小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

1571 きのふの誠けふの嘘 アジサイの季節に

紫陽花やきのふの誠けふの嘘 正岡子規 アジサイの季節である。最近は種類も多いが、この花で思い浮かぶのは色が変化することだ。子規はそのことを意識して人の付き合い方についての比喩的な句をつくったのだろう。安倍首相の獣医学部をめぐる言動は子規の句…

1570 植物の三徳 清澄のユリ園を訪ねて

植物には三徳があると言ったのは、植物学者の牧野富太郎である。人間の生活に植物がいかに重要な役割を果たすかを示した言葉である。それは後述するが、牧野は「もしも私が日蓮ほどの偉物であったなら、きっと私は、草木を本尊とする宗教を樹立して見せるこ…

1569 目に優しい花菖蒲 一茶を思う一日

むらさきも濃し白も濃し花菖蒲 京極杜藻 うつむくは一花もあらず花菖蒲 長谷川秋子 近所の自然公園にある湿地で花菖蒲が見事に咲いた。その花は前掲の俳句の通り色はあくまで濃く、どの花も下を向いてはいない。歳時記によると、原種は野花菖蒲で江戸時代初…

1568 視覚障害者の希望とは 映画「光」が示す先は

光を失うということは、どのような恐怖なのかは経験者にしか分からない。新潟の知人もその一人である。映画「光」を見て、知人の苦しみを考えた。どら焼きづくりに、ささやかな希望を見つけたハンセン病回復者を描いた「あん」に続く、河瀬直美監督の作品だ…

1567 2つの大戦の過去とは決別できない 『ヨーロッパ炎上 新・100年予測』の結論

ヨーロッパの国々の関係は複雑だ。ヨーロッパをまとめていたEUは、イギリスの離脱決定によって今後の雲行きが怪しいし、シリアなどから押し寄せる難民問題は解決が困難だ。ジョージ・フリードマンの『ヨーロッパ炎上 新・100年予測』(ハヤカワ文庫)は…