小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧

1450 悲劇の画家の肖像画 憂い漂うファブリティウス

森アーツセンターギャラリー(東京・六本木)で開催中の「フェルメールとレンブラント:17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち展」を見た。オランダのこの世紀の代表的画家といわれるフェルメール(1632~75)とレンブラント(1606~69)の作品(…

1450 悲劇の画家の肖像画 憂い漂うファブリティウス

森アーツセンターギャラリー(東京・六本木)で開催中の「フェルメールとレンブラント:17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち展」を見た。オランダのこの世紀の代表的画家といわれるフェルメール(1632~75)とレンブラント(1606~69)の作品(…

1449 村上春樹の旅行記 「貴重な文章修行」

最近、村上春樹の『遠い太鼓』(講談社文庫)と『辺境・近境』(新潮文庫)という旅行記を続けて読んだ。前者は1986年から3年間、ギリシャ・イタリアに住み、周辺の各地を旅した記録である。後者はアメリカやメキシコ、ノモンハンという海外の旅と香川…

1449 村上春樹の旅行記 「貴重な文章修行」

最近、村上春樹の『遠い太鼓』(講談社文庫)と『辺境・近境』(新潮文庫)という旅行記を続けて読んだ。前者は1986年から3年間、ギリシャ・イタリアに住み、周辺の各地を旅した記録である。後者はアメリカやメキシコ、ノモンハンという海外の旅と香川…

1448 雪についての雑感 登校の子ら足遅く

暖冬が続いていると思ったが、うっすらと雪が積もった。この地域(千葉市の南部)では、2014年2月8日から9日の大雪以来、積雪はなかったから久しぶりのことである。家の前を、雪が大好きな子どもたちがはしゃいで登校している。2年前の大雪の際のこ…

1448 雪についての雑感 登校の子ら足遅く

暖冬が続いていると思ったが、うっすらと雪が積もった。この地域(千葉市の南部)では、2014年2月8日から9日の大雪以来、積雪はなかったから久しぶりのことである。家の前を、雪が大好きな子どもたちがはしゃいで登校している。 2年前の大雪の際のこ…

1447 言葉との格闘 乙川優三郎の現代小説

乙川優三郎といえば、時代小説の作家と思っていた。『五年の梅』や『生きる』という本は私の本棚にもある。その乙川が現代小説にも筆を染めている。最近、そのうち『脊梁山脈』など3冊を集中して読んだ。文芸評論家・作家の丸谷才一は『文章読本』(中央公…

1447 言葉との格闘 乙川優三郎の現代小説

乙川優三郎といえば、時代小説の作家と思っていた。『五年の梅』や『生きる』という本は私の本棚にもある。その乙川が現代小説にも筆を染めている。最近、そのうち『脊梁山脈』など3冊を集中して読んだ。 文芸評論家・作家の丸谷才一は『文章読本』(中央公…

1446 洛外人の徹底批判 井上章一『京都ぎらい』

1781年(明和元年)に書かれた二鐘亭半山(木宝卯雲)の京都見聞録『見た京物語』には「花の都は二百年前にて今は花の田舎たり、田舎にしては花残れり」という記述がある。「花の田舎」というのが江戸時代中期の京都のイメージである。それから235年…

1446 洛外人の徹底批判 井上章一『京都ぎらい』

1781年(明和元年)に書かれた二鐘亭半山(木宝卯雲)の京都見聞録『見た京物語』には「花の都は二百年前にて今は花の田舎たり、田舎にしては花残れり」という記述がある。「花の田舎」というのが江戸時代中期の京都のイメージである。それから235年…

1445 うぐいすの初音を聞く朝 ホーホケキョは雄鳥

ラジオを聞きながら散歩をしていたら、うぐいすの便りをやっていた。きょうは九州の佐賀、四国の高知、さらに関東の神奈川で初音を聞いたというのである。私の住む千葉市はまだまだかなと思って聞いていると、イヤホンを付けた耳に懐かしい響きが飛び込んで…

1445 うぐいすの初音を聞く朝 ホーホケキョは雄鳥

ラジオを聞きながら散歩をしていたら、うぐいすの便りをやっていた。きょうは九州の佐賀、四国の高知、さらに関東の神奈川で初音を聞いたというのである。私の住む千葉市はまだまだかなと思って聞いていると、イヤホンを付けた耳に懐かしい響きが飛び込んで…

