小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

2018-11-01から1ヶ月間の記事一覧

1730 10年で1000万部減の新聞 使命を忘れたら衰退の一途

日本の新聞の発行部数は約4213万部(2017年・日本新聞協会)で、この10年で1000万部減ってしまった。驚くべき数字である。毎年100万部ずつ減少しているわけだ。この状態だと2018年の現在は4100万部台で、4000万部を割るのも時…

1729 ああ!妻を愛す 永遠の美を求める中山忠彦展

中山忠彦は、日本の現代洋画界を代表する一人といわれる。ほとんどが自分の妻を描いた作品というユニークさを持つ画家である。千葉県立美術館(JR京葉線千葉みなとから徒歩で約10分)で開催中の「中山忠彦――永遠の美を求めて――」をのぞいた。それは驚き…

1728 ルーベンス展でセネカに出会う 晩秋の西洋美術館で

好天に恵まれた過日、晩秋の上野公園を歩いた。3つの美術館で開催中の展覧会のどれかを見るべく早めに家を出た。10時過ぎにはJR上野駅の改札口を出て、美術館に向かった。しかし、2つの美術館は長い行列が続いていた。結局、入ることができたのは3番…

1727 日韓草の根交流半ばの死 ある記者の思い出

日韓関係が危うい。韓国大法院の元徴用工に対する賠償判決、そして日韓両政府の合意で設立された慰安婦問題に対応する「和解・癒し財団」の韓国政府による解散表明は、嫌韓日本人を増加させている。こんな現状を見るにつけ、私は今年夏にこの世を去った一人…

1726 人間に付きまとう魔物 ゴーン氏と富について

日産自動車のカルロス・ゴーン氏が東京地検特捜部に逮捕されたことだけでなく、逮捕の理由を聞いて驚いた人は多いだろう。5年間に100億近い報酬を得ながら、その半分しかもらっていないと、有価証券報告書に申告していたというのだ。私はこのニュースを見て…

1725 けやきの遊歩道無残 紅葉奪った塩害

街路樹のけやきの葉の色がことしはおかしい。例年なら赤や黄、茶の3色に紅葉して美しい秋を演出するのだが、ことしに限って美しさが失われてしまった。よく観察してみるとほとんどの葉が褐色(こげ茶色)になっている。文字通り枯れ葉といった印象なのだ。…

1724 59歳まで投げ抜いた伝説の投手 その名はサチェル・ペイジ

日本ハムから大リーグ(MLB)のエンゼルスに移籍し、投手と打者の「二刀流」で活躍した大谷翔平の新人王受賞が決まった。何よりのことである。大谷と比較されるのは、大リーグ史上最もよく知られているベーブルースだろう。ルースは、二刀流から出発し、…

1723 職人気質が懐かしい どこへ行った厳格な品質管理

以前のことだが、途上国を歩いていて、私を日本人と思ったのか、現地の人からいきなり「ジャパン、ナンバーワン」と、声を掛けられたことがある。それは日本から輸出する製品についての称賛の言葉だった。かつて、とは書きたくないが、日本製品はほかの国の…

1722 言葉に畏敬の念を 危ういSNS社会

「言葉は人間が背負い込んだ大きな不幸の一つ」作家の松浦寿輝が言葉について、『月の光 川の光外伝』(中公文庫)の中でこんなふうに書いている。小説『川の光』(続編『川の光2』・中央公論社)は突然始まった川の改修工事によって、川辺の棲家を失ったク…