小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

2013-01-01から1ヶ月間の記事一覧

1082 御嶽に向かって 犬山城の天守にて

このブログにリンクしている「消えがてのうた part2」の中で、「石垣を登ったはなし」(2012年5月16日)というaostaさんの子どものころの思い出話が載っている。詩情あふれる文章と高島城(長野県諏訪市)と桜の写真は、何度見ても作者の感…

1082 御嶽に向かって 犬山城の天守にて

このブログにリンクしている「消えがてのうた part2」の中で、「石垣を登ったはなし」(2012年5月16日)というaostaさんの子どものころの思い出話が載っている。詩情あふれる文章と高島城(長野県諏訪市)と桜の写真は、何度見ても作者の感…

1081 小さな劇にすぎなくとも 琵琶湖近くの「故郷の廃家」の物語

「故郷」とはなんだろう。辞書には「生まれ育った土地。ふるさと。郷里」などとある。「東京生まれだから故郷はない」と話す人もいるように、この言葉が地方を強くイメージしていると受け止めていいだろう。 相撲の大鵬死去に関するブログの中で一部紹介した…

1081 小さな劇にすぎなくとも 琵琶湖近くの「故郷の廃家」の物語

「故郷」とはなんだろう。辞書には「生まれ育った土地。ふるさと。郷里」などとある。「東京生まれだから故郷はない」と話す人もいるように、この言葉が地方を強くイメージしていると受け止めていいだろう。 相撲の大鵬死去に関するブログの中で一部紹介した…

1080 「いのちの賛歌」とアルジェリア人質事件の被害者たち 尊厳・最高の価値のはずなのに

友人のブログ「冬尋坊日記」の最新の記事にマザー・テレサの「いのちの賛歌」という詩のことが出ていた。その詩を読みながら、アルジェリアのイスラム武装勢力による人質事件のことを考えた。現地でプラント建設に当たっていた日本人を含む多くの命がこの事…

1080 「いのちの賛歌」とアルジェリア人質事件の被害者たち 尊厳・最高の価値のはずなのに

友人のブログ「冬尋坊日記」の最新の記事にマザー・テレサの「いのちの賛歌」という詩のことが出ていた。その詩を読みながら、アルジェリアのイスラム武装勢力による人質事件のことを考えた。現地でプラント建設に当たっていた日本人を含む多くの命がこの事…

1079 「人は生き、愛し、苦しみ、亡くなる」 美しい横綱・大鵬との別れ

不世出の大横綱といわれた大鵬が19日に亡くなった。いつも遠くを見るような、哀しみを湛えたような風貌を忘れることができない。土俵入りは孤高さを感じさせ、私は「この人は笑ったことがあるのだろうか」と思ったものだ。 大鵬と同時に横綱になり、柏鵬時…

1079 「人は生き、愛し、苦しみ、亡くなる」 美しい横綱・大鵬との別れ

不世出の大横綱といわれた大鵬が19日に亡くなった。いつも遠くを見るような、哀しみを湛えたような風貌を忘れることができない。土俵入りは孤高さを感じさせ、私は「この人は笑ったことがあるのだろうか」と思ったものだ。 大鵬と同時に横綱になり、柏鵬時…

1078 老いることはこうも悲しい 「山田洋次監督の「東京家族」

老いるということは、こうも悲しいのだろうか。この映画を見て、そう思った。人は喜んで老いているわけではない。だが、だれもがいつしか老いていき、社会からも家族からも余計な存在として扱われてしまう。 一人暮らしを選択した主人公(橋爪功)のラストシ…

1078 老いることはこうも悲しい 「山田洋次監督の「東京家族」

老いるということは、こうも悲しいのだろうか。この映画を見て、そう思った。人は喜んで老いているわけではない。だが、だれもがいつしか老いていき、社会からも家族からも余計な存在として扱われてしまう。 一人暮らしを選択した主人公(橋爪功)のラストシ…

