日に起きた関東大震災(M7.9)の後に発表した『大…

3134 開いた鉄のカーテン 冷戦時代のオイストラフ公演

手元に古い1枚のLPレコードがある。モーツァルトの『ヴァイオリン協奏曲第3番 ト長調 K.216』、『第5番 イ長調K.219「トルコ風」』の2曲が入っている、ベルリン・フィルハーモニー演奏の名盤(ビクター)だ。このレコードの指揮とヴァイオリンを担当した…

3133「呆れる」は使いたくない言葉 サッカー・FIFAの仰天構想とラフプレー

(青森港の夕暮れの風景) 「呆れる」という言葉は、だれでも使いたくなる時があるはずだ。本来は「意外なことがあって、どうしてよいかわからなくなる。途方にくれる」(広辞苑)という意味だ。しかし、現代では「(軽蔑・非難などの気持ちを含むことが多い…

3132 涼を感じるモネの《舟遊び》 猛暑の中のひととき

日本人が好きな西洋人画家ランキング(朝日新聞のアンケート)のトップは、フランスの印象派クロード・モネ(1840―1926)だという。モネの《睡蓮》が、これまで見た絵の中で一番印象に残っているというのが大きな理由だ。部屋の8月のカレンダーは、モネの《…

3131 不安定時代に思う不屈の魂  鑑真坐像とともに

挫折と困難を乗り越えて唐(中国)から日本にやってきた僧といえば、奈良・唐招提寺を創建した鑑真(がんじん=688?— 763)だ。唐招提寺にある穏やかな鑑真和上坐像を思い出す度に、どんな時代にあっても人は平静さを失ってはならないことを教えられる。鑑真…

3130 「負けるな」のメッセージ 宮沢賢治から熊本の人々へ

(熊本城 西大手門・元太鼓櫓) 10年前の4月大地震に見舞われた熊本で再び大地震どうして日本列島は地震が多いのか痛ましいニュースを見ながら命のはかなさに嘆息する自然災害は人間の都合などお構いなしにやってくる31年前の阪神淡路大震災は寒い1月1…

3129 安青錦の獅子奮迅の活躍  いつかは「巨人・大鵬・卵焼き」の存在に

(夏の日の午後。猛暑でも涼し気に見える) 「巨人・大鵬・卵焼き」という言葉が、昭和30年代の高度経済成長期に流行語になった。若い世代にはピンとこないかもしれないが、「ああ、そんな時代もあったな」と思い起こす人が少なくないだろう。「日本一を続…

3128 社会性を追い続けた作家 追悼東野圭吾さん

ベストセラーを連発する作家の東野圭吾さんが亡くなった。病魔には勝てず、68歳という若さで旅立った。あれだけの作品を書いていれば、寝る時間も少なかったのではないかと思われる。へそ曲がりの私は、ベストセラーの本はほとんど読まない。東野さんの本…

3127 「一身二生」貫いた2人の先人 伊能忠敬と伊藤若冲の生き方

(佐原・小野川の川下り) 前回のブログで、現場主義を貫いた報道写真家ロバート・キャパのことを書いた。写真家、カメラマンなのだから、当然と言えば当然だ。現場主義といえば生涯で「四千万歩」を歩いた江戸時代の伊能忠敬(1745―1818)のことが頭に浮か…

3126 激情と科学の果てしない広がり AI時代と戦争写真

(ひっそりと咲いているマルバハッカ=自然界は奥ゆかしい) 「戦争は激情の果てしない広がり」と指摘したのは、アメリカのノーベル文学賞受賞作家、ジョン・スタインベック(1902―1968)だ。『怒りの葡萄』や『エデンの東』という作品で知られ、戦…