詩
豊作を思わせる黄金の稲穂の波 所用で秋田に行ってきた。市内を歩いていて、「成田」という姓の家が何軒かあることに気が付いた。秋田で成田といえば、『浜辺の歌』の作曲者、成田為三(1893~1945)がよく知られている。成田は北秋田郡米内沢町(現在の北秋…
「夕陽を眺めるのに不要なものは一つだけ、むだなことばだ」~ 長田弘の「夕陽を見にゆく」(詩集『人生の特別な一瞬』晶文社)という詩の中に、こんな一節がある。夕陽を見るのに言葉は要らない、ただ黙っているだけでいいというのだ。たしかにそうだ。昨日…
今が盛りのノウゼンカズラの花 「何かをうまく語ることは、何かをうまく描くことと同様に難しくもあり面白いものだ。線の芸術と色の芸術とがあるように、言葉の芸術だってそれより劣るものじゃない」 フィンセント・ゴッホが弟テオに出した手紙(岩波文庫『…
紫色のオシロイバナ 部屋に積んだままの資料の整理をしていたら、4年前のコロナ禍のころに出した手紙の下書きが出てきた。人生の先輩、Yさんの逝去を知らされ、奥さんに出したお悔みの手紙だった。そこには記者としての駆け足時代のことが書かれていた。懐…
夕暮れの時、あなたは何を思いますか今日一日に出会った人のこと、言葉もなく別れた人のことそれとも昼においしいものを食べたこと虚しいことより楽しいことが多かったでしょうか
北海道・美瑛のジャガイモ畑。2人が働いている 「自然に生えるいろいろな草。たくましい生命力のたとえにつかうことがある」(広辞苑)、「あちこちに自然に生えているが、利用価値が無いものとして注目されることがない(名前も知られていない草)」(新明…
朝日と夕日。あなたはどちらが好きですか。愚問? 私はどちらでもいい派です。なぜ、と聞かれたら困るのですが……。朝日と夕日に対しその日で印象が変わるからです。
夕焼けを見て、あなたは何を思いますか鳥になって近くを飛んでみたら気持ちがいいだろうな郷愁や思い出に浸る人が多いかもしれません子どもの頃友だちと手をつないで帰ったこと「夕焼け 小焼け」を一緒に歌ったこと人の心を和ませる太陽と雲の見事な演出美し…
「宙宇」という言葉がある。時間と空間という意味だ。ただ、最近はほとんど使われることが少ないためか、手元の広辞苑を含めたすべての辞書にこの言葉は載っていない。死語になりつつある、と言ったら「宮沢賢治だって使っているじゃないか」と怒る人もいる…
ヒグラシが鳴いている調整池の森 夕方、近所の調整池を回る道を散歩していますと、近くの森から「カナカナカナ」というヒグラシの鳴き声が聞こえてきました。その声は、私の耳には哀調を帯びているように入って来たのです。同じセミでもクマゼミのけたたまし…
(昨今は月見草ともいわれるオオマツヨイグサ=本来の月見草は別の花) 「東(あずま)の国からみちのくへかかって、つまり現在の福島県へ入って、郡山から福島までの間で、汽車の窓から左手にあざやかにこの山(安達太良)が眺められる。雪のある時には、そ…
今こそは酔うべきの時だ!「時間」に酷使される奴隷となり終らぬためには、絶えず酔っていなかればならぬ!酒であろうと、詩であろうと、徳であろうと、それは君にまかせる。 フランスの詩人、シャルル・ボードレール(1821―1867)の散文詩『パリの憂鬱』(…
(ヤブカンゾウの中に一輪のヤマユリ) 自然公園の水辺朱色の花のヤブカンゾウの群生その中に一輪の白い花ヤマユリが咲いていただれかが植えたのか近くの斜面にはこのユリが生えている
朝、散歩していたら、クマゼミの鳴き声が聞こえてきた。まだ6月なのに、気が早いセミだ。とはいえ、既に沖縄、九州から近畿地方まで梅雨が明け、関東地方もエアコンのお世話になる日が続いているのだから、クマゼミが鳴くのも仕方がないことかもしれない。…
遊歩道を彩る紫詰草(ムラサキツメクサ) 「力強い ひとつの言葉にはげまされて わたしは ふたたび人生を始める わたしは生まれてきた きみを知るために きみの名を呼ぶために 白由よ」 フランスの詩人ポール・エリュアール(1895—1952)の「自由」という詩…