1077 いまも続く「北に喧嘩や訴訟」 繰り返す争いの歴史

アルジェリアでイスラム武装勢力による外国人人質事件が悲惨な結末を迎えそうだ。テレビの報道を見ていて宮沢賢治の「雨にも負けず」の詩を思い出している。中ほどから後半にかけてこんなくだりがある。「東に病気の子供あれば行って看病してやり 西に疲れた…

1077 いまも続く「北に喧嘩や訴訟」 繰り返す争いの歴史

アルジェリアでイスラム武装勢力による外国人人質事件が悲惨な結末を迎えそうだ。テレビの報道を見ていて宮沢賢治の「雨にも負けず」の詩を思い出している。中ほどから後半にかけてこんなくだりがある。「東に病気の子供あれば行って看病してやり 西に疲れた…

1076 「3月2日を忘れないで」 中国残留孤児ボランティアからの便り

「3月2日を忘れないでください」と書いた手紙が届いた。送ってきたのは、長い間、中国残留孤児問題のボランティアをしている東京・大田区の柏実さんだ。 柏さんは、現在73歳。鉄工所を営み、作詞家の顔も持つ彼は、東日本大震災被災地支援の組曲(10曲…

1076 「3月2日を忘れないで」 中国残留孤児ボランティアからの便り

「3月2日を忘れないでください」と書いた手紙が届いた。送ってきたのは、長い間、中国残留孤児問題のボランティアをしている東京・大田区の柏実さんだ。 柏さんは、現在73歳。鉄工所を営み、作詞家の顔も持つ彼は、東日本大震災被災地支援の組曲(10曲…

1075 hanaのつぶやき・私の闘病記 きょうが抜糸でした

昨年暮れに、子宮蓄膿症という病気で子宮摘出の手術を受けた話の続きです。手術を受けたのは12月28日ですから、きょうで19日になりました。きょう、私は10日ぶりに動物病院に行き、血液検査と手術跡の抜糸を受けました。肝臓の調子がおかしかったの…

1075 hanaのつぶやき・私の闘病記 きょうが抜糸でした

昨年暮れに、子宮蓄膿症という病気で子宮摘出の手術を受けた話の続きです。手術を受けたのは12月28日ですから、きょうで19日になりました。きょう、私は10日ぶりに動物病院に行き、血液検査と手術跡の抜糸を受けました。肝臓の調子がおかしかったの…

1074 子どもは風の子 山頭火「雪をよろこぶ児らにふる雪うつくしき」

子どものころ、「子どもは風の子、大人は火の子」ということわざを聞いたことがある。いまでは、あまり通用しないかもしれない。 その意味は、「子供が冬の寒風もいとわずに、元気に戸外で遊ぶことをいうたとえ」だそうだ。大人は子どものころを忘れて、暖か…

1074 子どもは風の子 山頭火「雪をよろこぶ児らにふる雪うつくしき」

子どものころ、「子どもは風の子、大人は火の子」ということわざを聞いたことがある。いまでは、あまり通用しないかもしれない。 その意味は、「子供が冬の寒風もいとわずに、元気に戸外で遊ぶことをいうたとえ」だそうだ。大人は子どものころを忘れて、暖か…

1073 「正義と良心・生き方とは」を考える ミュージカル映画「レ・ミゼラブル」

ミュージカル映画はほとんど見ない。それでも「サウンド・オブ・ミュージック」(1965)や「王様と私」(1956)など、何本かの映画は心に焼き付いている。この正月、退屈するだろうと思いながら、トム・フーバー監督の英国映画「レ・ミゼラブル」を…

1073 「正義と良心・生き方とは」を考える ミュージカル映画「レ・ミゼラブル」

ミュージカル映画はほとんど見ない。それでも「サウンド・オブ・ミュージック」(1965)や「王様と私」(1956)など、何本かの映画は心に焼き付いている。 この正月、退屈するだろうと思いながら、トム・フーバー監督の英国映画「レ・ミゼラブル」を…

