小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

事件

707 特捜検事の堕落 悪魔が来りて笛を吹く

馬鹿な検事がいたものだと思う。障害者団体向け割引郵便制度をめぐり偽の証明書が発行された郵便不正事件で、証拠品として押収したフロッピーディスクを改ざんしていた 疑いで最高検に証拠隠滅容疑で逮捕された大阪地検特捜部の検事、前田恒彦容疑者(43)…

548 人間の尊厳を思う 映画「さまよう刃」

広島県北広島町の山中で遺体が見つかった島根県立大1年、平岡都さんの事件は悲惨だ。首が切り落とされ、体も多くの傷があったという。遺族にとっては耐え難い事件である。映画「さまよう刃」を見て、犯罪被害者の苦しみ、悲しみを思った。 昨年9月のブログ…

547 夕焼け空 茜雲に思う

北千住駅前だった。彼はあわてて電車に乗り、現場に向かった。駅前の道路わきに息子の車が止まっており、後にはパトカーがいた。ふらふら状態の息子さんは、父親が駆けつけたことを知って、安心したのかようやく話ができるようになった。 「車を運転していて…

545 逃亡の果てに 情報化社会の市橋容疑者逮捕

3日のブログ「現代を象徴する事件と警察力」の中で、「千葉県警は、2007年3月の英会話学校講師の英国人女性殺害事件(容疑者の指名手配は死体遺棄容疑)でも、写真まで公開したのにいまだに容疑者を逮捕していない」と書いた。 翌4日の新聞朝刊(朝日…

543 理解困難な小説 高村薫「太陽を曳く馬」

難解で手に負えないと思った。 高村薫の「太陽を曳く馬」は、読んでいて疲れてしまう作品だ。この作品の内容を理解して読了することは至難ではないか。高村薫という作家の名前に引き寄せられて、読み始めたものの、読後感は「徒労」であり「理解不能」だった…

541 私のDNAは 究極の個人情報を保管

いま話題のDNA(デオキシリボ核酸)を採取し、保管を依頼した。 1990年5月に栃木県足利市内のパチンコ店の駐車場から4歳の女児が行方不明になり、翌朝、近くの渡良瀬川の河川敷で遺体となって発見された事件で、有罪判決を受けて服役していた菅家利…

539 現代を象徴する事件と警察力

結婚詐欺で起訴された34歳の女が、ほかの男性4人にも合わせて1億円を貢がせていたことが話題になっている。しかも、この4人は、女に金を貢いだ後、亡くなっている。出会いはインターネットというから、現代の最先端を利用した犯罪なのだろうか。それにし…

469 通勤電車でわが道を行く人 我慢は日本人の特性?

JRを毎日利用している。ラッシュよりは少し外れた時間なのだが、込みようはいつになっても解消されない。それなのに、傍若無人な振る舞いの人が何と多いことか。多くの人は心の中ではいい加減にしろと思いながら黙っている。我慢は日本人の特性でもあるよう…

455 科学捜査は万能か 足利事件で思う裁判員の責任

日本の刑事裁判の有罪率は99・9%だという。検事が起訴すれば、その段階で有罪が決まったようなものだ。だが、過去に冤罪もかなりあり、新しい証拠が見つかり再審で無罪になった事件も少なくない。 栃木県足利市の女児殺害事件で無期懲役が確定しながら、…

421 哀感あふれる捜査官の回顧録 田宮榮一著「警視庁捜査一課長」

田宮榮一氏が出版した「警視庁捜査一課長 特捜本部事件簿」という本を読んだ。警視庁の鑑識課長を経て、日本の警察の中でも最も激務といわれる捜査一課長を務めた田宮さんが犯罪捜査に取り組む捜査員の姿を中心に、捜査の裏側の実態を哀感込めて振り返った作…

411 現代社会の負を強調 湊かなえ「告白」

湊かなえの「告白」は、現代社会のネガティブ面を強調したサスペンスで、救いようがない暗さを秘めた作品だ。 どうして、ここまで人間の弱さや暗さを延々と描くことができるのか考え込んだ。食べているときはおいしくても、後味が悪い食品を口に入れてしまっ…

410 山手線の異様な光景 警察が広告ジャック

ある日の朝、山手線に乗って驚いた。頭が変になったのかと思った。全部の車両が警察のPRで占められていたからだ。 まるで、電車ジャックのように思えた。何しろ車両の外も中も警察関係のシールやポスターが占拠し、映像のディスプレーまでが警察紹介なのだ…

407 政治とカネ 永遠の捜査課題

小沢一郎民主党代表の公設第一秘書が政治資金規正法違反容疑で逮捕された。政治とカネの話はうんざりだが、政治にはそれほどカネがかかり、あるいは政治家になるとカネが集まるということなのだろう。 昔、「井戸塀」という言葉があった。広辞苑には「政界に…

360 透明な季節の中で 不透明な日本社会

空気は乾き透明感の強い一日、少し足を延ばして郊外を歩くと、木々の葉が赤や黄色に色づき、つい見とれて足を止めたくなった。家に帰ると、目の前にあるけやき並木からは、強い風にあおられた葉が次々に飛んできて、狭い庭は落ち葉で一杯になっている。 空は…

326 人間の根源とは 東野圭吾・さまよう刃

娘に宿題を与えられた。東野圭吾の「さまよう刃」を読んで、感想を話してほしいと。最近、サスペンスとはあまり縁がない。しかし、あまりにしつこく言うので読み始めた。そうしたらやめられなくなり、一日で読み終えてしまった。 娘が言う。もし、裁判員とし…

303 教員汚職と書店通り魔事件に思う 鈍感政治への警鐘

猛暑が続く中で大分の教員汚職事件、八王子の書店通り魔事件とまるで世紀末的な事件が相次いで起きている。 世紀末とは、一つの社会が最盛期を過ぎて退廃的な現象がみられる時期を言うのだが、21世紀に入ってまだ間もないとはいえ日本社会は精神的にも退潮…

234 ロス疑惑の三浦元社長逮捕  天網恢恢、疏にして漏らさずか

秋田を旅している途中、友人が携帯電話のニュース速報を見て驚きの声を上げるの聞いた。サイパンで三浦和義元社長が逮捕されたというのだ。100%近い人が耳を疑ったことだろう。 たしか最高裁まで行き、無罪になったはずだ。それがなぜと思うのは、当然だろ…

160 2つの殺人事件に衝撃 8月の終わりに

8月、2つの事件に衝撃を受けた。名古屋のネットで知り合った男3人による女性殺人事件と警視庁の警官の拳銃を使った女性殺害事件だ。 犯罪はその時代を映すとよく言われる。2つの事件を見ていると、現代社会の病弊を色濃く反映しているように思えてならない…

29 晩節

福島県の前知事、佐藤栄佐久容疑者が大型ダム工事をめぐって、自分の弟経営の縫製会社の土地を時価より高値で買い取らせる形でゼネコンからわいろを受け取った疑いできのう東京地検特捜部に逮捕された。入札妨害(談合)で起訴されていた弟も収賄容疑で再逮…