トルコの夕景色 「現実は虚無である」とは、どういう意味だろうか。現実は価値あるものがなく、虚しい、と受け止めることができるだろう。萩原朔太郎は「日本への回帰」という随筆の冒頭で、こう書いた。さらに「今の日本には何物もない。一切の文化は喪失さ…
夕方、散歩中に二重の虹が出た 「帰去来」という室生犀星(1889―1962)の詩がある。哀しい内容だ。「帰去来」は、中国の東晋・宋時代の詩人、陶淵明(とうえんめい、365―427)の有名な詩「帰去来辞」(ききょらいのじ)が由来で、官吏をやめて田園生活に…
青のガクアジサイ ドイツの詩人で作家のゲーテ(1749~1832)は、アメリカを描いた短い詩を書いている。19世紀初めごろの、ヨーロッパに住む人たちの見方を代弁したような詩だ。アメリカに対する「希望」を感じさせる内容で、現在の姿とはかなり異なる印象…
白樺アジサイの道 新聞の朝刊に「米、イラン核施設空爆」という横書きの大見出しが躍っている。2025年6月23日。80年前のこの日、太平洋戦争・沖縄戦で日本軍の組織的戦闘が終わった。糸満市摩文仁の平和祈念公園では沖縄戦の戦没者追悼式があった。…
北海道の6月の風景(富良野にて) NHKの朝の連続ドラマ「あんぱん」で「柳絮」(春の季語)が舞っているシーンがあった。日中戦争の一場面として演出したのだろう。私が住む地域(関東南部)では柳絮を見ることはできない。だが、ボタン雪が舞うような映像…
以前、何回かに分けて「明日は明日の風が吹く」という言葉について、このブログで書いたことがある。できれば、楽しくおかしく日々を過ごしたい。だが、私自身だけでなく、世の中の動きを含め思い悩むことも少なくない。そんな時、「明日は明日の風が吹く」…
ネムノキは不思議な木です気温の微妙な変化を感じる植物なのでしょうか2度咲きは珍しくありません去年は何と3度咲きを見ました
花菖蒲の季節です 外来語で俳句の季語になった言葉もかなりある。その中で「麦酒・ビール」(ほかにも関連で黒ビール、生ビール、地ビール、ビアホール、ビアガーデン、缶ビールなどがある)は私の好きな季語の一つになる。中には日本酒を好み「ビールはどう…
北海道ではライラックが咲くころリラ冷えが来る 今日は5月の末日、31日爽やかな季節のはずだ午後4時の気温は15度ちょうど3月に戻ったような寒さ晩春、一時的に寒くなることを寒の戻りという明日からは6月、そろそろ衣替えの時期なのにこの寒さを何と…
《人と時代の営みの一端を、現実と想像の世界とを糾(あざな)いながら、散文詩風に綴ります。折々の、風の向きや風の便りをのせた『風信』のように》 元朝日新聞記者(素粒子、天声人語担当)のコラムニスト、高橋郁男さんが詩誌「コールサック」に長期連載…
金沢文庫・称名寺の黄色の花菖蒲 立夏が過ぎて夏至があと1カ月余に迫り、夜明けが次第に早くなりつつある。夏の早朝は気持ちがいい。子どもたちは朝が苦手かもしれないが、逆に高齢者は朝が友だちといっていい。散歩やラジオ体操で交わされる「おはよう」と…
目に優しいバラ・アンジェラ 「こんな夢を見た」。夏目漱石の『夢十夜』は、このような書き出しで人間と夢に関する不気味で不思議な10の話が展開されている。言うまでもなく、人間は夢を見る動物だ。では他の動物はどうだろうか。最近の研究によると、人間…
風にそよぐアザミ 散歩コースにある調整池の一角にアザミの花が咲き始めた。気が付くのが遅かっただけかもしれない。春の季語(夏の季語は夏薊)になっており、春咲きと秋に咲くものがあり、種類も70~80種と多く、かなり長い間、目にする野の花だ。調整…
白い小さな花がびっしりのエゴノキ 夕方、目の前が急に暗くなりました空を見上げると、あの人の顔に似ている雲が出ていました怒っているような、それでいて笑っているような何とも不気味な雲です今にも雨を降らせるような黒い雲それを私はトランプ雲と名付け…
小高い山から見たある都市の風景 君あしたに去りぬゆうべの心千々に何ぞ遥かなる。 君を思うて岡の辺(おかのべ=丘のあたり、ほとり)に行きつ遊ぶ。岡の辺なんぞかく悲しき。 これは、誰の詩だろう。詩に詳しい人には常識だろうが、江戸時代の俳人で画家の…