1072 「スマ歩」で忙しすぎる日本人 利器に振り回される日常

「スマ歩」という造語が新聞に出ていた。街中や駅のホームなどで歩きながら携帯電話のスマートフォン(スマホ)の操作に熱中すること(日経新聞1月9日夕刊、スマ歩にヒヤリ!)だそうだ。うまい造語だと思う。それにしても、人ごみの中でスマートフォンの…

1072 「スマ歩」で忙しすぎる日本人 利器に振り回される日常

「スマ歩」という造語が新聞に出ていた。街中や駅のホームなどで歩きながら携帯電話のスマートフォン(スマホ)の操作に熱中すること(日経新聞1月9日夕刊、スマ歩にヒヤリ!)だそうだ。うまい造語だと思う。それにしても、人ごみの中でスマートフォンの…

1071 文芸全般に挑み続けた太く短い生涯 ドナルド・キーンの「正岡子規」 年末年始の本(3)

日本文学と日本研究で知られる米国人のドナルド・キーン(90)が東日本大震災後、日本国籍を取得して、日本に永住したことに感銘を受けた人は多かったのではないか。その近著である「正岡子規」(新潮社、角地幸男訳)は、結核と闘いながら俳句、短歌、新…

1071 文芸全般に挑み続けた太く短い生涯 ドナルド・キーンの「正岡子規」 年末年始の本(3)

日本文学と日本研究で知られる米国人のドナルド・キーン(90)が東日本大震災後、日本国籍を取得して、日本に永住したことに感銘を受けた人は多かったのではないか。その近著である「正岡子規」(新潮社、角地幸男訳)は、結核と闘いながら俳句、短歌、新…

1070 こんな村で住みたい 「神去なあなあ夜話」 年末年始の本(2)

日本の方言は含蓄のあるものが少なくない。原発事故で全村避難を余儀なくされた福島県飯舘村では「までい」という言葉がよく使われる。「までいに」といえば「丁寧に」「じっくりと」という意味だ。 この小説の題名の一部にもなっている「なあなあ」という言…

1070 こんな村で住みたい「神去なあなあ夜話」 年末年始の本(2)

日本の方言は含蓄のあるものが少なくない。原発事故で全村避難を余儀なくされた福島県飯舘村では「までい」という言葉がよく使われる。「までいに」といえば「丁寧に」「じっくりと」という意味だ。 この小説の題名の一部にもなっている「なあなあ」という言…

1069 ことしも本を読もう 「チャ―ズ 中国建国の残火」 年末年始に目を通した3冊(1)

年末年始、暇にあかして3冊の本を読んだ。ノンフィクション、小説、評伝という全く異なる分野の単行本だ。ことしも私の読書は一貫性のない、行き当たりばったりのものになりそうだ。それでいいのだと思う。これから読もうと購入した本もエッセー、小説、自…

1069 ことしも本を読もう 「チャ―ズ 中国建国の残火」 年末年始に目を通した3冊(1)

年末年始、暇にあかして3冊の本を読んだ。ノンフィクション、小説、評伝という全く異なる分野の単行本だ。ことしも私の読書は一貫性のない、行き当たりばったりのものになりそうだ。それでいいのだと思う。これから読もうと購入した本もエッセー、小説、自…

1068 遠い初富士を見る 「小寒」の散歩道

「初富士のかなしきまでに遠きかな」 山口青邨 暮れに子宮摘出の手術をした我が家の犬は術後の経過が優れない。長い散歩には付き合わせることができないので、このところ一人で散歩をしている。きょう5日は「小寒」。寒いのは当然だ。高台の道を歩いている…

1068 遠い初富士を見る 「小寒」の散歩道

「初富士のかなしきまでに遠きかな」 山口青邨 暮れに子宮摘出の手術をした我が家の犬は術後の経過が優れない。長い散歩には付き合わせることができないので、このところ一人で散歩をしている。きょう5日は「小寒」。寒いのは当然だ。高台の道を歩いている…