1444 貶められた無限の可能性 この世で最も美しい言葉……

「言葉はこの世の最も美しいものの一つである―言葉は、眼には見えないが、絶えずわれわれの側にただよってわれわれが弾くのを待っている、不可思議な楽器のようなものだ」 オーストリアの詩人、作家、劇作家のフーゴ・フォン・ホーフマンスタール(1874…

1444 貶められた無限の可能性 この世で最も美しい言葉……

「言葉はこの世の最も美しいものの一つである―言葉は、眼には見えないが、絶えずわれわれの側にただよってわれわれが弾くのを待っている、不可思議な楽器のようなものだ」 オーストリアの詩人、作家、劇作家のフーゴ・フォン・ホーフマンスタール(1874…

1443 朝霧が天空の城を演出 2月の風景

「天空の城」という言葉がある。由来は不明だが、小高い山にある城跡が発生した雲海に包まれて空に浮かんでいるかのように見える現象で、兵庫県の竹田城(朝来市)や岡山県の備中松山城(高梁市)などがよく知られている。2月の中旬、寒さが和らいだ今朝、…

1443 朝霧が天空の城を演出 2月の風景

「天空の城」という言葉がある。由来は不明だが、小高い山にある城跡が発生した雲海に包まれて空に浮かんでいるかのように見える現象で、兵庫県の竹田城(朝来市)や岡山県の備中松山城(高梁市)などがよく知られている。 2月の中旬、寒さが和らいだ今朝、…

1442 「聖母子像画」に見る美の追求 ダ・ヴィンチとボッティチェリ展

美術とは何だろうと、約500年前の2つの名画を見てあらためて考えた。それはレオナルド・ダ・ヴィンチ(1452~1519)の「糸巻きの聖母」とサンドロ・ボッティチェリ(1444/45~1510)の「書物の聖母」である。活動時期が重なり、ルネ…

1442 「聖母子像画」に見る美の追求 ダ・ヴィンチとボッティチェリ展

美術とは何だろうと、約500年前の2つの名画を見てあらためて考えた。それはレオナルド・ダ・ヴィンチ(1452~1519)の「糸巻きの聖母」とサンドロ・ボッティチェリ(1444/45~1510)の「書物の聖母」である。活動時期が重なり、ルネ…

1441 最後の手紙は「僕ハモーダメニナツテシマツタ」 子規と漱石の友情

覚せい剤事件で警視庁に逮捕された元プロ野球選手、清原和博の高校野球時代の同級生、元巨人投手の桑田真澄が清原の逮捕について語った言葉が報道された。友を思う気持ちと悔恨の情が含まれた話だ。桑田の言葉は「友情とは何か」を考えさせるもので、明治時…

1441 最後の手紙は「僕ハモーダメニナツテシマツタ」 子規と漱石の友情

覚せい剤事件で警視庁に逮捕された元プロ野球選手、清原和博の高校野球時代の同級生、元巨人投手の桑田真澄が清原の逮捕について語った言葉が報道された。友を思う気持ちと悔恨の情が含まれた話だ。桑田の言葉は「友情とは何か」を考えさせるもので、明治時…

1440 人間の心を蝕む覚せい剤 元プロ野球スター選手・清原の逮捕

プロ野球で活躍した・清原和博(48)が覚せい剤取締法違反容疑で警視庁に逮捕された。覚せい剤をはじめとする禁止薬物が日本社会にはびこっていることを象徴したものだ。2009年8月、人気女優が覚せい剤事件で逮捕された。この時、私は覚せい剤につい…

1440 人間の心を蝕む覚せい剤 元プロ野球スター選手・清原の逮捕

プロ野球で活躍した・清原和博(48)が覚せい剤取締法違反容疑で警視庁に逮捕された。覚せい剤をはじめとする禁止薬物が日本社会にはびこっていることを象徴したものだ。2009年8月、人気女優が覚せい剤事件で逮捕された。この時、私は覚せい剤につい…

1439 2月の風景 枯木立ににぶい日光

「二月はやはだかの木々に日をそそぐ」(長谷川素逝) きょうから2月である。寒い地域では、霜柱と氷柱が珍しくない季節だ。だが、4日は立春だから、日の出も次第に早くなり、光の季節である春の足音が近づいている。長谷川素逝の句(早いものでもう2月だ…

1439 2月の風景 枯木立ににぶい日光

二月はやはだかの木々に日をそそぐ(長谷川素逝) きょうから2月である。寒い地域では、霜柱と氷柱が珍しくない季節だ。だが、4日は立春だから、日の出も次第に早くなり、光の季節である春の足音が近づいている。長谷川素逝の句(早いものでもう2月だ。葉…